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基礎から学ぶ道具の使い方①~切る編~

どのご家庭にも少なからず道具・工具の類はあることと思います。
しかし、もしかしたら無意識で間違った使い方をしているかもしれません!
間違った使い方はケガや事故を引き起こす原因となってしまいます。
この記事を通して「正しい使い方」を身に付けていただけたらと思います。
ではまず一番馴染みがあるであろう「切る」工具から。(大工道具は除きます)

次回「回す」編→

ニッパ

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みなさんご存じニッパです。
広く「プライヤ」と呼ばれている工具の一種ですね。
プラモデルを作るときには必須ですし、結束バンドを切ったりなど何かと日常的に使っていると思います。
線材を平らに切るのに特化している工具ですが、中には「切ってはいけないもの」があります。
それは「鋼材」です。
ほとんどのニッパは刃が薄いので、鉄線などを切断しようとすると刃こぼれを起こしてしまいます。
そういった硬い材を切断するときは後述のボルトクリッパを使いましょう。
試しに刃を閉じた状態で光にかざしてみましょう。

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これはダメなやつです

光が漏れてきているのはダメになっている証拠です。
その状態で使い続けますと、素材に傷をつけたり、無理やり切るようになってケガのもとになることがあります。


ボルトクリッパ

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アマ研では土牛産業さんのものを使っているので「ドギュウ」という渾名で呼ばれています。
かなりイカツイ見た目から想像できる通り、ニッパなどでは切断できないような硬く太い線材(ピアノ線やステンレス丸棒など)を押し切ることができますが、そうはいっても限界はありますのでそれぞれ商品に記載されてるまでの使用にとどめておきましょうね。
ボルトクリッパはテコの原理で刃に非常に大きな力がかかります!
刃と刃の間の距離は狭いですが、指など挟もうものなら骨ごと逝ってしまわれますので刃先には気を付けましょう!!
この工具はニッパとは違って、強い圧力によって材料を「押し切る」工具です。
ですので、無理に一発で切ろうとしないでください。
ヘタをすると刃が欠けたりズレたりすることがあります。
何回かに分けて少しずつ挟むほうが安全にかつ確実に切断できます。
ボルトクリッパはずっと使用を続けていると少しずつ刃先が開いてきます。
調整フレームまたは偏心ボルトの位置を調整して締めなおしましょう。

<ウマい使い方>
より線(細い銅線をよってねじってある導線)をカットするときは、まわりをビニールテープでしっかりと巻いておくと断面がきれいになります。


カッターナイフ

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みんな大好きカッターナイフです。
カッターナイフを発明したオルファ株式会社さんは大阪に本社を置く超有名企業ですよね。
社名はそのまま「折る刃」からとったのだとか。
これはカッターナイフだけに限った話ではありませんが、刃先をしまえる工具はその都度しまいましょう!
ちょっとトイレに行くだけだから……と刃を出しっぱなしにして机に放置していませんか!?
また、刃を何ピッチも出したまま作業していませんか?
できるだけ出す刃先は短くしましょうね。
紙を切るときなどは1ピッチだけで十分です。
カッターといえばカッターマットは必需品です。
机が傷つきませんし、カッターをスムースに動かすことができます。
刃が鈍ったかな?と思ったらすぐに折り取りましょう!
刃先の丸いカッターナイフは切れ味が最悪ですので、力が入りすぎてケガの原因になりやすいです。
また、折り取るときに上方向に折っていませんか?
取れた刃が上方向に飛ぶと顔をケガする恐れがあるので、下向きに、つまりスジを表として山折りになるように折りましょうね。

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山折りにしている様子

はさみ

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はさみと言えど刃物

はさみは生活に最も密接にかかわる刃物ですね。
しかし、使うのに慣れている一方油断しがちな道具でもあります。
はさみとて刃物、雑な使い方をすると悲惨な目に逢います。
私が証人です。
はさみは、二枚の刃によって生み出される「せん断力」によって薄い素材を切断する工具です。
ですので、紙や薄いシートを切る以外の使い方は望ましくありません!
「ちょっと木に溝をつけよう」とか「プラスチックの棒くらいなら切れるでしょ」という甘い考えは今すぐ捨てましょう
片方の刃だけをナイフのように使うのは完全にアウトです。
また、どの刃物にも言えることですが、人に渡すときに刃先を向けないようにしましょうね。
相手から渡されたはさみの刃先を握ったときにたまたま刃が開いて手のひらが……という事故があったそうなので、被害者にも加害者にもならないよう気を付けましょう。

