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全国の知事こそ沖縄県を応援しよう

自民党の政治資金問題をめぐって政治不信が高まる中、「政権交代」を望む声が大きくなっているという調査結果には、驚きました。その一方、朝日新聞が全国の知事に対して行なったアンケートの結果にはがっかりさせられました。

それは沖縄県の普天間基地を辺野古に移設する計画に関するアンケートです。沖縄の基地の負担を軽減すべきと答えた知事は半分近い21人となっていますが、受け入れるかについては一人もその意思はないとなっています。わたしは日米同盟は極めて重要だと考えていますが、日本にとって重要だからこそ負担も分け合ってほしいと思います。ただ知事自身にとっては自分たちのことが最優先のはずですから、この結果も予想できるものです。

失望させられるのは埋め立ての改良工事に向けた国による代執行や移設計画そのものについて、ほとんどの知事が回答を避けたことです。中には、岩手県の達増知事のように「どちらかといえば不適切」と答えたり、群馬県の山本知事のように「適切」と答えている方もいます。しかし9割の知事たちが回答を避けたのです。

忘れてはならないのは沖縄県では、5年前、県民投票が行われ、埋め立てに対して7割が反対する結果が出ていることです。県民の意志が示されているのにそれがないがしろにされ、埋め立てが進む状況は地方自治に関わる重大な問題です。

アンケートをよく見ますと知事たちが意見を付けています。「安全保障は国の専管事項」であることを理由に切り捨てるような意見もある一方、「国と地方の関係が対等な関係であることが前提」「国の関与は必要最小限とすべき」「自治体の自主性を尊重し、対話により合意を図るプロセスが重要」「政府は解決に向けた協議を丁寧に行うことが求められる」「地方分権に配慮した対応の余地があった」「沖縄県の自主性を踏みにじった」「国は十二分に話し合いを」「県民の思いに政権が共感をもって寄り添う必要」「国民的議論を行ない政府と沖縄県で協議を尽くすべき」「県民の意思を踏まえるべき」「国と地方が対等な立場で責任を果たすことが重要」などとなっています。これを読むと知事たちが良く言えば、安全保障と地方自治の狭間で悩んでいると言える反面、悪く言えば回答はしないけど意見をつけることでバランスを図ったとも言えます。

振り返ればコロナ危機のとき、わたしたちは自分が住む自治体の首長の判断が感染症対策において大きく影響することを実感したはずです。安全保障のような大きな政策は一元的には国の問題であるのは事実ですが、だからといって首長の出る幕ではないというのは違うと思います。

地方自治法に基づく代執行も最高裁判決で沖縄県側が負けましたが、代執行自体について玉城知事は「国と地方自治体の関係を対等から上下の関係に逆行させるものだ」と批判しています。わたしも地方自治の理念に立ち返って沖縄の問題を考えてほしいと思っています。それには全国の知事たちの応援が必要です。移設への是非については、各々の知事にも考えがあると思います。全国の知事たちには、各々の考えとは別に、地方自治の観点から沖縄県を応援してほしいと思います。

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