宗教や信仰についての雑記 #95
◯宗教や信仰に頼るということ
「宗教や信仰に頼らなければいられない人は、心の弱い人だ」という意見を何度か聞いたことがあります。
この意見はある面では正しいのでしょうが、必ずしもそうとは限らないようにも思えます。
たとえ宗教や信仰に頼っていなくても、様々な思想やイデオロギーに頼る人もいます。
他者とのふれあいや交流に頼る人もいます。趣味や娯楽、ボランティアなどに頼る人もいます。
ときには仕事への没頭に頼る人もいます。
医療や福祉に頼らざるを得ない人たちもいます。
そもそも、電気やガスや水道などのライフラインが止まれば誰もまともに暮らせません。
様々な交通機関が止まっても同様です。
我々は皆誰もが文化と文明の中に生きていて、お互いに助け合って暮らしています。
誰もが誰もに頼っているのです。
厳密に言えば、一人だけの力で生きてゆける者は誰一人としていません。
宗教や信仰も、我々がその中で暮らしている文化の一部です。
過剰に頼ることには問題がありますが、日々の心の支えとして適度に頼っているならば、殊更その人の心が弱いとは言い切れないと思います。
そのような意見の背景には、弱い・強い、正しい・間違いなど、物事を2つに分けて考える二分思考があるように思われます。
人間は有限な存在で、全ての情報を得ることも、あらゆる状況を完全に把握することもできません。自分の今の力がいつまで持続するかも予想できません。現代ではそのことが忘れられがちなため、二分思考が広まっているような気がします。
宗教や信仰に頼っても、そのような思考に陥らないよう気をつけなければならないでしょう。
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