セイル

数年前、27年勤めた会社を早期退職・セミリタイアしました。有り余る時間を活用して、色々…

セイル

数年前、27年勤めた会社を早期退職・セミリタイアしました。有り余る時間を活用して、色々と考察したこと(とりあえず、漢文など言語のこと、セミリタイアのことなど)をツラツラと書いていきます。いちおう、大学と大学院で理学士と文学修士はとっています。

マガジン

  • 漢文訓読のための古典文法

    漢文を訓読していくために必要な日本語の古典文法(訓読文法)を、なるべく網羅的にまとめていきます。  古典文法と訓読文法はある程度は重なってはいても、異なっているところもあります。そこで、私の読書経験のなかで、訓読文法をツールとして整理していき、まとまり次第、順次投稿していきます。

  • 日本語

    日本語の文法などについての個人的な考察・まとめ

最近の記事

漢文訓読のための古典文法~助動詞編(4) 《ごとし/ごとくなり/ごとくす》~

***  本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 *** 1.《ごとし》活用と接続  《ごとし》は、漢字では《如》《若》か、再読文字《猶》(なほ~ごとし)に相当する助動詞で、意味としては単純明快、「~のようだ」と訳せば、大体それで行けます。  しかし、他語との接続は複雑怪奇。  まず、「~が(の)ごとし」と、助動詞なのに、前に《が》や《の》を挟むことが、半ば義務化しています。  また、活用形が少

    • 漢文訓読のための古典文法~助動詞編(3) 《ん/む》《べし》~

      ***  本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 *** 1.推量の助動詞について 前記事において、時を表わす助動詞として《り》,《たり》,《き》《ん》をピックアップしました。うち、《ん》は、前三者と異なり、未来を表わし得る言い回しです。  ただ、《ん》それ自体に未来の意味があるわけではありません。未来のことは不確定だから何らかの推量表現を用いざるを得ず、それが《ん》である、ということです。だから、以

      • 漢文訓読のための古典文法~助動詞編(2) 《たり/り》《き》~

        ***  本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 *** 1.時を表わす助動詞について 時を表わす助動詞(完了・存続等を含む)として、古典文法においては《つ》《ぬ》《たり》《り》《き》《けり》《む》《けむ》など多数登場します。  一方、漢文においては状況が異なります。《已に》,《嘗て》《明日》《五十年前》などの副詞的な語彙をもって時を表わすことはありますが、過去や完了を表す動詞/助動詞というものは、

        • 漢文訓読のための古典文法~助動詞編(1) 《る/らる》《しむ》《ず》~

           本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 *** 1.助動詞について序論本企画で扱う助動詞について  本企画で扱う助動詞は、漢文訓読においてよく現れるものに限定し、4回に分けて説明します。 ●助動詞編(1) 《る/らる》《しむ》《ず》(=本記事) ●助動詞編(2) 《たり/り》《き》(《ん》) ●助動詞編(3) 《ん》《べし》《ごとし》 ●助動詞編(4) 《なり/たり》  これらの表の特徴

        漢文訓読のための古典文法~助動詞編(4) 《ごとし/ごとくなり/ごとくす》~

        • 漢文訓読のための古典文法~助動詞編(3) 《ん/む》《べし》~

        • 漢文訓読のための古典文法~助動詞編(2) 《たり/り》《き》~

        • 漢文訓読のための古典文法~助動詞編(1) 《る/らる》《しむ》《ず》~

        マガジン

        • 漢文訓読のための古典文法
          8本
        • 日本語
          1本

        記事

          漢文訓読のための古典文法~形容詞編~

           本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 *** 1.形容詞の活用と接続「ク活用」と「シク活用」  一般に、古典形容詞の活用には「ク活用」と「シク活用」があるとされます。  しかし、この二つの活用の違いは微小で、本質的には同じ活用といっても良いくらいです。念のため両者の活用表を挙げましたが、まるで間違い探しのようです。ネイティブの日本語話者であれば、テスト対策などは別にして、わざわざ区別して記憶す

          漢文訓読のための古典文法~形容詞編~

          漢文訓読のための古典文法~動詞編(2) 注意を要する動詞~

           本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 * * *  前回は、一般的な動詞の活用とその接続について述べましたが、今回は、一般論に従わなかったり、その他、注意すべき動詞について述べていきます。  発展的な内容を含むため、適宜、省略してOKです。ただし、サ変動詞は頻出なので、サ変動詞の項だけは先に読んで下さい。  他にも《来たる》《死す》《居る》《入る》《出だす》《出づ》《得》あたりは、早めにおさえて

          漢文訓読のための古典文法~動詞編(2) 注意を要する動詞~

          漢文訓読のための古典文法~動詞編(1) 動詞の活用と接続~

           本企画で作成した活用表をpdfファイル化しました。適宜、ダウンロードやプリントアウト等をしてご活用下さい。 *** 1.活用と接続 漢文訓読において、カ変、ナ変、下一段活用はほとんど用いられないので(次回で詳しく説明)、ここではそれ以外の活用、すなわち、四段活用、下二段活用、上二段活用、上一段活用、サ行変格活用(サ変)、ラ行変格活用(ラ変)について説明していきます。 活用表  いきなりですが、活用表を以下に示します。  各活用形の後には、接続し得る助動詞・助詞

          漢文訓読のための古典文法~動詞編(1) 動詞の活用と接続~

          漢文訓読のための古典文法~はじめに~

          本企画の目的 本企画の目的は、漢文を訓読していくために必要な日本語の古典文法(訓読文法ということにします)を、なるべく網羅的にまとめることです。  とはいえ、漢文訓読の方法は、人により時代により、それぞれ異なっており、100%網羅するなんてことは出来ませんし、仮に100%を目指すのであれば分量が膨大になり、読者の労力、そしてこの記事を書いている私の労力が大変なものになります。  そこで、レアな話・個別性の高い話はカットして、頻度の高い文法事項のみを抽出していくこととします。

          漢文訓読のための古典文法~はじめに~

          文法上許容スベキ事項 本文テキスト

          概要 江戸幕府が倒れ、明治の世が訪れてなお、日本語は平安文学や漢文訓読に基礎をおく文語体で書かれていました。  しかし、平安時代が終わって既に数百年、いわゆる「古典文法」では説明できない言い回しも少なからず用いられるようになっていたのが実態です。  これらを一方的に「誤り」として退けることは、平安以降の多数の価値ある文章の読解、また、明治時代、現に用いられていた文体の運用に支障をきたすことにもなりかねません。  そこで文部省は、この種の言い回しのうち、許容すべきものを抜粋し

          文法上許容スベキ事項 本文テキスト