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システム39と旅した10年 vol.10「メディアから見たシステム39-ASCII.jp大谷イビサ」

このnoteについて

このnoteは、ジョイゾーを代表する対面開発サービス「システム39」が2024年6月30日に10周年を迎えることを記念し、スタートした連載企画です。
システム39とジョイゾーが歩んできた10年を振り返りながら、これまでお世話になった皆様への感謝と、これからの10年に向けたヒントを探していきます。
前回のnoteはこちらです!


今回のテーマは「IT業界を見つめ続けて-対面開発の特性とこれからのSI」

システム39を提供して10年間、ありがたいことに多くのメディア様に取り上げていただきました。
その中でも、kintoneとシステム39、どちらもリリース当時から見守り続けていただいているASCII.jp大谷イビサさんにお話をお聞きします!kintoneだけでなくIT業界を記者という目線から見つめ続ける大谷さんの視点から、システム39の過去と未来を考えます。

大谷イビサさん

株式会社 角川アスキー総合研究所 デジタルメディア部 ASCII課
TECH.ASCII.jp編集長
オンラインメディア「ASCII.jp」のIT・ビジネス担当。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンターテインメント」をキーワードに、エンジニア界隈やユーザーコミュニティを中心にした情報発信を手がけている。2017年からは新メディア「ASCII Team Leaders」を立ち上げ、働き方とテクノロジーの理想像を追い続けている。

システム開発の常識を覆す-システム39の仕組み

ジョイゾー:大谷さん、今回はよろしくお願いします!
大谷さんは長くkintoneにまつわる記事を執筆されていると思うのですが、その中でジョイゾーとの出会いがどんなものだったか、記憶にありますか?

大谷イビサ(以下大谷):それこそシステム39がリリースされたタイミングだと思います。リリース時、プレスリリースをベースにしながら直接社長の四宮さんにお話を伺って、記事を書かせてもらったのがジョイゾーさんを認知した最初だったと思います。

ジョイゾー:そうだったんですね。そこではあくまで新しいサービスができた、という印象だったと思うのですが、どういったきっかけで関心を持っていただきましたか?
大谷
:より興味を持ったのは、登壇でお話を聞いてからですね。現在のCybozu Daysの前身である「Cybozu Conference 2014」でのセッション、2015年のkintone Café 東京 Vol.2などに四宮さんが登壇されていたので、その時の様子が印象に残っています。特にCybozu Conference 2014では三者三様のシステム開発への思いが話されていて、新しいSIやkintoneというサービスに対する期待を感じた時間でした。

より関係値が深まってきたのは2017年に開設されたASCII.jp「kintone三昧」でのインタビューがきっかけだと思います。kintoneに関わるパートナーなどキーマンとなる人を連載で追う「kintoneな人」という企画がありまして、そこで改めて四宮ご夫妻にシステム39のビジネスモデルについてお聞きしました。この辺りから個人的なお付き合いも増えていったかなと思います。

家族ぐるみでのお付き合いも?

ジョイゾー:ビジネスモデルなどを聞かれた上で、当時システム39にはどんな印象をお持ちでしたか?
大谷:まず仕組み自体がとても斬新だったという印象があります。IT業界の中で長く取材してきていましたが、システム開発において定額サービス自体が当時はほとんど存在していなかったと思います。
そもそもシステム構築は高額なものというのが一般的な認識で、定額39万円という価格設定自体にインパクトがあったと思います。付け加えると、中小企業にとって投資できる可能性のある金額であることも、それまでのビジネスモデルとは異なるものだという感覚がありました。

従来のシステム開発は仕様書を用意し要件定義を行なっていくのが基本の流れです。そのため、「対面開発」を実現すること自体あり得ないことでした。なので、当時対面開発と言っても、どんなものか想像できる人はほとんどいなかったのではと思います。
システム開発の常識として「あらゆることを決め切って、それに合わせて寸分違わず作る」というものがありましたから、システム39の仕組みはとても斬新なものでしたね。

対面開発の極意はコミュニケーション

ジョイゾー:ありがとうございます、当時だからこそ感じられるインパクトがあったんですね。そんな対面開発がリリースされて10年が経ちましたが、大谷さんはSI業界にどんな変化が起きたと思われますか?

