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宗教や信仰についての雑記 #110

◯ツツジの毒

先日、ツツジの花の蜜には毒があるという話を聞きました。
ツツジは漢字で「躑躅」と書きますが、この字は「てきちょく」とも読み、足踏みすること、ためらうこと、という意味があるそうです。
ツツジにこの字が当てられた理由は、一説には、羊が誤って食べると毒で動けなくなってしまうから、とのことです。

生物には体内に毒を持っているものが少なくありません。それらは我々にとってはありがたくないものですが、その生物にとっては厳しい生存競争を生き抜くための手段のひとつなのでしょう。

仏教では貪・瞋・癡(欲望・怒り・愚かさ)を三毒と呼んで、最も根源的な煩悩として、克服することを目指しています。
我々は体内に毒を持つのではなく、心の内に毒を持つ存在のようです。

仏教にはまた、「善悪不二」という言葉があります。そして、ルター神学には「隠されたる神」という言葉があるそうです。
それら二つは異る概念なのでしょうが、どちらも我々が不幸や苦難に遭ったときの指針となり得るものだと思います。
悟りの境地から見れば善悪の区別はなく、すべてが真如の顕れであり、人生の苦難の内にも隠れたる神のはたらきがあると思えば、心の支えになるとも考えられます。

一方人間は古代より、生物が持つ様々な毒を薬として利用してきました。
それと同じように、我々の心の裡に潜んでいる毒である様々な欲望や負の感情を、ただ否定するのではなく薬として利用する知恵を持つことが大切なのではないでしょうか。
そのことが、人生で遭う苦悩の中に隠れたる神を見出す道へとつながるように思います。

ツツジの毒の話は、私にそのことを伝えるためのものだったのかなと、そんな気がしました。

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