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”宮園かをり”を救うたった一つの方法

 2024年5月12日―これは、私がアニメ『四月は君の嘘』の最終話を視聴した日であり、同時に宮園かをりがその短い生涯を終えた日である。

*本記事には、アニメ『四月は君の嘘』のネタバレが大いに含まれている。
 注意していただきたい。


1.作品との出会い

 『四月は君の嘘』を視聴したきっかけは、もはや記憶に残らないほど些細なものだ。SNSをやっていると、おすすめのアニメを紹介してくれるアカウントをよく見ると思う(アニメ好きなら特に)。その中に『感動するアニメ〇〇選』のような投稿があり、そこに同作が取り上げられていた。同作は有名だ。以前からタイトルとその存在は知っていたこともあり「そんなに感動するなら見てやらんこともない」的なノリで視聴を始めたのである。

 宮園かをりは、同作に出てくるヒロインの一人である。自由奔放なピアニストで、主人公・有馬公生の人生を大きく変えた少女だ。作中第一話、桜が舞い散る公園で、子供たちに演奏を聞かせているシーンは印象深い。
 私は、現実ではそうでもないが、アニメでは金髪少女キャラが好きなので、宮園かをりのことももちろん好きだ(『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』ベアトリクス・アメルハウザー然り、『ToLOVEる-とらぶる』金色の闇然り、『Re:ゼロから始める異世界生活』ベアトリス然り)。因みに、私の作中最推しは、澤部椿である。髪型が好きだ。

 泣いた、実に泣いた。
 今これを書いている約12時間前、私の枕は涙でびしょびしょだった。宮園かをりが有馬公生に残した一枚の手紙―見事なタイトル回収には鳥肌が立ったほどだ。
 私は、この手の結末に弱い。恋愛が絡むと弱いし、主要キャラが最後に死んでしまうと、もっと弱い。しかも、今作においては前情報なしに視聴を始めたため、宮園かをりが死ぬなど考えてもいなかったのである。この作品が感動する、と言われている由縁を見事に実感した。

 さて、長い前置きという名の感情と感想の爆発はここまでにして、本題に入ろう。決して宮園かをり最推しではない私が、それでも尚彼女をメインにこのような記事を書こうと思い至ったのは、シナリオライターとして宮園かをりがとても不憫に思ったためだ。
 そう、ここで重要なのが”シナリオライターとして”という部分である。私には、医学的知識はミクロもない。故に、本記事で語るのは、”宮園かをりの病気をどうすれば直せるか”という話ではなく、”どのようなシナリオ・設定であれば宮園かをりを救えるか”という話である。
 では、早速語っていこう。

2.宮園かをりを救いたい

 『四月は君の嘘』のメインキャラクターには、それぞれに課題が与えられている。ハンデと言ってもいいかもしれない。主人公の有馬公生は”ピアノの音が聞こえない”というハンデがある。澤部椿には”有馬公生のことが好きだがその恋は叶わない”というハンデがある。(渡亮太のハンデは、何だろう……。一途じゃないとか、結局かをりには好かれていなかった、とかだろうか?ちょっと思いつかなかった)そして最も重要な、宮園かをりのハンデが―

―病気

 そう、これが宮園かをりに課せられたハンデであり、この作品を見た人を感動させられる設定なのである。つまり、宮園かをりを死の運命から救うためには、このハンデを別の物に変えてしまえばよい。例えば―

 ・公生と同じで、バイオリンの音が聞こえない
 ・家庭環境が複雑
 ・公生のことが好きだと最初から明かしたうえで、椿と真っ向勝負させる
 ・ピアニストはやめて親の店を継げと言われている

 などだろうか。挙げようと思えばいくらでも挙げられる。しかし、実際に宮園かをりのハンデとして選ばれたのは、病気、そして死だった。
 いや、もっと音楽系のハンデでもよかったじゃん!と思ったのは私だけだろうか?これは何も、作品を否定しているわけではない。まだ高校生の少女にこれ程の残酷な運命を背負わせた作者を憎んでいるのと同時に、それと同じくらいこのような作品を作っていただいたことに感謝しているのだ。
 まとめると―

 『四月は君の嘘』のキャラにはそれぞれハンデがあり、その内の宮園かをりに与えられたハンデは病気。故にこの作品は完成したのである。彼女を死の運命から救うためには、別のハンデを与えていればよかったのだが、そんな無粋なことをすれば、名作が穢れてしまう。宮園かをりが死んで、この作品は完成する。これが、本記事における結論だ。

 あぁ、心が痛い。この記事を書いている間にも、また涙が出てきそうだ。作中のキャラは全員踏み出しているというのに、いつまでも泣いている私は何も進展していないんだと、自己嫌悪に陥ってしまう。
 本記事はこのくらいにして、私は宮園かをり生存ルートのifストーリでも書いて辛うじて心の安寧を保つことにしよう。例えそれが、ただの現実逃避だと分かっていても、そうせずにはいられないのである。

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