宗教や信仰についての雑記 #149
◯鬼軍曹
先日、鬼軍曹という言葉を耳にしました。
鬼軍曹とはご存知の通り、厳しい規律と徹底した指導で知られる人物を指す俗称です。
厳しい訓練や叱責を通して、部下を鍛え上げる姿から、鬼になぞらえて呼ばれるようになったと考えられています。
この鬼軍曹という言葉は、陰口で揶揄の意味を込めたものとして使われることが多いと思います。
そして鬼軍曹と呼ばれる人には所謂「叩き上げ」の人が多いように思います。言い方が悪いかもしれませんが、そのような方はある意味で教条主義者であるような気がします。この場合の教条とは自分の経験から得た信念です。
しかしその信念は、おそらくある場面では正しく、また別の場面では間違いなのでしょう。人の境遇や性格は千差万別だからです。
鬼軍曹と呼ばれた人はどんな組織にでもいたのでしょうが、パワハラやモラハラなどが問題視されている今の社会では、だいぶ居づらくなっているのではないでしょうか。それは今の社会は多様性が重視されているため、一面的な指導方法は良しとはされないからなのでしょう。
これは憶測なのですが、鬼軍曹と呼ばれる人の心の中には、過去の経験から生じた「自分が、自分が」というような強い我執があるのではないでしょうか。
様々な要因から、今までの自分を支えてくれた「おかげさま」という観点が非常に弱くなったのではないかと、そんな気がします。 無論これは憶測なので本当のところはわからないのですが
言い方を変えれば、そこには個人の努力で何でもできるという、行き過ぎた人間中心主義があるようにも思えます。
心身の強さや限界点は人それぞれのはずですが、そのことを見落としてしまいがちになっているようです。
「おかげさま」という視点を欠くと、自分も他者もともに苦しめてしまうと、鬼軍曹という言葉からそんなことを考えました。