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リチャード・パワーズ『惑う星BEWILDERMENT』を読みました

たまに行く本屋で平積みになっていたこの小説を購入しました、なんの先入観もなしで読みました。リチャード・パワーズという題名だと思ったのですが、違いました。私の知識が無いだけで、だいぶ有名な小説家らしいです。

『惑う星BEWILDERMENT』
リチャード・パワーズ著
木原 善彦訳

妥協なく生きて太く短い人生を送った妻アリッサ、トレーニングを受けて覚醒する天才少年の息子ロビン、そして2人にくらべたらだいぶ凡人の主人公シソドア・バーン。シーオは物分りがよすぎる男で、なんか私ににてるなという感じでした。

規格外の少年ロビンは通常の小学校の教育には収まらないためシーオが先生となって教育します。シーオの出した課題に予想以上の回答をだしたり、絶滅危惧種の生物を助ける活動を1人で始めたりします。ようするにシーオはロビンに振り回さえれてるんです。私はこの小説を読んで自分がいかにいろんなことを見て見ぬふりをしているか何もしらないかということを思い知らされました。ロビンがもっと普通の少年なら、シーオも楽しい生活を送れたに違いないでしょう。

ロビンが勉強して知識が増える、そして絶滅危惧種の生物保護運動の成果があがっていく。それは楽しいことのように感じるが、その先の地球の悲惨な未来が見えてしまう。ロビンがグレートスモーキー山脈で命を絶ったのは、希望をなくしたのと父をこれ以上大変な思いをさせたくないという感情が起こったためかもしれません。

シーオとロビンは想像上の惑星を探検している時は平等でした。ここは大変たのしいです。
月のない惑星ドヴァウ、太陽を持たない真っ暗な惑星ファラシャ、水に覆われている惑星ペラゴス、自転する力のない惑星ジェミナス、自転軸に傾きのない惑星スタシス、惑星クロマット、惰性で他の惑星を征服し続ける惑星マイオス、視覚という感覚がない惑星ナイザー、地表を太陽電池で覆われている惑星シミリス、生命体同士がメッセージを送り続けるがまったく伝わらない惑星ジーニア。

ウィスコンシン州からグレートスモーキー山脈までの道のりはものすごく美しいのだろうと想像します。ウィスコンシン州からイリノイ州、インディアナ州、ケンタッキー州を通過してテネシー州へ。私も一度自動車を運転して旅をしてみたい、すべてのことを忘れてドライブを楽しめると思います。そして夜はモーテルに泊まり『天文学者のジョーク集』を読みます。

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