見出し画像

殺戮にいたる病

まず読み終わって30分も経ってない
今の気持ち。読了した感想。

うわ〜〜めちゃくちゃどタイプ。
完全に自分好みやった。
内容がまず刺激的でドキドキワクワクしながら
夢中で読んだ。面白かった。
こういうの大好き。求めてたのコレ。
(ジャンルが違いすぎて比較にならんが)
話題の『善良と傲慢』を読んで、
なんのトキメキも感じへんかった人間やけど
コレにこんなトキメキを感じるってことは
自分もある程度、タナトスに対して憧れ的な
とこがあるんかな〜

登場人物である大学教授のセリフで
犯人の行動描写を裏付ける心理的説明が
本文中にしっかり言及されてたことが
個人的にはめちゃくちゃ良かった。
ほんで映像ではさすがに表現できないというか
してはいけない(モラル的にも)部分を
活字で生々しくグロテスクに描写されてて
勝手に頭の中で映像化されてた。

ミステリー小説やのに初っ端から犯人わかってるし、
なんなら犯人視点で描かれてる。
えこれ、なんのトリックがあるん?
どんでん返しとかは無さそうって思ってて
最後にしっかりやられた〜
またこれも映像化できひんトリックで
叙述トリックはほんまにおもしろい!
最後の最後で全部覆る!
いやあほんまにありがとうございますとしか言えん。

ほんで笠井潔の解説までもがまじで面白かった。
この読み終わった直後のなんとも言えない『呆然』感
え?何が起こった?あれ話終わった?
を言語化してくれてて
はーーーーーーーおもろーーーーーって叫んだ。

解説読んでトリックわかった上で読み返して、
まだもう1回おもろい。
噛んでも噛んでも味するやん????
うわあちゃんとここで伏線あったやん?
今なら気付くのに〜〜〜
これがミステリー小説の面白いとこなんよ〜
もうさしっかりミスリードされました。
先入観って怖いな。(まんざらでもない)

とにかく内容から構成から結末まで
全てが自分のタイプでした。
こんなどタイプの作品に今後、出会えるんか
ぐらいの不安を抱くほど(笑)
読み終わりたくないと思いながら
夢中で読んで一瞬で読み終わった作品でちた^_^

以下ネタバレ含む
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

【考察】

流れとしては

①稔は幼少期から母を性的対象として見ていた
②稔は父親と関係が上手くいっていなかった
「同一化の対象である父親の不在」=男性の役割をうまく獲得できなかった
③稔は雅子と結婚し、愛と信一2人の子供を授かる
⇒ここで雅子にとっての息子は信一であり、稔ではないが完全に読者が騙される
④稔は第一の犯罪を犯す
(雅子が信一を疑う3ヶ月以上も前)
⑤信一がそれに気付く
→稔が埋めた乳房を掘り起こして自分の部屋に捨てる
⑥信一の態度がおかしいことに雅子が気付く
→信一の部屋から血の入ったビニール袋を見つける
⑦雅子は犯人が自分の息子(信一)だと勘違いする
⑧稔は犯行を繰り返す
⑨ついに息子(信一)が犯行現場に!
→信一を殺す
⑩雅子は担架に運ばれてきた信一を見て息子で間違いないと証言する
⑫稔は家に帰って母(容子)を殺害

ざっくりこんな感じ。

【伏線】

・エリカが稔をオジサンと呼ぶシーン
→ふざけとかじゃなくてまじでオジサンやから

・稔は大学を休むことを母(容子)に、「一回くらい、休講してもかまわないさ」と言うシーン
→学生側なら”休む“とか”授業飛ぶ”とか言うのに、”休講”は教授側のセリフ

・稔が敏子にタメ口で、敏子が稔に敬語
→性格的な問題じゃなくて、実際は敏子より稔が年上やったから

・雅子が疑った息子(信一)のよそよそしい紛らわしい態度
→父親である稔が異状性癖犯罪者と知ってしまったから

・稔の中の最高の女(稔が選んだ女)
→自分に似てる女=母に似てる女
→愛に飢えてる・コンプレックスを持っている
→父親から愛されず妹に旦那を寝とられる敏子が最も稔の条件に当てはまる
→見た目がほぼ一緒の妹(かおる)は違う
→「何故俺はそもそもあんな女を愛そうなどと思ったんだ」
→やっぱり妹(かおる)じゃだめ不合格

その他、母との記憶や気持ちを思い出さないようにする稔の描写やったりまあ分かりやすいのも色々あった。

なにより
雅子なんよ。(笑)
雅子が息子に執着しすぎたが故の勘違い。
このミスリードに読者が騙されたってとこ。
雅子の勘違い=読者の勘違い

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,937件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?