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宗教や信仰についての雑記 #94

◯「死は存在しない」を読んで

先日、「死は存在しないー最先端量子科学が示す新たな仮説 」(田坂広志著 光文社新書)という本を読みました。
この本では、ゼロポイントフィールド仮説という仮説のことが書かれていました。
その「ゼロポイントフィールド仮説」とは、宇宙の根底にある量子真空の中に存在する「ゼロポイントフィールド」と呼ばれる場が、宇宙の全ての出来事に関する情報を波動情報として記録しているという仮説です。

そして田坂氏は、人間の意識もまたゼロポイントフィールドと繋がっていると主張しています。意識はゼロポイントフィールドからの情報を得ることができ、肉体が死んでも意識はゼロポイントフィールドに残存し続けるとも述べています。

著者はこの仮説を、臨時体験や前世の記憶、守護霊やシンクロニシティなどの不思議な出来事を科学的に説明するものだとしています。
しかし、ゼロポイントフィールドになぜ宇宙の全ての情報が記録・保存されているのか、人間の意識がなぜゼロポイントフィールドに繋がっているのか、その根拠が明示されていません。

私個人の感想としては、この本の内容は科学の言葉をまとった宗教のように思えます。
でも私はこの本の内容を否定するつもりはありません。私も何らかの病気で余命宣告を受けたとしたら、この本に書かれていることが心の支えになるかもしれません。

この本は、測定可能でないものを存在しないとみなす科学への警鐘と、世俗化が進んだ現代社会の中での宗教のあり方の模索であるような、そんな印象を受けました。

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