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4歳児と考える多様性教育とは


多様性。
今の教育業界でも、非認知能力と自己肯定感と並んでのトレンドワードではなかろうか。

ということでもないが私自身、子供たちが世間でいうマジョリティ側であろうがマイノリティ側であろうが、他者の違いを受け入れ、先入観を持たず色んな人と関係性を築いていける人間になって欲しい。

そして周りにもそんな人たちが沢山いて欲しいと思っている。

そんなことから、多様性に関する教育は必要であるとは思っている。
しかし、子供にどうやって教えればいいのだろうか。

思えば、我々アラフォー世代の多様性に関する教育。
学校の道徳の時間などに行われ、どこか特別感と緊張感のある雰囲気で行われていた。
悪い考えを述べてはいけない、正論しか言ってはいけないような雰囲気で差別は良くないなどの意見を述べたり、作文を書かされたりした。

そんな雰囲気なので、マイノリティーということが余計に腫れ物に触る認識を植え付けてきた世代である。
そして、自分たちはマジョリティだという認識でおこなわれていた。

そんな世代が、どのように多様性を教育していくか。

そもそも多様性と言っても多義にわたるし、私だってマイノリティな部分はあるんだと思う。
それに偉そうに言っているが、私自身知らない間に誰かを傷つけて、広がるはずだった人間関係を狭めてしまっていたかもしれない。

そんな事を考えながらの多様性教育。
最近4歳の娘は「どうして女の子はピンクが好きなの?」とか、「プリンセスってなんで女の子が好きなの?」、「女の子って男の子がなんで好きになるの?」とジェンダーに関する質問をしてくる。

その都度、「ピンクが好きな男の子だっているやん」、「女の子同士でも、男の子同士でも好きになったっていいんやで。」と話している。
そんなことからか、最近娘のお人形ごっこでは、リカちゃん人形とみさきちゃん人形の結婚式ごっこをしたりする姿も見かける。

けど、私は娘から質問されたことを返すだけ。なんだか根本的な教育になってないな、と感じる。
そんなことを思っていた中ある事件が起きた。

保育園の帰り道。
娘が「今日悲しいことがあったの」と話し出した。
話を聞くと、Aちゃんという子に嫌なことをされたと話す。
Aちゃんはその当時保育園に入園してきて数ヶ月。いつも仲の良いBちゃんと一緒にいて、あまり沢山の子と遊ぶタイプではない。
そんなAちゃんであるが、今日は風邪気味で調子が悪かったらしく、加えてBちゃんはお休みだったらしい。

1人で遊ぶAちゃんを見て、娘は可哀想と思ったらしく、「一緒にあーそーぼ」と誘ってあげたらしい。
しかしAちゃんから返ってきた言葉は「嫌。」
びっくりした娘は「私の事嫌いなの?」と聞くと、Aちゃんは何も言わずに頷いたらしい。

娘は「お友達はみんな宝物だから(こういう臭いセリフをわりと言う)嫌とか思うの絶対あかんのに!」、「Aちゃん1人で寂しそうだから遊ぼって言ってあげたのに」、「みんなで遊ぶ方が楽しいのに!」と矢継ぎ早に話し、道端で、うぇーん!!と大泣きした。

娘の悲しい気持ちが痛いように伝わった。
人生4年生きてきた中で初めての対人関係で怒りと悲しさを味わったのだろう。

けど。
Aちゃんの立場も理解できる。
自分のペースで決まった子と静かに遊ぶのが好きそうなAちゃん。
しかも今日は好きな友達もいないし、自分も体調だって悪い。
まだ4歳で、コミュニケーションの手段も沢山持ってないから、「嫌い?」と言われたら、頷いたりもしちゃうよな。

私は娘の気持ちも尊重しつつ、けど、決してAちゃんのことは悪く言わず、私の思ってることを伝えた。
けど、全く娘に伝わらなかった。

まだ幼い娘にとっては自分の価値観と他者の価値観の違いがまだわからないのである。
1人で遊んでいたAちゃんを可哀想だと映った娘。けど、Aちゃんは可哀想な状況だなんて思ってない。

それからしばらく娘は、Aちゃんについてウダウダ言う日々が続いた。また、「ママのこと、嫌いって言う人もいるの?」と尋ねてくる時もあった。

傷ついてる娘をみながらどうしてあげたらいいのかと悩んでいたが、ある日この悩みは急に解決した。

保育園にお迎えに行った時に、なんと娘とAちゃんが2人で遊んでいたのである。
帰る娘にAちゃんは笑顔で「バイバイ、また明日ねー」と可愛く言ってくれた。
娘も「うん、バイバーイ」とAちゃんにタッチしていた。
それ以降娘は一切Aちゃんのことを言わなくなった。

娘の中で自分と他人の価値観が違う、という事までは理解してないとは思うし、大きな変化がうねりのようにあったとは思えないが、それでも一悶着あった相手ともまた自然と仲良くできるようになれたという経験をした。

娘の経験を通して、多様性教育とは、と難しい事を考えていたが、まずは土台となる「人と自分は違うんだ」という経験を何度も重ねて染み付かせるのが大事なんだな、と感じた。
そして、違う物同士が集まるからこそ色々なものが生まれる楽しさや素晴らしさを知ってること。
その土台がないと、いくら言葉で言っても多様性への理解は難しいなということも。

娘の体験から子供は小さいうちから沢山人と関わり、経験することで学んでいく事を改めて知らされた。

親はその学べる環境を提供し、あとは子供を信じて信じて信じきって、、任せる。見守る。

肩肘張らなくても子供の感性や可能性を信じてやればいいんだ。
そんな思いを感じた多様性教育。気づかせてくれた娘とAちゃんに感謝したい。

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