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「場所を特定するコード」を考える

こんにちは。JPR広報部の那須です。
JPRでは、9月28日に、納品伝票電子化・共有システム「epal DD Plus」(イーパルディーディープラス)のサービス提供を開始しました。

●納品伝票電子化・共有システム「epal DD Plus」の提供を開始(読売新聞オンライン 2022/10/3)
https://yab.yomiuri.co.jp/article/jpr-epalddplus/
●プレスリリース(2022/9/28)https://www.jpr.co.jp/release/2022/release000780.html

掲載記事とプレスリリース

epal DD Plusは、レンタルパレットサービスのネットワークに連携していることを特徴の一つとしています。ご利用企業は、レンタルパレットサービスで使用しているIDや相手先のコードをそのまま利用できます。
今回は相手先コード=場所を特定するコードについて調べたいと思います。

▼DXのカギになる「場所を特定するコード」
企業間での物流情報の活用をめざすDX。その実現には、場所を表すために、どのようなコードを使うかは重要な問題です。
多くの企業は自社商品のお届け先に、(自社の)プライベートなコードを付けています。個々の企業内で活用するにはプライベートコードで問題はありませんが、複数企業間で物流データを交換するには、場所を表す共通のコードが必要になってきます。利用企業はその共通コードと自社のプライベートコードのマスタ(対照表)をつくらなければなりません。ソリューション側にマスタを保持する場合や、利用企業側がマスタを保持し共通コードに変換してからソリューションに送信する場合が考えられますが、どちらにしても、マスタを作成し保持しなければならないでしょう。
変換の工数や管理しなければならないマスタの数が多いほどコストとなりますし、日々、お届け先の情報が更新されるなかで実務上どうやってマスタを最新に保つのかも難しい問題です。
さらに、いくつものコード体系が併存すると、ソリューション同士の連携も難しくなってしまいます。
このような背景から、場所を表すコードについての標準化の議論が盛んになっています。

現在進められている、コードの標準化の代表例として、GS1 Japan (一般社団法人流通システム開発センター)によるGLN:Global Location Numberが挙げられます。GLNは、SIP (内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム)SIPスマート物流サービス物流標準ガイドラインにも記載されています。
epal DD Plusは、こうした取り組みとも連携し、標準化された、企業と企業がつながるしくみづくりを指向しています。様々な企業、そして様々なシステムの連携によって成り立っている物流。だからこそ、外にひらきつながりあうソリューションが求められていると考えているからです。

▼パレットレンタルサービスのコードを活用する
epal DD Plusは、社会全体での標準コード化の動きと連携を取りつつ、現在はレンタルパレットサービスでご利用いただいているコードを使用しています。
そのメリットは何でしょうか?
ここで複数の荷主企業の商品を輸送している物流事業者の立場になって考えてみます。物流事業者が荷主企業から受け取る届け先のコードや名称はバラバラです。下の図の①~③は、あるひとつの物流センター(Aスーパーの関東物流センター)を表す、荷主ごとの様々なコードと名称のイメージです。

様々なコードや名称のイメージ

荷主ごとにコード体系も、名称も様々。(その理由は商流と物流が分離していたり、小売業のセンターの運営が外部委託されていたりといった背景がありますが、ここでは省略。)
物流事業者では、①~③を同じ場所と認識して処理しなければなりません。同じ場所であることを調べるためには、文字であらわされた住所をキーにする方法がありますが、実際の住所の表現には揺らぎがあり容易ではありません。

このように、ある場所にひとつのユニークなコードを付番するルールとともに、各社のプライベートなコードとの対応を突き合わせる作業も物流の現場では大変な作業。多くの企業がオープンにつながっている物流ならではのDXのハードルとも言えそうです。

一方、JPRのレンタルパレットのコードは、パレットの受け払いを管理するために“実際にパレットが行く場所”に付番されています。物流に関わる多くの企業が実際にJPRのコードを使用しています。epal DD Plusがレンタルパレットサービスのコードをそのまま使うことの利用者視点のメリットは以下のようなものです。

  • JPRコードは、現在すでに利用しているコードである

  • JPRコードと各企業のプライベートなコードの対応がすでにわかっている

  •  JPRコードは、お届け先の多くに付番されていてカバー率が高い(※)
    ※加工食品、日用品業界を中心にしたパレット輸送を行う先の多くをカバーしている

できることから一歩ずつ。未来の大きな標準化を見据えながら、JPRならではのしくみづくりに挑戦してまいります。今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

参考:
SIPスマート物流サービスの物流情報標準ガイドラインの発行・更新について(内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム)
https://www.pari.go.jp/sip/research/standard%202110.html

GLNとは(一般社団法人流通システム開発センター)
https://www.gs1jp.org/standard/identify/gln/