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one of them~ナンセンスな問わず語り~

ああ

なんだかね

ふっとあなたに会いたくなる夜があるんだ

でも 会ったらきっと後ずさるの
わかってる
いつものように 照れてさ
いやあ
いいよ・・なんて 作り笑いしてね
後に下がるんだ きっと

なんだろね

でも やたら 思い出す夜があるんだ

冷静で沈着なあなたが あの夜

ふらっと迷い込むように訪ねてきたこと

闇夜が迫ってた

あなたは 初めて 扉をたたいて
小さな家の扉は いつでも開いてるから
難なく 入って来れたのに
そこに立ちつくしてた

こんばんは
ここでいいですか

いいですよ
なにもないけど
ゆっくりどうぞ
上がって

それでも。
あの夜も
ねことふたりボッチで
大体 その時間はふたりで聞き慣れた
マライア・キャリー聴いてたから
ハーブティーを入れたくらいで
構わなかった

そんな私たちに あなたは 素直に
従って 嬉しそうに過ごしてくれて
 よく笑ってた


ただ
それだけなのに
ひとって 無性に頼られた嬉しさに
心がいっぱいになるもんだね

信じていいですか?
そのひとことで わたし 忘れたんだ
ずっと引っかかっていたもの
こころの奥にあった もやもや。

one of them

そのことばの寂しい疼きと
痛みをね 
忘れたんだ

あなたの その素直さでさ。



    かつて読んだ、ドイツ児童文学のタイトルが思い出せなくて
思いつくままのナンセンスなお話を書いてしまった。


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