見出し画像

画面越しでしか会えないあなたへ

私は、先生と実際にお会いしたことがない。なぜかというと、彼女は英語のオンライン家庭教師なので、今までskype越しでしかレッスンを受けたことがないからである。

先生に教えてもらって、もう早くも7年ほどが経っているが、私が彼女について知っていることは少ない。
講師名が下の名前であろうこと(これも定かではない)、彼女の輝かしい経歴、身長、家族構成ぐらいである。



ただ、先生とのたくさんの思い出の中で、気づいたこともある。

まず、先生はあまり表情筋が仕事をしない上に、口数が多くない人だということだ。

だから私はなるべく面白いネタを提供しているのだが、5回のレッスンに1回くすり笑いをしてくれるかぐらいである。
前に私が焦って、"what did I say?"と言ってしまったときがまだ1番ウケていたかもしれない。ちなみに、これには後ろで聞いていた家族も爆笑していた。

先生が大声で笑っているところをいつか見たいと思っているが、今のところそれはなさそうだ。

次に、先生は途方もない努力でその華々しい経歴を手に入れて来た人なので、生徒にも求めるレベルが高いことだ。

先生はまず最初に、私の母は「東大に入れるぐらいにまで教えるつもりですから」と宣言したそうだ。母は笑ったそうだが、先生は真顔だったらしい。
実際、スパルタというほどではないが、甘えは許しませんというスタンスであったように思う。

褒めることはあまりなく、厳しいダメ出しも多かった。私の心が弱かったら、先生の前で泣いていたかもしれないことを言われたときもある。


彼女は私の学校の先生ではない。直接会ったことは1度もない。他にもお世話になった先生はいる。

それでも、「忘れられない先生」でまず1番に思い浮かぶのは、彼女なのだ。

先生がいたから、私は英語が上達した。
先生がいたから、海外で全く英語が話せなかった私でも、外国人の親友ができた。
先生がいたから、現地校の勉強にもついていけた。
先生がいたから、英語の資格を取ることができた。
そうして、今の私がいる。先生に出会えなかったら、母が先生を紹介してくれなかったら、私は違う人生を歩んでいただろう。

「東大を目指す」と初めは言っていた先生だけれど、私が数ランクしたの今の大学に合格が決まったとき、「おめでとう、きっと充実した4年間になると思います」とのメッセージをくれた。

彼女にはほんとうにお世話になった。
受験が終わってレッスンの受講は辞めてしまったけど、先生を忘れることはないだろう。

先生から教わったことは確かに、私のなかにある。

いつか東京のどこかで会えたら、彼女にたくさんの感謝を伝えたい。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?