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後期研修医という生き物

世の中には「後期研修医」という生き物が存在する。

一般的に「研修医」と呼ばれる生き物は国試合格後、2年間の研修をしている者たちを指す。

後期研修医とは、その2年間の初期研修医修了後
どこかの科に入局し、各学会が定めた専門医の取得を目的とする、医師の研修期間中の生き物のことを指す。別の名を「専攻医」と呼ばれるらしい。

医者3〜6年目あたりだ。

初期研修医の間はなんぼいっても、お客様、責任はあまり問われないのに対し、

後期研修医になった途端に、その科の先生として一人前に扱われ、患者さんに接し、他科からコンサルテーションを受ける。

扱いはけっこう変わる。

今回は「後期研修医という生き物」について書いてみる。



■バイトができるため、小金を稼げる

初期研修医との大きな違いは、バイトができるようになることだ。

大体どこの大学病院も、外勤日が設定されており、週に1回は外の病院で働く。

大学から出るお給料は少なく(ところにより無給)(ところにより初期研修医より安い)、

その分「外に週1回出してやるから、そこで生活費を稼ぎなさい」という構図になっている。

バイトが好きな人はものすごく好きだ。

当直にもめっちゃ行く。

家で寝るより、病院で寝泊まりするのを好む者もいる。

医局で順番に回している当直もあったり、先輩から「今日いけないから、頼む!」と突然言われたりもする。

バイトをするのはいいが、

気をつけてもらいたいのは、

・日本は累進課税であり、バイトすればするほど収入は上がり、確定申告でガッツリ取られる。
・翌年の住民税が跳ね上がる。

ということ。

後で、涙がちょちょぎれますよ。

くれぐれももらった額全部使っちゃダメよ!

■医局の駒と化す


医局に所属している場合、医局の駒と化す。

多くの大学病院には分院やOBのいる関連病院がたくさんある。

医局には人事があって、ぐるぐる回される。

僻地の関連病院に飛ばされることもある。

基本的にNoと言えない人事だ。


辞令は早い医局も、遅い医局もあるが、うちは1月末くらいだった。

1月中旬にある医局の新年会で教授に探りを入れたり、直接人事について答えてもらえたり。

後期研修医の中で、ハズレの関連病院があり、自分がそこに行かなくていいとわかると皆ガッツポーズをとっていた。

ハズレとされる病院にはこんな特徴がある。

・僻地
・上司が不人気
・症例が少ない
・IVRがない
・土曜日毎週ある


その人事が嫌であろうとも、専門医を取りたいため、まだ医局をやめるわけにはいかないのが、辛いところ。

医局の都合で、他の病院に出るのだが、辞職したことになり、勤続年数がブツ切れになる。

■助っ人として使われやすい

少し前に、「後期研修医のコロナ病院派遣」がニュースになったが、後期研修医は使われやすい。

どういうことかというと、病院の必須な役割を果たす科のドクターが足りなくなった時、こぞって駆り出されるのが後期研修医だ。

力のある者達は、初期研修医終わっていて、責任の取れる立場だけど、まだ独り立ちはできない者たちに対し、権力を行使する。

具体例を挙げると

私が最初に勤めた大学病院では、麻酔科のドクターが足りなくなり、後期研修医が順番に麻酔科をローテしていた。


また次の大学病院では、救急科のドクターが足りなくなり、後期研修医が順番に救急科をローテしていた。

「せっかくローテ終わったのに、また?」みたいな。

文句をいう者も、楽しんでやる者もいた。


■大学院に行く者と行かない者がいる


専攻医として、自分のキャリアを磨くとともに

博士号取得を目指し、大学院に通いながら研修を行う者も多い。

世の中には、大学院生に優しい医局と優しくない医局がある。

院生の扱いは医局によって異なる。


【大学院生に優しい医局】

✔️研究日に専念できる環境
✔️臨床は少しだけ
 (外来を少し担当するが、病棟患者は持たない、など)

✔️バイトを斡旋してくれる
 (院生は大学院に学費を納めているし、大学病院からのお給料が減るため)

この逆が【大学院生に優しくない医局】となるが、働いたとしても無給の場合もある。

私は最初に勤めていた大学病院が【大学院生に優しい医局】であったのに対し、次の大学病院が【大学院生に優しくない医局】であった。

なので、院に行く気がしなかった。

当然のことながら、専門医試験の勉強と、学位取得を同時にやるのは大変だ。

またあまりに早くに【大学院生に優しい医局】に入った場合、研究ばかりになってしまうと、臨床能力が伸びないかもしれない。


■専門医制度はそもそも続くのか?

専門医試験の受験資格は学会によって異なる。

学会から研修施設として認定を受けている施設で研修しなければいけないので、ある程度は大きい病院で勤める必要がある。

後期研修医がいつ終わるかは科による。

専門医試験が一発で終わる科もあるし、

放射線科のように

放射線専門医の後に放射線科診断専門医をとる、という2段階を踏まなければいけない場合もある。

外科であれば、手術件数もいるし、

学会発表の実績や論文がいる専門医制度もある。

日本専門医機構が参入してから、専門医は取得も更新も難しくなることが予想される。

今は過渡期。

更新は5年おき。

私は今年、従来の規定で専門医を更新したが、次回の更新は機構のルールに乗っ取らないといけない。

最近のトピックとして、「専門医機構が、専門医の更新制度に医師不足地域での1年間勤務を要請する」というニュースがあった。

これに関してはかなり反発は大きい。

「せっかくとっても更新できないんだったら、最初から取らなくていいや」という人も出てくるかもしれない。



機構があまり無理難題を押し付けると、専門医制度自体の存続が危うい。

専門医を取らない医師が増えると

後期研修医は希少価値となり、絶滅危惧種となる可能性すらある。


はてさてどうなるのであろうか?




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