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告白

今日はそっと見守るくらいのスタンスで、と思っていたのだ。
しかし、出勤してみると、かの部長が、今度はハシゴを持ち出して、シマトネリコの植木鉢に最も近い庭木の剪定に取りかかろうとしていた。

これは非常にまずい事になったと、シモフリスズメを確認すると、今までになくめちゃめちゃ目立つ場所にいるではないか。

ぐるぐる頭の中で考えを巡らせながら、仕事に向けての準備をいつも通り進めるつもりなのに、頭の中がグルグルしているので、物を落としそうになったり、手順がくるったりして、誰も見てない場所で不審者ぶりを発揮する。

平常心をよそおって、ホウキとチリトリを持って外に出ると、すでにに部長はやや高い場所でチョキチョキやっていた。
死角になっているので私はシモフリさんをながめて、何で今日はそこなん?と、心の中で問いかける。


なかなかの目線の位置で
外側をむいてムシャムシャ


近くに来た人が、もしもシマトネリコを眺めようとすれば視界に入るだろうし、葉っぱが減っている場所なので、動いていたらなおさら気付きそうだ。

ホウキでフンをかき集め、剪定された葉も一緒にチリトリに入れて、さもお手伝いしてる風に部長に声をかけてみたりする。

話しながらも、どうしようどうしようと頭の中でぐるぐる考えている。
これは、シモフリさんの存在を伝えておいた方が良いだろうか。

気付かないことを祈ってそっとしておこうか。
ぐるぐるぐるぐる。

道具が足りなかったので、今日のところは手早く剪定を済ませた部長がおりてりてきて、2人で剪定枝葉をかき集める。
部長は少なくとも、あと一回は剪定をするだろう。
その時もまたこんなにヒヤヒヤするのなら。

結局私はカクカクシカジカでと、シモフリスズメの存在を明かした。
そして、1匹しかいないのでそっとしといてあげてくださいと。
予想はできてたけど、ハイハイという感じで了解を得られる。
そっちまでは見てないし、気付いてないもん、ハハハハハ。
そのあとで部長には上の写真を見せに行った。


これではよく判らないけれど
近づくと、わ!って言うくらい見える。

それで終わるところだったのだが、その後、図らずも別部署の女子と外に出てビオラを見に行く流れになってしまった。
いかん、このままじゃシマトネの前を思い切り通るコースじゃないか。

ビオラの隣にレモン、レモンの隣にシマトネリコ、という並びだ。
彼女が、レモンにいたアゲハチョウの小さい幼虫がいなくなった、と言ったのを機に、私は観念した。
どう考えても見つかるのは時間の問題だ。
彼女の目線上でシモフリさんはモグモグしている。

実はアレアレコレコレで。。。見たらビックリするかもしれないけど。。。
ところが幸い、彼女は大きなイモムシが平気な人だった。
去年はレモンにナミアゲハの5齢幼虫がいたのだが、その事も知っているので、目にしたとたんキャ~!というような人ではないとは判っていたが、実は蝶じゃなくて蛾なんだけど、と言っても大丈夫だった。
ああ、良かった~。

そしてビオラはというと、一輪だけ黄色い小さな花をつけていた。


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