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積ん読note

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あとで読もうと思ったnoteたちの保管庫。積ん読は崩してもお気に入りは再度積んでおくかも。
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#日記

風がすーっと吹き、詩の葉がわたしのもとへやってきた。―映画「タゴール・ソングス

わたしが生まれ育った新潟は、とにかく風が強かった。 冬の日本海は荒れ狂い、信濃川にかかる橋を歩くのも一苦労だった。 向かい風では息ができず、追い風では足がとられる。 風が強過ぎて、電線が絡まりあい、大停電なんてこともあった。 高校生の頃は、制服のスカートをわざわざウエストでたくしあげてミニスカートにしていた。よく、あんな強風の中を、足を真っ赤に染めながらガシガシ歩いたものだなあと、当時の自分に感心する。そう、ガシガシ歩かないと、新潟の強風の中では生きられない。曇りと雨が新潟

そこには体温があるから-クリスマスにレコードを買いに大好きなお店まで原宿に行っただけの話

こんばんは。2000年ってもう19年前なんだって驚いています。 びっくりしますね。日韓W杯が昨日のようですよ。 メリークリスマス。とでも言いたかったんですけど、もう12/26になってしまいました。うっかり更新を忘れていた免許証の手続きに、とても行きづらい場所に点在する免許センターという場所。 起きたらそこに行かなければなりません。憂鬱です。 いきなり憂鬱だなんて申し訳ないんですけど、とにかく面倒なんです。 納品終えたので、寄席に行きたかったし、なんなら映画見たいし、

大切な人との永別を実感させてくれたのは距離だった

今年の夏、おばあちゃんが亡くなった。 血の繋がらない父方の祖母。昨年のちょうど今頃書いた「ハイカラおばあちゃんと紅茶」というエッセイに出てくる。 本当にハイカラさんだった。損得考えず思ったことをズバズバ言う性格には時々困らされたけど。 夫と娘に先立たれ、少しずつ弱っていったおばあちゃんは、父母が同居する自宅と病院と介護老人保健施設を行ったり来たりしていた。一人で歩けなくなってからは施設で過ごすことも多かった。 * 「お知らせしときます。おばあちゃん、いま病院です。今

「世界の火薬庫」インドとパキスタンの国境がいま最高にアツい

「Oh 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」 マイクを持った兵士が煽る。 「Oh 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」 大観衆は両手をあげてそれに呼応する。 長い長い溜めがあったのち、 「インディアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」 地響きのような歓声とともに、会場のボルテージがブチ上がった。 僕は呆気にとられてそれを眺める。 一体、ここはどこだっけ ── ここは、インドとパキスタンの国境だ。 ◇ インド人への古典的なイメージといえば、炎を吐いたり手足が伸びるほかにも、「ターバン」

【竹書房と漫画業界を考える】「これから漫画をどう売っていけばいいですか?」マンガボックス編集長・安江亮太のスランプさんいらっしゃい

株式会社ディー・エヌ・エーが運営するマンガ雑誌アプリ「マンガボックス」。 有名作家の人気作から新進気鋭の話題作まで、枠にとらわれない幅広いラインナップを擁し、オリジナル作品の『ホリデイラブ』はTVドラマ化、『恋と嘘』はアニメ・映画化するなど数々のヒットコンテンツを生み出してきました。 そんなマンガボックスの編集長を務めるのは安江亮太さん。今回は安江さんが公私ともにお世話になっているという、竹書房取締役の竹村響さんをお呼びして、竹書房がどのようにコンテンツを生み出しているか、業

TOEIC915点をとって私が得たものは、点数じゃなかった

しばらく、これを書こうか書くまいか、迷っていた。 私はマウンティングのようなものが大嫌いだ。自分はこんなに出来るんだぞ、こんなに良いものを手に入れているんだぞ、というような、ネットでも現実の世界でもよくある、マウンティングが。だから、客観的に少しでも「マウンティング」のように受け止められかねないことはあまり書きたくなかったし、そうして優しい読者の方が遠のいてしまうことは、私にとってはとても悲しいことだった。けれど今回は、なんとなく、私にとって大事な出来事だったような気がして

マンガボックス編集長・安江亮太の、スランプさんいらっしゃい〜人間が一番感情を揺さぶられるのは人間の感情である〜

株式会社ディー・エヌ・エーが運営するマンガ雑誌アプリ「マンガボックス」。有名作家の人気作から新進気鋭の話題作まで、枠にとらわれない幅広いラインナップを擁し、オリジナル作品の『ホリデイラブ』はTVドラマ化、『恋と嘘』はアニメ・映画化するなど数々のヒットコンテンツを生み出してきました。 そんなマンガボックスの編集長を務めるのは安江亮太さん。 本企画は安江さんが編集長の視点から、また一つの事業部を築いてきたマネージャーのビジネス的視点から、これからを担う駆け出しの漫画家のスランプを