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「さわってほしくないんだけど」
このお話は、長男が寝る前に「何かお話して」と言ってきた際、その場で思いついた創作です。
長男の体験をもとにしたストーリーなので、物語として不自然な点もありますが、あくまで【我が家の長男】を楽しませるためにつくったお話だということを、ご理解ください。
今回は、長男とほんとうに相談しながら、物語を進めました。
弟のジローは、イタズラっ子です。
お茶はすぐにこぼすし、ぼくの上に乗っかってくるし、おもちゃは投げるし、部屋はすぐに散らかします。
お母さんは、いつも困っています。
最近、触ってほしくないモノにも触ろうとします。
ハサミとか、コンセントとか、掃除機とか。
危ないから隠してあるのに、ジローはすぐに見つけてきます。
それを見たお母さんは、ぷんぷん怒っています。
ぼくは、そんなお母さんのために、
「何かできることはないかなあ?」
とおもいました。
ジローが、危ないモノを触らないようにするには、どうしたらいいだろう?
◇◇◇
まず、いちばん触るのは「ハサミ」です。
いつも、ジローが届かない棚の中に隠しているのに、ジローは台を持ってきて、のぼって棚を開けちゃいます。
危ない。
じゃあ、「危なくない」ハサミにしちゃえばいいんじゃない?
ぼくは、考えました。
ガムテープで、ぐるぐる巻きにしちゃうとか?
‥いや、それじゃあぼくが使えない。
切るところを柔らかくしちゃうとか?
‥いや、それじゃあたぶん何も切れない。
ハサミを金庫に入れちゃうとか?
‥いや、いちいち開けるのが面倒だな。
うーん、ハサミを触らせないのは難しい。
ほかに、触ってほしくないものはあるかな?
ジローがよく触るのは、「テレビ」です。
台の上の大きなテレビを、ジローはバンバン叩きます。
倒れてきそうで、危ない。
じゃあ、「倒れない」テレビにしちゃえばいいんじゃない?
ぼくは、考えました。
触ったら、大きな警告音が鳴るとか?
‥いや、ぼくがこわい。
倒れそうになったら、足が出てくるとか?
‥ジローはおもしろがって、何回も倒しそうだ。
倒れないくらい、重りをつけるとか?
‥見た目がよくないかな。
うーん、テレビを触らせないのも難しい。
ほかに、触ってほしくないものはあるかな?
ジローが好きな「ルンバ」はどうだろう。
ソファーの下に隠してあるルンバを、ジローは勝手に引きずり出します。
そして、起動ボタンを何度も押したり、動いたルンバを追い回したりします。
叩いて乗られて、ルンバは壊れそうです。
じゃあ、「触れない」ルンバにしちゃえばいいんじゃない?
ぼくは、考えました。
ジェットボタンをつけて、ものすごい速さで逃げられるようにするとか?
‥いや、それはそれで喜びそうだ。
ルンバにボンドをつけておいて、ジローが触ったらくっつく罠をしかけるとか?
‥いや、くっついたジローが、ソファーの下に吸い込まれるのはかわいそう。
トゲトゲをつけて、強いルンバにするとか?
‥家中、トゲルンバに破壊されそうだ。
うーん、ルンバを触らせないのも難しい。
ぼくはほかにも、さわってほしくないもののことを考えました。
「お風呂の自動ボタン」
「トイレの流すボタン」
「靴箱の長靴」
「傘」
「米びつ」
でも、触らせないようにする良いアイディアは、なかなか思いつきません。
ぼくは、悲しい気持ちになって、お母さんのところへ行きました。
そして、いろいろ思いついたけど、うまくいかないことを話しました。
お母さんは、ぼくをギュッと抱っこして、頭を撫でて、言いました。
「タローがそんなふうに考えてくれたことが、お母さんは一番うれしいよ」
そっか。
それならいいんだ。
お母さんがにっこりしてくれたから、ぼくもにっこりしました。
それを見たジローも、にっこりしました。
にっこりしたジローの手には、いつのまにかハサミがあって、ジローはそれをおもいっきり、テレビに向かって投げつけました。
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