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JVM Japanese Visual Metal Zepp Tour Final -Zepp Haneda- ライブレポ(というほどでもないもの)


前置き

私をフォローいただいている方はご存知かもしれないが、私は現在アイドルオタクをしている。しかし私の本質はどちらかというと日本オタク。アメリカなどではWeeabooと呼ばれるような人種。そもそも日本人だからWeeabooではないのだが。

日本への一時帰国でJALのフライトに乗った時、機内プログラムでGLAYの特集があった。「この人たちの曲全部好きだ!」とファンになったのが私のJ-Rockというジャンルとの出会いである。そこからネットで日本のバンドについて調べていくと、GLAYは(一応)ヴィジュアル系というジャンルに属していることを知った。MALICE MIZERやDir en greyの様な代表的なバンドや当時最前線を行っていたKagrra,や今や世界的ロックスターとなった雅-miyavi-について調べ漁った。
ヨーロッパの中学生にとってヴィジュアル系というものは衝撃的だった。男が化粧をしていて、時には女装もする。MALICE MIZERのギタリストMana様は強烈に印象に残った。彼は後にMoi dix Moisというプロジェクトを立ち上げたことを知った。
当時まだ出来たてだったYouTubeで日本の音楽を聴き漁っていた頃、大ニュースが飛び込んできた。

Moi dix Moisヨーロッパツアー。なんと来独しミュンヘンに来るという。

ミュンヘンならなんとか行ける。日本よりは圧倒的に近い。父に行きたいと頼み込み、了承を得た。
ドイツのインターネットはなかなか不親切な出来であることが多いのだが、一生懸命調べてなんとかチケットを取った。これが私の初めて行ったヴィジュアル系バンドのライブだった。

大事に手帳にしまっている物の一つ。破れ目はチケットのもぎり。

本帰国してから初めてのライブ

私にとって、今回のライブは日本での初めてのヴィジュアル系バンドのライブだった。精神障害のせいでほとんど外出できず、日本の「統率の取れた」ライブが少し怖かったのだ。しかし病気も投薬治療で寛解し始め少し勇気が出てきたし、今回のライブは後方席があるという。後ろで静かに様子を見ながら軽くノるくらいなら誰も文句はないだろう。意を決してチケットを取った。

いざ当日現地に着くと様々な服装や国籍の人が集まっていた。コテコテのゴスロリさん、いかにもメタラー!な白人男性、様々な肌の色の外国人のゴスロリさん、お仕事帰りと思われるワイシャツにネクタイの男性、そして個人的に目を惹かれたのが私よりふた周り以上は年上であろう美しいゴシックファッションに身を包んだご婦人方。一緒に記念撮影をお願いしたいくらい素敵だった。あんな大人になりたいと思った。

5時頃着いたのだがグッズブースは開場時間まで再開しないという不思議な仕様。グッズブースが開くと同行者に列で待ってもらうようお願いし、ダッシュでお目当のバンドのアクスタとDフラッグを購入。Dはフラッグを物販で売ると予告しているのを見かけたので「おそらくライブで旗振る曲やるんだろうな。昔から憧れだったし買ってみよう」と購入。

整列するとスタッフさんに先導され会場に入っていったのだが、「ゆっくり誘導しまーす」と言ったと思ったらドリンク受け取り場でスタッフさんは黙って奥に引っ込んでいってしまった。私と同じ整理番号1番だった綺麗なお姉さんと「行っていいんですかね…?行っちゃいましょうか?」と若干困惑。

ドリンクを受け取り、2階へ上がり待っているとサウンドチェックの音が聞こえ、間も無く公演がついに開演した。

D

一曲目は「闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア」。2005年発売のDの言わずと知れた代表曲の一つ。ここ最近ダンスボーカルの被せの歌に慣れてしまっていたのでASAGI様の声量に圧倒された。続けて「組曲「狂王」第四番 ~黒羊は忠誠の夢を見る~」がDコールでスタート。「組曲「狂王」第五番 ~落陽に哭く蝙蝠~」では美しいメロディラインに聞き入っていた。するとお待ちかね、「薔薇の聖戦」。フラッグの出番である。「フラッグを持っている人はフラッグで、持っていない人は手でぜひ一緒に」とMC。振り付けはうっすらしか知らなかったがASAGI様の動きを一生懸命真似する私。曲が終わると「今日はDからサプライズがあります。Mana様への最高の敬意を表します」とまさかの MALICE MIZERの「月下の夜想曲」をカバー!これには会場から大歓声が上がった。まさかそんな粋なサプライズがあるとは思わなくてものすごく感動した。ラストはDらしさ全開の一曲「黒薔薇の騎士」でステージを締めくくった。

摩天楼オペラ

バンド名は存じ上げていたし、実力派という評判も聞いてはいたのだが、全体的に初めましてだった摩天楼オペラ。キーボードとボーカルソロで始まった「もう一人の花嫁」で演奏力の高さに驚かされた。実はYouTubeで何曲か予習して行ったのだが、生演奏の方が圧倒的にかっこいい。「生の方が良いバンドは良いバンドの条件」が私のモットーというか、一つの判断基準だ。「Adult Children」はコーレスで盛り上がる。MCではボーカルの苑さんが「僕たちが3組とご一緒させていただけるなんて」と語っていたが、本当に遜色ないくらい素晴らしいです!と声を届けたくなった。「alkaloid showcase」と激しいナンバーを畳み掛けたかと思いきやメロディアスな「桜」が続く。「Anemone」では(確かこの時だったと思う)下手2人が「ここはクラップ」と煽ってくれて初めてでものりやすかった。感動的な歌詞とメロディが印象的な「真実を知っていく物語」を演奏し、最後はメンバーが深々とお辞儀をして舞台袖へはけて行った。

