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02,城に集まるスレイシープ

何かに、迷った。
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シリーズもの2曲目です。
ゲームシナリオ中の汎用会話BGMみたいなイメージで書きました。抑揚は少なめに、けれど雰囲気は出るように…なってますよね、たぶん。
以下この曲の物語。
「失礼します。
…突然すみません、どうしてもお礼が言いたくて。
こんな私を受け入れて下さっただけでなく、着替えや食事まで頂いてしまって、どうお礼をすれば良いのか…。
…はい、お陰様で…大分体調はよくなりました。使用人の方もよくして下さって、、本当にありがとうございます。外は凍える寒さでしたけれど、お城の中はとても暖かいですね。すみません、お渡しできるものは何もないので…もしお手伝いできる事があれば是非仰ってください。

はい、はい、…私の話…ですか。
つまらない話しかもしれませんが、よろしいでしょうか。…わかりました。
貴方様のおっしゃる通り、私も噂に縋って此処に来たのです。
私には家族がいます。娘と息子が一人ずつと、そして夫。決して裕福ではなかったですが、とても幸せな生活を送っていました。
写真もあるんですよ、、これです。…はい、そのぬいぐるみは息子のお気に入りで…よく娘と取り合いになって喧嘩をしていました。
今は…私は一人で暮らしています。娘は夫と共に…息子は、少し前から行方が分からないのです。
息子は森で遊ぶのが大好きで…その日も遊びに行きたがる息子を私は森へ連れて行きました。…目を離した隙に…姿が見えなくなって…。
夫は私を疑っています。私が息子を人買いに売ったんじゃないかって…。愛する息子を売るなんて…そんなことするはずないじゃないですか。でも夫は信じてくれなくて…。夫から見れば口うるさく節約を押し付ける私がとんでもない守銭奴に見えていたのかもしれません。
私がどんなに家族を愛しても、その愛は伝わっていなかったのです。
私…考えてしまうんです。…息子にも私の愛は伝わっていなかったんじゃないかって。だから息子は私の元を離れて戻って来ないんじゃないか、私は良き母ではなかったのではないか…。私…母として尽くしてきたつもりだったんです。でも…もう自信が持てなくなってしまって。
…私がここに来たのは、息子を探すためです。
息子に、もう一度会って…また昔みたいに暮らしたいんです。
私なりに息子の事を探し続けました。…でも、見つからなかったんです。
森を探しました。街を探しました。旅人や商人に話を聞きました。役人に依頼も出しました。けれど見つかりませんでした。
…ここまで良くして頂いて、更にお願いをするなんて…私は本当にどうしようもない母です。それでも、どうか力をお貸し頂けないでしょうか。」

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