スペシャリティとサブスペシャリティ|得意分野を伸ばして、苦手分野を作るな
医者にはスペシャリティとサブスペシャリティがある。
私の場合は、スペシャリティは「画像診断」で、サブスペシャリティは「乳腺の画像診断」だ。
サブスペシャリティとは、日頃の読影もそうだし、カンファの担当とか、学会発表や論文のテーマにもなる。
研究に選ぶテーマは自分の好きな領域の方がいいだろうが、たとえそうでなくとも、研究するにあたり、読影実験をしたり、論文を読むので、自然とサブスペシャリティになる。得意になっていくのだ。
サブスペシャリティがあるからといって、そればっかりしてればいいか、というとそうでもない。
放射線科医は全身の画像診断をしなければいけないし、特にcommonな胸腹部CTとか頭部MRIとか、どう考えても避けれない。
救急の画像を全部ひとりで処理しなければいけない当直もあるし
当然、専門医試験は全範囲から出るしね。
でもサブスペシャリティがあることで、自分のウリにもなるし、日常診療においても「その領域だったら、あの人に相談してみよう」と思われやすい。
このサブスペシャリティについて思うことを書いてみる。
■サブスペシャリティが不人気の領域であれば、ラッキー
放射線科で、乳腺領域をサブスペシャリティで選ぶ人は少ない。
学会にいくと、発表しているのはいつも同じメンツ。
いつも同じメンツが同じようなことをあぁでもない、こうでもない、と言っている笑。
もちろん私もそのひとりであった。
日常診療においても、乳腺に興味のない人は、画像枚数の多い乳腺MRIを読影したくないし、 2Dのマンモグラフィーはまだしも、3Dのマンモグラフィーなど読影したくない。
私は「やるやるー!」って感じなので、なんの問題もない。
自分は好きなことをやっているのに、やるとありがたがられるという、なんとも美味しい立場になれるのだ。
■サブスペシャリティは二つあったほうがベター
私は「乳腺の画像診断」がとりあえず好きだった。
そして機会にも恵まれ、比較的そればっかりやっていた。
でも次に好きなのが「骨軟部(整形外科)の画像診断」だった。
優秀な指導医の先生がいたし、スポーツ整形が盛んな市中病院に一年間出向に出たこともあり、私は他の人より骨軟部領域に苦手意識がなかった。
今、私は自宅で遠隔画像診断をしているが、よく回ってくるのが、骨軟部領域。
おそらく他の先生が断っているのもあるのかもしれないが、そればっかり。
乳腺領域が一番好きだし、得意だけれど、もう一つあってよかった、と思う。
人生どこでそうなるかわからないので、二つくらい持っておいた方がいい。
■人がいない分野だと、替えがきかなくて困ることも
乳腺の分野を日々読影し、生検もし、新しい検診システムも始めた。
頑張っていた。
しかし、ひとたび留学する、となったときに
「代わり、誰がやるん?」
ってなってしまった。
後輩も育ってなかった。
そして私ほど、乳腺に興味がある後輩はいなかった。
あまり人気のない分野が好きだとすぐ重宝がられるが、それ故に代わりがきかないのだ。
バイト先の引き継ぎも、探すのが大変だった。
私は乳がん検診のバイトをしていて、
マンモグラフィーの読影と、乳腺超音波の読影と、触診と、結果説明という内容だった。
放射線科のドクターだと
マンモグラフィーはまだしも超音波はできない、とか
両方できるけど、触診と結果説明はしたくない、とか
でも乳腺外科のドクターだと
実際の乳癌診療で忙しく、検診には回れない、みたいな
「代わりの先生、見つけれないなら、留学やめてください」
と、その健診センターの事務長に言われて、一度憤慨したことがある笑
替えがきかないのも、時に困るのだ。
■スペシャリティ内の苦手領域を作らないことも大切
はっきり言おう!
私は、耳鼻科領域の画像診断が苦手だ!
(知らんがな・・・)
なぜならば、そこの分野の読影を頑張ってこなかったからだ。
でも一回、外に放り出されると、
「あー、後期研修医の時にもっと読影しておけばよかった」
と思う。
「ここ、苦手だな」という分野は少ない方がいい。
「そこ、読めません」って言いたくないしね。
若い時は視野が狭く、興味のない分野は極力読影したくないかもしれない。
他の人が読んでくれるのを、実はこっそり待っているかもしれない。
でもこれからもずっと
「芸は身を助ける」
し
「勉強したことは無駄にならない」
から、
「得意分野を伸ばして、苦手分野を作らない」
ことで、将来自分の役にきっと立つよ!
最後まで読んでいただきありがとうございます❤︎
これからもどうぞよろしくお願いします!
▶︎サイトマップ↓
▶︎質問、お問い合わせはこちらから
読んでくださり、ありがとうございます! 面白かった、役に立ったと思ったそこのあなた、もしよかったらサポートをお願いします😊 100円でもいいよ! Thanks in advance!!