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雨ゴートこそ誂えるべき??《比べてみよう》

こんにちは、ものぐさ和裁師です^^
この度はついに自分のための雨ゴートを仕立てました。以前からこの急務を1番に!と思い煩っていたのですが、ようやく仕立てに着手できました。
これから先は今よりも『着物を守れる雨ゴート』をお求めの方へお届けしたいnoteです⭕️

※⚠️比較対象物のある仕上がりの公開ですので、ご覧くださる方へ不快感を与える可能性がございます。このことをご理解いただいた上で続きをご覧くださいませ。

今日まで運良く困り雨に遭遇する事なく生きてきたってことですヽ(*´∀`)
お天気の神様に感謝ですね。

◯雨ゴートとは?

以前の『コートについて』↓でも書いてありますが、和服の中で雨ゴートと呼ばれるものは、雨合羽が由来となる物で、着物を風雨から守る為の上着で、普段は急な天気の移り変わりに備えてカバンなどに忍ばせておくものとなります。

雨ゴートを使用する場合は傘の併用と、草履カバーなど有れば安心感は変わります。

◯普通な完成図

この度仕立てた道行衿の雨ゴート
【雨ゴート1号】とでも呼ぼうかと

この度仕立て完成したものが上図写真となります↑↑
一見して何の変哲もない、至って普通の雨ゴートです。

普通。そこが味噌なのです。
普通に見えてめちゃくちゃこだわってる!
というのがものぐさの行いたい仕立てです♩

かどが立たないように
主張し過ぎないように
日陰にひっそり咲いて揺れる百合ゆりの花の様に‥‥

そんな仕立てを志すものぐさであります。
これが意外と難しいの。その様子をご覧いただけたらと思います。
伝わらなかったらごめんなさいね(⌒-⌒; )

それでは早速比べていきましょう♩

◯比較対象物【家雨ゴート】と気になるポイント

比較対象物は家族の箪笥たんすやしから一枚引っ張ってきました(家族よ許しておくれ)
同じ朱赤色なので分かり難いのですが、

⭐️比較対象物の呼び方 【家雨ゴート】
・所持者の身長‥‥約152㎝

🍓この度の雨ゴート呼び方 【雨ゴート1号】
・ものぐさの身長‥‥約155㎝

比較対象者と私とで身長が3㎝違うのでその辺りは考慮こうりょしながら比較します。

家にあった雨ゴート【家・雨ゴート】を着用してみた

何処となく漂う、借りてきた猫感は、プロの仕立て屋として、これをまとって世間様の大海原に飛び込むという発想には至らなかったわけです。足元は完全に濡れますからね(^^;;
この【家雨コート】の気になるポイントを簡単に挙げます。

①裾の見え方 ②袖口の露出具合
③衿元 ④前の裾丸

①着物の裾が見えている点は着物を守る役目を成していない。身長の違いだけとは言えない。
②の袖口も同様。
ものぐさの着姿と合わせていない衿元なので、突っ張って見える。
前の丸みは足元を歩きやすくする為のものですが、この丸みが無い方が着物を守れるんじゃないか?とも考えています。

この着姿は下に着ている着物を守る効果が下がるのと同時に※身体に合わせていない仕立てはシワの発生と共に、不自然なライン表現になるため、結果的に着用意欲も下がるのです

※尚、この4点の気になりポイントは身長の違いだけではなく仕立ての違いでも現れます。

【家雨ゴート】さんごめんなさい。率直な感想から仕立て改良へ繋げるために書き起こしております故に、ご閲覧者の皆様に不快感を与えましたら大変申し訳ありません。

何処となくスッキリとしない【家雨ゴート】

上記の4点のポイントを中心に、改良を加え完成させたのが、以下の写真の【雨ゴート1号】なのです。

◯【雨ゴート1号】とその比較

【雨ゴート1号】を着用

先ほどの【家雨ゴート】と何が違うのか?

