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お立ち寄りくださり、ありがとう

「自分には相応しくない相手」だとわかっているのに
心の中から追い出すことができない人はいますか。

私には腐れ縁で、かれこれ3年ほどの繋がりがある人がいる。
だがいよいよ切り替える時が来たようだ。

その方は私より10歳程年下で
真剣な交際を避けるために、私からの連絡は常に無視。
自分の都合のいい時だけ、気まぐれに会いたがるDV気質な人だった。

私もそんなにうぶではないので、身勝手な方針を察すると
他の恋人候補探していた。

その期間に間隔が開くと
まるでそれを見透かすように連絡が来る。
このような関係が3年続いた。

一緒に過ごしていると突然不機嫌になったり
いなくなったり、露骨に冷たくなるなど
あんまりの態度が目に余り、私からお別れを告げたことも幾度もあった。

しばらくすると、どちらとなく寂しくなって
のらりくらりと「破壊」と「修復」を繰り返してきた。

私たちは恋人であったことは一度もない。
でも友達でもない。
ただそこには私とその人が共存していた。

ある日、不安症改善コーチがインスタグラムのリールで
問いかけてきたことが気になった。
5回ほど、繰り返して注意深く聞いた。

あなたには、「自分には相応しくない相手」だとわかっているのに
心の中から追い出すことができない人はいますか。

ではその人のどこが好きか、具体的に提示してください。

溢れる自信?
才能?
思考能力?

次に、その要素が
「あなたの中にあるか」
考えてみてください。

もしなければ
あなたがその人に惹かれるのは
「あなたにないものを相手が持っている」からです。

まさしく、「相手が存在することであなたが完成する」と考えているのです。

すなわちそれらの要素をあなた自身が身につければ
相手はあなたの世界にとって必要のない人間になります。




なんということでしょう。
私は私の「その人」の好きなところが
ひとつもあげれなかったのだ。
その瞬間、恋焦がれてた気持ちがすっと、消えた。

一体なんだったんだろう。

昨年職を失った際、音信不通だったがたまたま向こうから連絡が来て
引っ越しを手伝ってくれたことがあった。
私はその人に何も期待していなかったから、その救いの手にとても驚いた。

まさかこの人生のピンチに助けてくれるのが、あなたとは。
人生とは小説より奇なり。

その人は私に「人に期待しないこと」を教えてくれた。
人との「距離感の取り方」や理解不能な価値観も。

私が寂しい時に自分の都合が合えば気まぐれに遊びに来て
おしゃべりしてギターを弾いてくれる人だった。
はじめて、私の頼みを聞いてくれて
私の都合で動いてくれたことは
3年間の私たちの関係の中で大きな変化だった。

お互い、海の向こうへ行ってしまい、離れ離れになってしまったのに
その人は何度も何度も私の心にやってくる。

お互いのこの3年間の歩みを知っていて、冷たい都合主義な2人の関係が
心をじんわりと温かなものが湧き出てくる変容を確かに経験した。
その人の口からはっきりと、その変化について指摘があった際
驚きで体に電流が走った。

そもそも人と心が通うことが人生で何度あるか。
そしてそれが予想しない相手だったとしたら。
なんと贅沢な経験だろうか。

この人の何が好きかなんて、もうどうでもよかった。
この経験を共有する仲間であるという事実が何よりも尊い。

「星の王子様」できつねが言っていた。

「めんどうみた相手には、いつまでも責任がある」

あなたがいつか、安心して、自分でいられるパートナーとちゃんと巡り合いますように。愛されますように。愛することを学びますように。

私の人生にお立ち寄りくださり、ありがとう。
この先もずっと、あなたは私の大切な人。

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