大谷:10年の歳月で、ノーコードやローコードツールが拡大して、開発の手法にも変化があったと思います。一方で、斬新な取り組みだった対面開発ですが、この10年で意外にもそこまで流行らなかったな、と思っています。
これはビジネスモデルとして魅力がなかった、ということではなくて、対面開発を実現するために要求されるレベルが高かったのではないかと考えています。
私が取材してきた立場から対面開発において重要だと考えているのは、コミュニケーション能力です。業務システム開発では、技術的なスキルと同等かそれ以上に重要なものとして、業務理解があります。業務理解を行うためには、非常に高レベルな「話を引き出す力」が必要になってきます。こういった求められるスキルの高さが対面開発を実施する上での、障壁になったのではないかと考えています。

ジョイゾー:対面開発だからこそヒアリング、コミュニケーションの能力が特に求められますよね。
大谷:そうですね。現場で業務を行うユーザーにとって、システム会社のエンジニアと話すことは正直怖い。何を話せばいいか分からず、どんな風に進めるのかも想像がつかないことがほとんどです。だからこそ引き出して、翻訳する能力が求められるんです。
システム39はそういった障壁を乗り越えながら、10年の実績を積み重ねてきた。そのこと自体に価値があると思います。

変化するSIの役割 内製化を支える「継続」

ジョイゾー:ありがとうございます。もう少し広い観点で、この10年の間にkintoneを含めたIT業界でどんな変化が起きたと考えていらっしゃいますか?
大谷:ユーザー側での変化は非常に大きかったと思います。トピックとしては内製化がキーワードになり、積極的に取り組みを進める企業さんも増えています。既にDXや内製化を進めている星野リゾートさん日清食品さんなどのエンタープライズ企業は、ユーザーにとって目指すべき対象になっていますね。

大谷:10年間の取材の中で、システム開発は現場部門の人が作った方が最終的に良いものが出来上がるという実感が私の中でもあります。変化が激しく、言語化できていない業務に対応したシステムを構築できるのは、やはり業務に長けたユーザーだと思います。
ただ同時に内製化は大きな課題を抱えているとも感じています。それは現場部門は忙しい、ということです。通常の業務に加えてシステムの作成も受け持つのは現実的ではなく、実際にやってみたら大変だったというケースは本当に多いです。
これを解決していくためには会社の企業文化や風土、そして社員のマインドセットから変えていかないと解決しないことだと思います。

同時に、kintoneではオフィシャルパートナーが拡大を続けており、昨年のCybozu Daysでは400社を超える規模になっています。
層自体も広がってきたことで、課題に対してピンポイントで対応できる企業も増えてきています。充実してきたからこそ、ユーザー目線ではどのように選べばいいか分からないという問題も発生してきていると思います。
サイボウズさんにとっても、ここの舵取りはかなり重要になってくるのではないでしょうか。

ジョイゾー:市場や技術、環境の変化が加速したことで、ユーザーにも大きな転換点が訪れているんですね。そんな状況の中で、これからのSIに求められることはどんなことでしょうか?

大谷:これはクラウドのSI全般に言えることなのですが、継続的であることが重要だと考えています。お客様の課題は業務に合わせて拡大していきますが、同時に業界の動向など環境にも大きく左右されます。そのため、スポットでの対応ではなく、継続的に支援することに価値があります。

一般家庭で考えてみるとわかりやすいかもしれません。子どもの教育問題を考えるときによく聞くのが「塾を辞めたらそれまで伸び悩んでいた成績が伸びた」というものです。これは業務改善でもよくあることだと思います。
やらされているものにはモチベーションや熱量が起きづらく、改善が進んでいかない。手を出して欲しくない時に手を出さない、そういった距離感を保つことが必要になってきます。
共に歩くだけの伴走ではなく、山あり谷ありで進む状況に対して、必要な支援を汲み取って届けられるかどうかが今後重要になってくるのではないでしょうか。

ジョイゾー:私たちも日々お客様と対面する中で、必要な支援が目まぐるしく変化していくことを感じています。外の立場から関わるからこそ助けになれることは必ずあるはずなので、「伴走」とはなんなのかを考え続けないといけないですね。

ジョイゾー:最後にシステム39に何かメッセージをお願いします。
大谷:競合優位性が高く、これから先の10年もやっていけるサービスだと感じています。これまでの動きを継続しつつ、拡大し続けている市場に合わせて、改めてどんなサービスなのかを知ってもらえる機会を増やしていってください。
奥の深い世界だと思うので、提供側としてシステム39に関わるエンジニアの皆さんにも突き詰めてやっていて欲しいと思っています。

元祖対面開発として価値を届ける

対面開発のポイントは、高度なコミュニケーションによる業務理解というキーワードは、私たちにとってもシステム39を客観的に見つめ直すきっかけになっています。対面開発だからこそ届けられる価値を10年蓄積した今、改めて定義し直すことができると思っています。
皆さんと一緒にどんな世界を目指していきたいのか、システム39の考え方と共に皆さんにお伝えしていきます。

次回の「システム39と旅した10年」ではこの10年間、同じSI業界で共に走ってきた皆さんからお話しをお聞きしていきます。


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