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悪辣の魔法使い

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昔むかし。人を襲い、害をなす悪鬼と間違えられ、小さな瓶の中に封じ込められてしまった、名もない子どもの小鬼。  長い歳月のあと、封印から解き放って救い出し、レイという名前まで付けて…
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#旅

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第5話

第5話 半身の契り  木の葉の間から降り注ぐ日の光は、川面で踊るように輝く。  太陽は、…

吉岡果音
10か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第7話

第7話 少女救出作戦に、乾杯  旅人たちが宿屋を探し、働き終えた大人たちが酒場に繰り出す…

吉岡果音
9か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第20話

第20話 豆の話、未来の話  豆。  小鉢の中の煮豆を、小鬼のレイは一粒ずつたいらげる。 …

吉岡果音
6か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第21話

第21話 楽器屋、一線を画す  スカート、髪留め、それからキャンディ。ついでに虹色の綿菓子…

吉岡果音
6か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第22話

第22話 旅の者、集う  小鬼のレイは、ご機嫌だった。  レイオルに、アルーンさんに、ルミ…

吉岡果音
6か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第23話

第23話 小鬼の大将  お、鬼だあ……! 本物の、鬼……!  小鬼のレイは、尻もちをつき震…

吉岡果音
6か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第24話

第24話 鬼の変身  亀裂の先は、光か、それとも新たな闇の始まりか。  小鬼のレイと魔法使いレイオル、同じく魔法使いのケイト、剣士アルーン、それから元精霊のルミ。五名の旅人の前に現れた、巨大な鬼、ダルデマ。  ダルデマの低い声が、夜の野原に響く。   「共に戦おう。世界を滅ぼす怪物ウォイバイルを倒すには、個体ではなく少しでも多くの力の結集、連携が必要だ」  ダルデマは、皆の顔をひとりひとり見つめた。 「しかし、俺は人間のことをよく知らない。飯として食ったこともない。うま

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第25話

第25話 絶対コロス宣言  星が眠り、変わって金色の新しい光が空を明るく照らし始めるころ―…

吉岡果音
5か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第26話

第26話 ふたりの姫  鮮やかな緑から、光が差し込む。深い森が、続いていた。  元精霊のル…

吉岡果音
5か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第27話

第27話 未熟な魔法使い  傾いた陽、黄金に染まる野原。丈の長い草が揺れる。生臭い匂いが、…

吉岡果音
5か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第28話

第28話 小さな光でも  人の姿に変身しているダルデマは、目に入った倒木を持ち上げると、適…

吉岡果音
5か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第31話

第31話 吊り橋と祝福  びゅう、と湿った風が吹き上げてきた。 「吊り橋が、落っこちてるじ…

吉岡果音
4か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第33話

第33話 目の数と竪琴 『ただし――、怪物の目の数には、くれぐれもお気を付けください』  …

吉岡果音
3か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第35話

第35話 饅頭子  三人の魔法使いと小鬼のレイ、そして鬼のダルデマ。  三人の魔法使いとは、レイオル、ライリイ、ケイトである。  剣士アルーンと元精霊のルミを除いたその五名は、朝露に濡れる下草を踏みしめ進む。 「皆は眠っていてよい。我ら魔法使い三名で、饅頭怪物の居場所を掴む」  初め、レイオルの提言で、魔法使い三人の「早朝饅頭怪物捜索チーム」が組まれようとしていた。  それは、昨晩の「即席宴」もそろそろお開きにしようかといったときだった。 「俺らは行かなくていいのか?