<ウマい使い方>
はさみを使うとき刃の先端まで閉じてしまうと、刃の側面によって押しのけられた分紙が裂けてしまいます​。
基本は刃の根元から真ん中あたりまでを使うようにしましょう。


糸鋸

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木材・ワックス・プラスチック・ステンレス・アルミ・真鍮・貝殻などなどなど……たいていの素材であれば糸鋸で切断可能です。
しかも直線だけでなく曲線や細かく立体的な線も切断することができる優れものなのです!
しかし、その万能さと汎用性の代わりに非常に繊細な扱いを要求される道具とも言えます。
刃は糸状になっている分非常に折れやすく、手慣れた人でも全く折らずに使い続けるのは難しいです。
初心者のうちはある程度消耗品と割り切って「糸鋸の扱い方」に慣れていきましょう。

刃は厚ければ厚いほど頑丈な分曲線が切りにくく、薄ければ薄いほど曲線が切りやすい分脆弱です。
また、刃の数が多ければ多いほど切断面がきれいになる分切り進めにくく、少なければ少ないほど切り進めやすい分切断面が粗くなります。

鋸刃の中には「アサリ」がついているものがあります。
アサリとは、刃がそれぞれ左右交互に開いているものです。

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交互に刃がついてますよね?

いい写真が撮れなかったので上図は普通のノコギリの写真です。
アサリ付きの刃は見た目よりも厚みがあるので分厚い木材や硬い木材でも切断がしやすいですが、その厚さのせいで切りすぎてしまったり、左右に開いた刃で断面が粗くなってしまうこともあります。

また、「螺旋刃(スパイラル刃)」と呼ばれる刃も存在します。

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スパイラル刃はねじってある分ストレスがかかりやすく折れやすいですが、刃に向きがなく偏りがないので方向転換などが容易です。
ちなみに写真の刃は非常に太く作られており、石や超硬金属の切断にも使える頑丈なものとなっています。


アクリルカッタ

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アクリルなどの硬いプラスチックを折って切断するための工具です。
アクリルを刃で切ろうとすると刃がつぶれて鈍ってしまうので、写真のようなカギ状の刃で引っ掻いて傷をつけ、板厚の半分ほどまで溝ができた状態で力を加えて折ります
これ以外の手工具でアクリルを加工するのはほぼ不可能です。
刃の背にある小さな段差は少し丸くなっており、切った後のアクリル板の面取りに用いることができます。


塩ビカッタ

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塩ビカッタとは、塩ビパイプをはさみのような感覚で切断できるカラストンビのような形状の工具です。
刃の動きがラチェット(一方通行)になっており、小さな力で段階的に刻むことで切断面はきれいなままスピーディーに加工可能です。
塩ビパイプやポリエチレンなどのプラスチックパイプのカットには非常に便利ですね。
パッと見のビジュアルがギロチンなので、見た目が凶悪そうな工具ランキングでは上位に入ってくると思います。


発泡スチロールカッタ

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カッターナイフなどの普通の刃物で発泡スチロールを切断すると、大音量の不快音と数多のスチロールビーズがまき散らされ悲惨な状況になります。
発泡スチロールカッタはニクロム線(電熱線)に電流を流し過熱させ、発泡スチロールを溶かしながら切断します。
よって、音も出ず屑も出ないので快適な発泡スチロール切断ライフを送ることができます。
ただし、スイッチを入れている間はニクロム線が熱くなるので、火傷をしないように気を付けましょう。


まとめ

いかがだったでしょうか。
切る工具のほとんどは刃を持っているので、どうしても指先などをケガするリスクがあります。
刃先に手を持っていかないなどの基本的なことには最低限気を付け、それぞれの工具に合った正しい使い方を意識しつつ、安全に楽しく作業を進めましょう!

次回「回す」編→


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