まずは比較だけの写真を↑↑

①裾の見え方▷▶︎完全に着物が隠れて、着物にコートの裾が沿うので、不自然な前上がりは無くなりました。

②袖口の露出▷▶︎着物が覗く量が減りました。

③衿元の見え方▷▶︎①と同様に好みの着姿に沿った衿元に変わりました。衿元と裾を着姿に合わせることによって、全体に現れていたシワは格段に減りました。

④裾の丸み▷▶︎完全に取り払い、大きな丸みから伝わる可愛らしさは払拭しました。

続いて横から見た図で比べてみます。

身体の横側から見ると
①の、裾のラインは歩きやすさを考慮しながらも自然な見え方に変化したこと。

それから③も含めて、全体がスマートなシルエットに収まっていることをご確認いただけるかと思います。
④の丸みに至っては合っても無くても。と言いたいところですが、丸みが無い方が角の布で守られる量は増えますから、やはり歩行時の泥ハネから着物を守りやすいのかなと感じます。これには検証が必要です。

袖口の比較

袖口の比較は上図です↑
右の【雨ゴート1号】の方が着物の見え方が控えめになっております。

雨ゴートは特にですが、羽織物類は多くの利用目的が『塵除け』のためですので袖口は大きく開いていなくても良いのではないか?と思うのがものぐさの意見です。
粉塵に加えて、お袖口って意外と汚れたり、擦り切れたりするんですよね(T-T)

ですので、その為の工夫も仕立てにおいて必要となります。

【雨ゴート1号】

⚫︎比較後の感想

新旧を比較すると、全体にキツイシワがあった状態から、【雨ゴート1号】は優しいシワのみに変化したことと、シルエットについては、見た目へ与える影響は大きいのでではないでしょうか?
また【雨ゴート1号】の様に、しっかりと着物の裾を覆い隠す仕上がりですと、雨ゴートの中で多少着物の裾をたくし上げておいたとしても、他人からバレることは殆どないでしょう。(歩き方注意⚠️)


ここがやはりお誂え仕立てをオススメしたい1番のポイントです(*^^*)

そしてものぐさ個人的な感想はと言いますと、この反物で挑戦してみた結果、自然とまた着用したい!と思える自分がいるので、古い反物の活かし方としては成功したと言えるでしょう。

着物は友達♡可愛い子ちゃんに
仕上がってくれたね(о´∀`о)

◯お誂え雨ゴートの極意

インスタグラムでも少し書きましたが、この度の雨ゴートの為に用意した反物は、ご覧いただいた通り、比較的現代向きではないと言えるものでした。

ものぐさのインスタグラム↑↑

以前から行なっている古い着物や、箪笥の肥やしになってしまった着物達を今に活かす工夫の中で考えていました、仕立てさえ工夫すれば、又は、仕立てが美しくお客様の身体や着付けの程度に合わせたものであれば、いくら素材が古臭かろうが現代に通用するのではないか?との考えからくる仕立てでした。

以前、男物AS(アンサンブル)からものぐさ用ASへ仕立て替えたのもこの理由からくるものです。


リサイクルやSDGS等が注目され、和服の生地は別の目的や形で生かされつつありますが

昭和感のある反物でも、そのままの目的で生かしたい!と思うことはありませんか?

少なくとも今はまだ、ものぐさの個人的な意見なので、このnoteをお読みになった皆様からご賛同をいただきだけるとも思えませんが、幅広く存在する着物を活かす術を練った仕立てに挑戦していきたいのです

◯おまけ。プチ反省会

【雨ゴート1号】君の仕上がり図からご確認いただけます通り、胸元の装束が全く違うものとなっております。

胸紐は装束と呼んでいます


これに関しましては、全く各個人の好みによります。

いつでも取り外し可能なものですので、何も付けないスタイルも有り⭕️または、旧【家雨ゴート】のように丸いボタンのみで仕上げる⭕️のも有りです。
今回の【雨ゴート1号】君はちょっぴり甘めな見た目になったかな?と感じています。

次に改良版を仕立てる際は、胸元の装束の変化を楽しみにしてくださればと思います(*´∇`*)

2024.03.04
紐位置を変えました(。・ω・。)
100%納得!ではないのですが今回はこれでお終い

また、ここで書いた事以外に重要なこだわりが詰まっております。その内容は次回となりますので引き続きご覧くださいませ。

以上、わがままに比較を行なってまいりましたが、雨ゴートの種類の選択は多数有り、衿の形など全く違うものや、既製品など今回とは違う形は存在しますが、基本的な考えは今回の比較した部分と然程変化はありませんので、今後の参考材料にしていただけたらと思います。

これからも皆様の着物生活を、心から応援していきたいと思います。

ものぐさ和裁師でした🪡

ものぐさ和裁師はお客様のご要望に寄り添って仕立てを行います。
仕立て依頼等各種相談はこちら↑↑をお読みになった上でお問い合わせくださいませ^^


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