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宗教や信仰についての雑記 #150

◯「置かれた場所で咲きなさい」

「置かれた場所で咲きなさい」という本があります。これは2012年にノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんが著したエッセイで、累計300万部を超える大ベストセラーとなり、ロングセラーともなっているそうです。

この本は多くの人々に勇気を与えたと同時に、「現状維持を強要し、問題から目を背けさせる自己責任論だ」とか「転職やキャリアチェンジを諦めさせ、現状に留まらせる言葉だ」とかいった批判も受けたそうです。

この本の表題は、ラインホルド・ニーバーの詩からつけられたものだそうで、神から与えられた場所で諦めることなく、ベストを尽くして輝きなさい、といったような意味のようです。
また、この本のカバーには「現状が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。」とも書かれています。
どうやら「人事を尽くして天命を待つ」と似た(近い)意味のようです

それなのになぜ、「自己責任論」や「現状に留まらせる言葉」のような批判が出たのでしょう。

それはおそらく、言葉を文脈から切り出して非難するといった今の風潮によると同時に、超越者を否定した人間中心主義が一般化していることが影響しているように思います。
そしてそのことの背景には、為政者が支配のために宗教を利用した歴史もあるのでしょう。

もしそうであるなら、見方によっては上記のような批判は、過去に縛られ、精神の自由を失っているようにも思えます。
自由を求めるということは、過去の抑圧の記憶に縛られていることでもあるのかもしれません。

もしその縛りからも自由になれれば、この言葉を、状況に甘んじることを促すのではなく、主体的に人生を切り開いていくことを応援するメッセージとして受け止められるでのしょう。

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