見出し画像

今後の確定拠出年金のゆくえは?

 皆様こんにちは、よこちょうです。

 前回は、「確定拠出年金の考慮点」と題して、すべてが良さそうに見える確定拠出年金であっても考えるべき事がある事を記述しました。
 制度については私が知りうる事はだいぶ書き尽くした気もしますので、今回は今後の確定拠出年金のゆくえを私が考えうるレベルで予測してみます。


【確定拠出年金の加入者推移からの考察】

まず、こちらの図をご覧ください。(出典:公的年金と私的年金の現状と課題について 厚生労働省年金局 2023年12月)

年金の加入者数の推移

現在の企業年金は確定給付型(DB)および確定拠出型(DC)に二分されており、それぞれ一定の数の企業に採用されている状況であることが分かります。確定拠出型については、2002年から確実に実施企業数が増えており、現在も数を伸ばし続けている事も分かります。

一方で、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数推移が以下の図(出典:上記同一資料)ですが、2017年以降劇的に数を伸ばしています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)加入者推移

 つまり、「確定拠出年金」は現在1000万人を超える方が企業型もしくは個人型で拠出を行っていることになります。
 確定給付型が「給付額を確定」する必要がある事から、運用リスク補填の可能性がある事や退職給付会計の煩雑性を鑑み、今後大幅に増える事は考えにくいと思っています。一方で「拠出額を確定」し、その後は各個人の運用に基づく形の確定拠出年金は、退職時のポータビリティなども相まって採用企業は増えてくるものと思います。
 確定拠出年金は、公的年金とは異なり自分で積み立てて運用していくものであり、運用成績のリスクはありますが確実に積みあがるものです。企業側からしても独自の退職金制度を作る場合と比較してハードルは低いと思われますので、特に現状退職金制度がない企業を中心に採用は増えていくと想定されます。

【確定拠出年金の制度面からの考察】

今後注目していく点を簡単にまとめると以下の点になるかと思います。
 ・掛金限度額
 ・加入可能年齢の拡大
 ・受給対象年齢の拡大
 ・企業DCとiDeCoの運用整合性

 令和4年 11 月に決定された「資産所得倍増プラン」(リンクは下記)の7ページに、第二の柱と題して iDeCo制度の改革について記載されています。 こちらでの記載は、iDeCoがベースになっておりますが、企業型確定拠出年金においても拠出・運用・給付それぞれで今後拡大の方向で進むことは間違いないものと思われます。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/dabiplan2022.pdf

 ちなみに本年(2024年)は5年に1度の公的年金の財政検証の年に当たります。それに併せた形で企業年金なども社会保険審議会で制度改正の審議が行われています。上記資産所得倍増プラン内にも、「2024年の公的年金の財政検証に併せて結論を得る」といった表現がありますが、今年の年末には、上記内容について具体的な方針が出てくるものと思われます。
 なお、資料(中間報告)は以下に掲載されております。お時間のある方は今後の方向性を知るためにもぜひご覧いただけると良いかと思います
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001236826.pdf

【中小企業の立場からの考察】

 企業の退職金に関する状況を見てみると(出典:上記同一資料)、

退職給付制度の実施状況

 ご覧の通り、総じて退職金制度の充実度は、従業員規模に比例してしまっているのが実情で、特に中小企業に関して問題となるのは以下の点かと私は考えています。
 ・運用事務処理を行う工数・費用の確保
 ・各従業員に対するリテラシー向上策/各種説明工数の確保
 
大企業と違い、人事担当者も少なくかつ多方面の業務を兼任する中で、この2点をどうカバーしていくかは切実な問題であり、結局拠出金負担のみで工数も掛からず運用もお任せとなる中退共や特退共で対応されている企業も多いのではと想定されます。

 前回もお話しましたが、退職金制度は各従業員個々のライフプランと併せて考えていく必要があると思います。
 家族構成/現在の経済状況、今後の予定やそれこそ何歳まで生きるかなども含め、逆算の思考で考えていく必要があります。
 企業側が何をすべきか、従業員は何をどれだけ知るべきか、双方が役割を自覚しお互いに合意する事が何よりも必要です。

 余談ですが、日本の年金制度は本当に複雑で、筆者よこちょうも参考書なしでお客様に全て説明できるかというと一抹の不安があるのは事実です。
 私も皆様にもっともっと分かりやすく説明できるよう、皆様に少しでもご相談をご依頼いただけるよう努力を続けます。

 いかがでしたでしょうか?
 確定拠出年金について、だいぶ記載しましたので、次回以降ちょっとテーマを検討します。。。

 確定拠出年金のみならず退職金や従業員のライフプランマネジメントにつきまして、ご相談などございましたら、株式会社JOYクリエイトのページからぜひお問い合わせください。
 是非色々な皆様と資産形成についてお話したいと心から思っています!

次回も、ぜひお楽しみに!