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忘れられない言葉たち

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強く共感したもの。心を突き動かされたもの。また読みたいとふいに思い出す素敵なnoteを入れさせてもらいました。やわらかな言葉に、切なさに、激しさに、もう一度スキを。
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#また乾杯しよう

今年も夏がうそをついた #また乾杯しよう

蝉が、死んでいた。 小さい頃の思い出だ。家の玄関前だったか、通っていた幼稚園の園庭だった…

七屋 糸
4年前
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積み重ねた日々、不器用な乾杯

幼い頃から、人生は「本当」を探す旅だった。 ずいぶん大人になってからも、本当の目標とか本…

Mica
4年前
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先生、もう一度会えたら、その時は。

ティーン・・・とグラスの音がかすかに響く。 「結婚おめでとう! 本当は言いたくないけどね」と顔…

水野うた
4年前
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誕生日にはお寿司と、少しの願いを。

「誕生日プレゼント、何がいいか決まった?」 そう尋ねると、彼は少し困った顔をした。 もと…

あずき
4年前
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「 約束のエアハイタッチ 」

一面の窓ガラスに、たっぷりとした陽の光を浴びて木々の緑がきらきらと揺らめいている。 あぁ…

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乾いた音色は注ぐに継ぐ

 ここまで揃いの良い親戚を持つというのは、十代の思春期を迎えた当時の私にとって、不幸以外…

KH1992
4年前
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さよならのバックパックがくれたひと夏のこと

ご自愛なんてほど遠い毎日でも、発泡酒とからあげクンはやさしい。 東京の終電に揺られるのが日常だったある日、コンビニ袋をぶら下げて帰宅すると部屋の前に男がうずくまっていた。 薄汚れパンパンになったバックパックに、穴のあいたジーンズ。雨で濡れた道路をまばらな車が通りすぎる以外、静けさが夜を包んでいる。 通路の白熱灯の点滅にあわせ頭の中でアラームが鳴る。それと同時に、男が顔を上げた。懐かしい声が響く。 「おかえり~」 声の主は、旧友のKだった。日焼けした肌は記憶の彼よりも