Versailles

幕が開くとメンバーが横並びになって登場。「この関係性を目に焼き付けてください」と一言。ボーカルKAMIJO様が「Bonjour!!」とフランス語で挨拶すると「We are!」「Versailles!」というコーレスがあり、名曲「MASQUERADE」でライブがスタート。曲が終わると「君たちは…ワイルド派かい?それとも…耽美派かい?」というなんだかお茶目なMCが始まり会場から笑いが。続いた曲は「ASCENDEAD MASTER」。結構確かに耽美だけどちょっとワイルドじゃないか…?すると最新曲「VOGUE」が続く。これは嬉しい。「Sympathia」という暖かい曲では会場全体でローズライトや手を掲げ左右へ振り一体感を感じられた。ちなみにローズライトは物販にあるのを知らず、あまりにかわいかったので、終演後買いに行った。MCでは改めて「このプロジェクトは見えない敵と戦うために立ち上がりました」と改めて説明。「まだまだ医療従事者の方にはまだまだ負担をかけてしまうかもしれないが、我々は音楽で世界を明るくしたい」と暖かく語った。そしてラストはなんとあの「The revenant Choir」!実は私はVersaillesはこの曲で知ったのだ。やはりツインのギターソロは聞き応えあるなーと実感。

Moi dix Mois

約20年ぶりのMana様である。Moi dix Mois といえばメロイックサイン。会場全体が手を掲げ、Versaillesのファンはローズライトをブルーに光らせていた。未収録曲「Diabolos et Angeli」で彼らの出番がスタート。そして「The Prophet」「Solitude」と懐かしい曲が続く。「A Ghost Whispers」の後の「Beast Side」ではボーカルのSethが拡声器を持って登場。あの演出は生で見るといよいよかっこいい。ラストは「Ange~D Side Holy Wings~」。20年前の曲の2010年再録版である。「The Prophet」と「Ange」はミュンヘンでも聞いた覚えがある。あの頃も素敵だったが、貫禄が増してパワフルなサウンドになってたのが印象的だった。Mana様と一緒に(持病で激しくはできないが)ヘドバンできたのが良い思い出になった。

JVM Roses Blood Symphony

最後は全バンド、総勢20名が舞台に上がり「協奏曲 〜耽美なる血統〜」を奏でた。この曲はとてもかっこいいのでご存知でない方は是非一度聞いてみてほしい。

とにかく目が足りなかった!あまりにも壮観であまりにも最高すぎた。曲がいいのはもちろんだが、全員がバンドを超えて背中合わせに、あるいは向かい合わせにギターやベースを弾いたりしていて本当に楽しそうだった。ひたすら楽しくて幸せな空間だった。わがままを言うと後1000公演はやってほしい。
「摩天楼オペラが楽しそうでよかった。Dが嬉しそうでよかった。うちのメンバーが、強いていうならYUKIが楽しそうでよかった。(YUKIはジストニアの治療に専念するため芸能活動を年内で中止予定)そして何よりManaさんがはしゃいでいてよかった!」と涙を堪え、声を震わせながらMCするKAMIJO様にもらい泣きしそうになった。スタッフさん、ローディさんもすごく頑張ってくれたのではないかと思う。伝説に残る奇跡のステージだったと思う。一生忘れない思い出となった。

にしてもみなさんすごい体力だと思った。「何年、いや何十年やってるんだっけ?」とパッと思い出せないくらいのベテラン勢なのにも関わらず、飛んだり跳ねたり、時にはくるくる回ってスカートやマントを翻しながら演奏して見せたり、電飾の付いたひたすら重たいアクリルのギターを天高く掲げながらプレイして見せたりと、とにかくすごいパワーだった。やはりやりたいことを追求している人々のエネルギーというものは素晴らしい。

そして「最近はバンドもペンライトなのか!」と非常に驚いた。Versaillesのローズライトには言及したが、摩天楼オペラもスティックタイプのライトだったし、Moi dix Moisも魔法陣デザインのプレートライトだった。時代を感じた。ノーベル賞を取った青色発光ダイオードがアイドルの現場だけでなく、こんなところでも活躍しているとは。

この度めまい症もあってあまり激しくはヘドバンは出来なかったし、振りもあまり知らなかったわけだが、他のギャさんの真似してなんとか全曲ノれたと思う。どのバンドも素晴らしくて輝いていた。本当にどのバンドも4者4様に最高にカッコよくて美しくて、どう言葉にしたらいいのかわからない。久しぶりに良いバンドサウンドが聴けて嬉しかった。 (実はこの夏とある人気アイドルのバックバンドの音があまりにも酷くて落胆していたばかりだった。)
これからは活動休止するバンドやメンバーもおり、それぞれの道を歩んでいくことになるが、輝きのある素敵な未来を突き進んでほしいと思った。

全員に薔薇のご加護があらんことを。

我が部屋のカーテンに耽美に映える購入品たち。

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