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ショパン ノクターンOp.32-2 に着想を得た詩『熟成』【ポエム】㉑



あれは六月のこと

君と もう一度ここで会う約束をした

この ぶどう畑で

君が ぶどう踏みをしていた あの場所で


スカートのすそを上げて笑う君の横顔を

前髪の隙間から盗み見て

その瞬間 楽しければそれでいいと思っていた

他に何も考えなかった


よく この場所で夕暮れを眺めた

ワイン色に染まる 君の頬を見ているだけで幸せだった


秋ーーー。

嵐と共に訪れた試練。

風は容赦なく 思い出をかきむしってゆく


人の願いなど、届かないのか

『”祈り”なんて無駄なんだ』と嘲笑あざわらっているのか。


あんなに 大切に 育てていたものを…。



約束の日が来ました

あの人は 憶えているでしょうか、この日を…。

収穫を迎えた果実が

朝露に濡れて輝きを放っています


私は ぶどうの葉を撫でながら あの人を待つ


来る、来ない。

来ない、かもしれない…。


遠くに人影が映る


聴き覚えのあるリズムで 駆けて来て

一気に私を抱きしめた


吐く息だけの小さな声で 私は 言うのが やっとでした


『おかえりなさい』


<後記>


このノクターンを聴いていると、中間部分が、嵐のように聴こえるのです。

そして、前半部分が再び戻ってきて、まるで「おかえりなさい」と言っているような…。

どことなく、ワインの芳醇な香りがしてきそうな曲調なんです。…ワイン、殆ど飲まないけど(笑)。

自分でも恥ずかしい位、どっぷりロマンチックの海に浸って書きました。

お気付きかと思いますが、最初は 男性目線。途中から、女性からの目線で描きました。


…そして、このノクターンを、録音しました。

中間部分の激しい部分を弾くのが苦手で、どうしても間違ってしまう。。

今、ヴァイオリンの方が練習量を多く取っているので、ここで諦めてしまいました。(^^; 苦手な部分以外は 自分で満足がいく表現で弾けたので、ここにアップする事にしました。ショパンコンクールが終わる迄に、アップしたかったのですが、間に合いませんでした。💦

https://www.youtube.com/watch?v=FW_YmOtMPl4

…そして、私には、この詩と イメージが重なっている映画があります。

それは キアヌ・リーブス主演の映画「雲の上で散歩」です。

(あらすじ)第2次大戦が終結し、故郷に帰ってきたアメリカ兵ポール(キアヌ・リーヴス)は、再会した妻の愛が冷えきっているのを知る。出征先の仕事へ行く車中でビクトリアという女性に惹かれる。彼女は妊娠中で、相手の男に捨てられて心に深い傷を負っていた。彼女の実家はラス・ヌベス(雲)という葡萄園を営む、メキシコの長い伝統と格式に則った上流階級で、厳格な父は娘の不始末を許さないだろうと語る。同情したポールは、彼女の夫を演じることを引き受ける。収穫祭で、ポールの忠告に心が軟化したのか、父は2人の結婚を許すと言う。だが、ビクトリアは父をだますことに耐えきれず、真相を告白し 父は衝撃を受ける。故郷に帰ったポールは妻と別れ、ビクトリアに求婚するため葡萄園に戻った。だが、酩酊する父と争いになり、ランプの火が燃え移り、葡萄園は瞬く間に全燃する。ポールが土を掘り返してみると、元根は無事だった。それを見た父は心を解き、ついに愛し合う2人を許し、晴れて夫婦となった。


…以上です。

よろしくおねがいします。(o^―^o)

詩(ポエム)で、唯一無二の世界を作ります✨