じいじ 保育士を目指す! 熱い意志
この本を読んで
著者の熱い思いを感じ、これからその道に進むだろう者に勇気を与えてくれる本だ。
確かに、自然科学が席巻し、大学の予算のほとんどが自然科学(この場合は工学や医学も含めて大雑把に言ってしまうが。。。)によって占められ、自然科学流の評価系、つまり英語論文がメインでそのインパクト係数で測られるモノや主流と言われる流行りの研究分野に厚い予算配分がなされている。
西洋中世から近世のラテン語よろしく、アカデミックな世界では英語論文が主流であるから有名な学術雑誌(英語誌)に掲載される前提は当然英語だ。英語論文でなければ論文ではない風潮が蔓延している。著者は、日本語学系の先生だから、論文で意味があるのは日本語論文で、英語で書いても世界にいる日本語学の研究者へのインパクトは逆に無くなるし、そもそもインパクト係数が持つ(共著者を増やし、引用を意識した論文を短時間に多数生成するという中身が薄い、IFを高めるテクニックに走るなど)矛盾を指摘している。
英語至上主義や流行学問領域とは既にピークを過ぎた衰退期の学問的傾向だと言う指摘とその様な重点予算配分の仕組みが、中長期的なこの国の学問的衰退傾向を招いている原因だとも言う。
学問の新しい芽とその成長は、多様性と長期的な学問の安定した土壌が不可欠だ。そういう腐葉土の様な芳醇な学問的土台があるから新しい芽は芽吹くのだと私も思う。
人文社会科学系へのオマージュとその世界を目指す者へのエールを強く感じる一冊だ。
さて、今日はこの辺で。
インパクト係数
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