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積ん読note

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あとで読もうと思ったnoteたちの保管庫。積ん読は崩してもお気に入りは再度積んでおくかも。
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#本

風がすーっと吹き、詩の葉がわたしのもとへやってきた。―映画「タゴール・ソングス

わたしが生まれ育った新潟は、とにかく風が強かった。 冬の日本海は荒れ狂い、信濃川にかかる橋を歩くのも一苦労だった。 向かい風では息ができず、追い風では足がとられる。 風が強過ぎて、電線が絡まりあい、大停電なんてこともあった。 高校生の頃は、制服のスカートをわざわざウエストでたくしあげてミニスカートにしていた。よく、あんな強風の中を、足を真っ赤に染めながらガシガシ歩いたものだなあと、当時の自分に感心する。そう、ガシガシ歩かないと、新潟の強風の中では生きられない。曇りと雨が新潟

マータ・ダリの本

電子書籍化にともない、掲載を終了しました。 配信開始しました。(2020年7月16日追記)

はじめての本を出版して1年が経った。~当時とその後をふりかえる

 ちょうど1年前、こんな本を出しました。 『ベートーヴェン捏造 - 名プロデューサーは嘘をつく』  かげはら史帆/柏書房 犯人は、誰よりもベートーヴェンに忠義を尽くした男だった──。 音楽史上最大のスキャンダル「会話帳改竄事件」の全貌に迫る歴史ノンフィクション。  はじめての本(商業本)ということで、いろいろな人から出版の動機や経緯をきかれ、つど答えてきたのだけれど、そういえば自分自身はなにも記録を残していなかった……  ということにいまさらながら気がついたので、1周年

本を読む習慣 — オバマ、ゲイツ、バフェット、出口 | きのう、なに読んだ?

こちらのQuartz の記事を読んだ。タイトルは「週5時間を学びに充ててない人は無責任だ」くらいの意味だ。 冒頭部分をざっくり訳す。 オバマ元大統領は、世界で最も多忙な人のひとりだったが、在任中、毎日1時間を読書に充てていた。なぜか? 史上最強の投資家であるウォーレン・バフェットは、若い頃から現在まで、時間の80%を読むことと考えることに充てていた。なぜか? 世界一の大富豪、ビル・ゲイツは、そのキャリアを通して、毎週1冊の本を読み、毎年2週間の読書休暇をとるという習慣を続

イメージ人類学/ハンス・ベルティンク

僕らはきっと実際の物事を見ているより、イメージを見ている方が多い。 そう思うのは、単にスマホやPC、テレビの画面に映し出された静止画や動画に目を向けている時間が長いからというだけではない。街にさまざまなグラフィック広告があふれかえっているというからというのでもない。 そもそも、実際目の前に人間やその他さまざまな物事があっても、果たして僕らは本当にそれらの実在のものに目を向けているのだろうか?と思うからだ。 もちろん、僕らは世界を見てはいる。 けれど、意識にのぼってくる視覚

三体/劉慈欣

『三体』は中国の作家、劉慈欣(リウ・ツーシン)が2006年に連載し、2008年に単行本化されたSF小説。 2014年に英訳され、2015年に世界最大のSF賞といわれるヒューゴ賞長編部門を受賞。そして、今月いよいよ日本語訳が出版されたばかりの1冊で、なんとなく直感的に興味を惹かれてさっそく読んでみた。 400ページを超える作品だが、面白いので通常の読書ペースでも無理なく4日ほどで読み終えられた。 『三体』は3部作の1冊目にあたるらしく、すでに中国では3部作は完結している。 3

物語の作り方

根がライターなので、ものごとを言葉で始めることしかできない。 企画を立てる際も「物語の作り方」をベースにしている。 この記事では、わたしがプランニングに使ったり使わなかったりしている物語の作り方に関するあれこれを紹介したい。 決まった進め方はない知り合いの作家さんたちに、「書き始め方」や「作り方」を聞いてみたことがある。彼らの答えは素晴らしくバラバラだった。 こんな風に。 構造から考える 最初の書き出しから取り掛かる 断片を寄せ集める 自我を手放す ……とはいえ、共通