スタートアップなのかスモールビジネスなのか。いや、スモールビジネスから確実に飛躍をしよう。と今は決断。

我々は、ユニコーン、デカコーン(企業価値1兆円や1,000億円)を目指す【スタートアップ】なのか、それとも、【スモールビジネス】なのか。モノづくり企業はどこへゆく。

こんにちは。とある地方大学発ベンチャーで代表を務めているAK・十四郎です。

今回が【初投稿】。今後、ベンチャーで業務されている方や、今は大企業にいるけどベンチャー企業に興味を持っている方向けに、私の経験を共有する投稿をしていきたいと思います。それに向けて、今回、初投稿です。

経験の共有=「こうすべきだ」ということではなく、「あ、そういうやり方や考え方もありなんだね」という、個人の感想を共有する内容にしていきたいと思います。

では、それにあたって、先ず簡単に私たちの会社の状況を整理してみます。
状況と特徴などを箇条書き。
・地方大学発ベンチャー企業
・大学の研究成果を活用したモノづくり(製造業)
・現在5期目
株式投資は受けていない
・コアなファンとなる大企業がおり、その研究資金の投資により初期経営
・2期目以降は研究や試験の受託を請け負い何とか経営ランニング
・現在、研究を続けながらも少しづつ売り物をカタチにしている
・売上高は現在1億円以下、コア従業員は3名(+パートさん数名)
大学の研究成果のため、期待市場は2030年以降
・経営はギリギリ毎期黒字(今期は赤字かも)
・経営者(私)は、大企業から現在の会社へ転職してきた。普通に総合技術職をやっていただけの経験値。

さて、これほど小規模事業で、状況が一致する方は少ないかと思いますが、でもどうでしょう。多少の規模の違いはあれど、何か似ている企業や、これから起業する領域がこういうのかもしれない、っていう方は以外と多いと思います。

今回お話したいことのテーマは、【我々はどこへゆく?】です。この先に書くことは、とても批判が多いかも、というか多いと思います。でも、考え方の一つとして参考になれば幸いと思って書きます。

我々はどこへゆくのか?それって、つまり、社会へのインパクト規模をどこにするのかという焦点に絞ります。
社会へのインパクト規模、って綺麗ごとなんですが、結局、ユニコーン・デカコーンを目指すスタートアップなのか?ということ。

これは創業当初より、ずっと悩んできたことであり、正直まだ結論は出ていません。というのも、ベンチャー企業にとって、VCやエンジェルから投資を受けて、リスクを背負って、ホームランを打つということが必須のように求められるからです。これは、昨今のスタートアップに対する政策や、様々なメディアをみれば明らかでしょう。

だからこそ悩みました。少なくとも、ファンドの期間(長くても10年程度)に、売上額がどんなに少なくとも100億円に到達するような絵をたくさん描きました。そうやって、社会へのインパクトが大きいことを謳って、投資を受けて、Jカーブで成長曲線を描くことを、会社の計画として練りました。

でも、正直難しいんです。そして、否定は全くしないんだけど、どこか違和感を感じるんです。確かに、今日本で求められていることは、リスクをとって社会へのインパクトが大きいビジネスをつくって、経済や地方の雇用を活性化しようってことです。それは重々承知しているのですが、会社の性格と合わないのです。そして、(これは批判多いとわかってますが)、全てがそこを目指すのは、何か、昨今歪んでいる気がしてならないのです。VCは投資家からお金を集めているのでリターンを出さないといけない、それも10倍、100倍といったリターン。必然的に、そして基本的に、売上額は(数年後時点で)少なくとも100億円、企業価値1,000億円という市場規模しか相手にされません。そりゃ、売上1億円、将来10億円の規模ではリターンになる倍率が低いし、それが、ましてベンチャーであれば、キャピタルゲイン自体を得られる確率も低いし、誰もそこに賭けようとは普通思いません。普通。
であれば、市場規模大きいところを狙えるシーズが基本になってきますよね。そんなこんなで、実際、最近IPOしている会社や、目立っているベンチャーって、多くはプラットフォームビジネスを根幹としていて、さらに言えば、SaaSが多いと感じてます。そして、そうなるよね、と思ってます。確かに、昨今話題のディープテックにも、将来の社会構造を変える期待として注目が集まっていますが、割合はまだまだ少ないと思います。で、何が違和感かというと、上手く言葉にできないのですが、「何かそれがメインストリームになりすぎているし、何かね、そこに集まる仕組みがね、何かね。。」伝わる人に伝われば幸いです。兎に角、否定はしてないし、そうやって資本社会でまわしていくべきだとわかっている、でも、そのやり方がメインストリームでは歪みが生じて、大事な日本の技術を社会が損なうリスクがあるし、我々の会社としても、そこに、まだ乗るには時期尚早だと判断したわけです。

