ドリップコーヒーの注ぎ方のコツ―「の」の字に回すのは何故?
「ドリップコーヒー」は家で淹れられるコーヒーとしては一番身近な存在である。
しかしお湯の温度や粉の量等、変数がとても多く、狙った味を作り出すのが難しい淹れ方でもある。
特に「お湯の注ぎ方」に関しては感覚的な話も多く、何が正解なのか、はハッキリと定義できない。
「の」の字に回すように注ぐ、などはよく聞く話だが、そもそも何故回して入れる必要があるのか?
今回は「ドリップコーヒーのお湯の注ぎ方」について、自分の知識をベースにレクチャーしたいと思う。
作りたい味わいによって注ぎ方を変える
結論としては上記の通りで、
・すっきりな味わいにしたい=回さずに中央へ注ぐ
・しっかりとした味わいにしたい=回して粉へ均等にお湯がかかるようにする
という考え方である。
コーヒーの粉はお湯に触れた瞬間、成分が移動することになる。
最初は「酸味」成分がお湯へ溶けだし、その後「苦味」成分がお湯へ溶け出す。
例としてHARIO社のドリッパーV60で淹れ、実体験した話を。
お湯を回さずに中央付近へ注いだ場合、下記の図のようになる。
V60ドリッパーはV字の形をしており、中央へお湯を注ぐと粉はドリッパーの形状に沿って層を形成する。
お湯が粉に囲まれる形で、底へ抜ける層は薄くなる為、お湯が落ちるスピードが上がる。
前述の通りコーヒー粉は先に「酸味」成分が抽出される為、結果として酸味成分が多いコーヒーが仕上がる。
次に回して淹れる(粉が均等にお湯に触れる)場合は下記の図のようになる。
粉は一度お湯に触れ、ドリッパーの底へ堆積する格好になる。
その上にお湯が乗り、粉全体へ、ゆっくりとお湯が落ちていくことになる。
最初は酸味成分が抽出されるが、時間が経過することにより「苦味」成分も同時に抽出される。
結果としてしっかりと、ビターなコーヒーが出来上がる。
注ぐスピードも重要
加えて、お湯を注ぐスピードによって上記のコーヒー粉の層のでき方が変わる。
素早く、中央に注ぐとコーヒー粉の層はエッジの効いた、V字型の層を形成する=よりお湯が素早く落ちる。
結果、より酸味が効いた味わいのコーヒーに仕上がりやすくなる。
ゆっくりと注いだ場合、当然のように落ちるスピードは遅くなる。
時間がかかる格好になるので、苦味成分を抽出しやすくなる。
まとめると
・中央付近へ回さずに、素早く注ぐ=酸味しっかりな味わい
・中央付近へ回さずに、ゆっくり注ぐ=酸味が感じやすい味わい
・「の」の字に回し、素早く注ぐ=甘みや苦味も感じられる
・「の」の字に回し、ゆっくり注ぐ=甘み、苦味を感じやすい
という感じ。
蒸らしの仕方でも味わいが変化
ドリップコーヒーの淹れ方を調べると、最初はお湯を少量注ぎ、数十秒待つ……
いわゆる「蒸らし」と呼ばれる手順が取る淹れ方が多い。
これは粉内部にある「炭酸ガス」を逃がすための儀式みたいな作業で、ガス=気体があるとお湯が粉内部まで浸透しにくい為。
お湯をそそぐとモコモコ……と層が上がってくるシーンをよく見るが、それがまさに炭酸ガスが抜けている状態。
蒸らす時間が短いとすっきり酸味。長いとしっかり苦味を感じやすくなる。
また蒸らしの間、粉を均一にスプーンなどで混ぜる、という手順を取る場合もある。
これもお湯が全体的に行き渡り、バランスが取れた味わいにするという考え方であるが、その後の注ぎ方とのバランスが大事。
筆者も「蒸らし中、粉を混ぜる」派であるが、
蒸らしである程度バランスは取れているはずなので、その後は中央へ素早く注ぐことを意識している。
私自身は
「お湯を注ぐ→スプーンで底からよく混ぜ、20秒間蒸らす→お湯を中央へ素早く注ぐ」
上記の方法を、特に質の高いコーヒーでは使用している。
最後に
と、コーヒーにおけるお湯の注ぎ方について色々と書いてきた。
他にも注ぎ方については色々考えられる要素があるのだが、まずは回すor回さないがどう味わいに変化をもたらすのかを意識してみていただけると嬉しい限り。
淹れ方は無限にあるし、どれが完璧な正解、というものも無いと思う。
それぞれの口に合う、グッドな淹れ方を開発してみて欲しい。
今後も美味しいコーヒーを淹れる方法について書いていきたいと思います。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
貴方に良いことがありますように。
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