大学の研究とは、大学なので、10年以上先の研究をしていることがほとんどです。つまり、市場はすごく先です。イーロンみたいにガンガンいければ良いでしょうが、基本的に、ユニコーンになる事業計画を描くと、市場自体もどうなるかわからないし、事業計画やビジネスモデルのリアリティが薄くなります。それでも、無理に描くことはできますが、そのビジネスモデルと事業計画をもとに投資を受けると、「そこに突き進む」しか基本ないです。特にコテコテのH/W、モノづくりビジネスだと、計画を実行するための開発投資額が非常に大きくなります。

さて、これに突き進みますか?・・否、我々が出した結論は、ビジネスモデルと事業計画のリアリティが薄すぎ突き進めません、です。
繰り返しますが、それでも、リスクをとってガンガンいこうぜ、というのが、求められていることは承知しています。
会社の性格と、経営者の性格からして、詐欺と紙一重の事業計画を更新しつづける実態になる可能性が高いと判断したからです。我々は弱気であることは認めますが、嘘つきではないです。でも、メインストリームに流されると、そうせざるを得ない状況になりそうだと判断しました。

PoCでビジネスモデルを検証して、検証ができれば、それに向かって前進あるのみ。失敗しても全然OKで、次にチャレンジしていこう。そして、失敗をすれば次に成功する可能性もあがるし、そういう新しい社会土壌をつくっていこう。。。。この考えに共感はしていますが、それでも、そこに乗らないと判断しました。共感しているからこそ悩みました。

結局は、新しい、よりより社会に向けて、様々なアプローチがあり、その筆頭注目がスタートアップ(ここでJカーブ成長を指しています)であるが、何が正解かというのは無いと思っています。

売上1億円や、10億円のスモールビジネスでも、「その技術は世の中に必要だよね」という視点のコア技術はたくさんあります。個人的には、それもディープテックだと思ってます。さらにいうと、そういう技術こそが日本にとって重要なんじゃないかとさえ思っています。いろいろ違和感を感じて、自分たちを正当化しているだけかもしれませんが。

1億円、10億円のスモールビジネスでも、いよいよ、市場が拓かれていけば、十分に、その10倍のビジネス規模になる。その計画と市場の可能性をもっとあげなければ時期尚早であり、それまでに、計画ではなく無謀にチャレンジするだけでは、大切な技術を失う可能性がある。市場が拓かれれば、自ずと波に乗れるはずであり、虎視眈々と、何とか現状を耐えながらも、研究を継続して牙を磨き続ける。これが、くだした結論であり、判断したことです。

たしかに、売上規模がスモールであれば、つまりは社会へのインパクトが小さいという事実には変わりはないのですが、そういう技術と事業群をたくさん創る世の中にしていきたいと勝手に考えてます。もし、私がすごい経営者であれば、その群を束ねて大きなビジネスを創造できるかもしれません。すごい経営者が自分でなくても、すごい経営者が群を集めるかもしれません(つまりはM&Aされるということ)。そして、発明とは、既存の技術と技術を掛け合わせることであり、それがイノベーションであるということからすると、群のなかから、新しい価値創造が期待できます。

だからこそ、そういうアプローチも別にあってもいいんじゃないか、と考えて、悩みぬいた結果、スモールビジネスでまわしながら、両輪で研究という牙をみがき、来る将来の市場にのる準備をすることが、我々の経営スタイルだと決断をしました。

すごく小さな取組で、このスタートアップ業界からすれば、鼻くそみたいな考えかもしれません。でも、正解はないからいいよね、と思ってます。
乗るとき=お金を集めるとき、なので、それまでは、少しメインストリームから逸脱してがんばってみようと思います。

それでは、今後、こんななかで経営している私の経験を共有するための投稿を続けていきたいと思います。

ありがとうございました。

十四郎



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