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モモタロウとカキタロウ 第2話

タカマンガ王国の家族会議に従って、天孫族は計画を実行に移していった。クレヨンパト王妃は国ごとに異なった女神を名乗って神託を下していった。 

エジプト王国では“カーカ”、バビロニア王国では“アカンヤ”、イスラエル王国では“オシリスキ”、ローマ帝国では“オテンバ”、オスマン帝国では“チョリス”、ハザール王国では“トーラーマキ”、ガンジス王国では“クシャミ”、モンゴル帝国では“アタマテラス”といった具合に。

大陸中の国々にシャーマンを通じて神託を下していくと、各国で祭壇や神殿が築かれるようになっていった。そして、その祭壇や神殿を“よし”とされたクレヨンパト王妃は、娘のビミノアジミを豊穣の女神として紹介し、ビミノアジミは“火の鳥人間”の姿で空を舞いながら、畑に自然災害や気候変動にも耐えられる“遺伝子組み換えの”種や苗を畑にまいていった。

やがて、畑にはムギやコムギなどの穀物、キャベツやダイコンやニンジンなどの野菜、リンゴやミカンやモモやカキなどの果物が豊かに実り、人々は収穫を喜び、神託を守って祭壇に供え、クレヨンパトやビミノアジミたち天孫族を神々として崇めるようになっていった。

これで調子に乗った天孫族は、次の作戦を進めていった。それは、互いの国同士を戦わせたり、国内でも畑などの領地や収穫物をめぐって紛争を起こすというものだった。こうして、大陸中が戦火に包まれていくと、国王や皇帝は軍隊を強くしようと武器の改良にも力を注いでいった。
 ここで、天孫族のワルタクミが軍神となって神託を下し、製鉄技術や鍛冶職人を教育し、その一方で軍隊の組織化や戦略なども教育・訓練し、軍備を増強していった。

次第に天孫族の思惑通りに大陸中に戦火が広がっていき、その勢いが益々激しくなるにつれ、大陸には哀しみ・怒り・憎悪・落胆・絶望・不安・恐怖などの負のエネルギーが蔓延し、その淀んだエネルギーは海を越えて惑星をも包んでいった。
 天孫族にとっては、この負のエネルギーは彼らの生命力の源泉であり、長寿の媚薬でもあったので、とても喜んだのだった。

いつしか、大陸の人々は“宇宙創造の源の意識”を忘れ、その繋がりも断たれ、天孫族を“偽りの源の意識”すなわち“偽りの神”と崇め、神聖な存在として信仰するようになってしまったのだった。

それでも“宇宙創造の源の意識”を強く感じ、しっかりと繋がっていた純粋な人々も少なからずいたが、その少数派も大きく3タイプに分かれていった。

【純粋な人々 タイプ①】
  “偽りの神”を信仰する人々に、“宇宙創造の源の意識”を思い出して、“本   
  当の自分”を取り戻してほしいと、懸命に教えるグループもいた。
   しかし、“偽りの神”を信仰する人々は聞く耳を持たなくなっていた。
  そればかりか、『あなたたちのせいで、女神さまたちの機嫌を損ねでも
  したら、わたしたちみんな飢え死にしちゃうかもしれないじゃない!    
  あなたたちこそ、ちゃんとご神託を守り、従いなさいよ! さもない
  と、衛兵につき出すわよ!』
   それでも、本来の自分を、“宇宙創造の源の意識”との繋がりを思い出
  して取り戻してほしいと、その思いを貫き通した人々もいた。
  拷問されたり、磔(はりつけ)にされるとわかっていながらも・・・

【純粋な人々 タイプ②】
  “宇宙創造の源の意識”を忘れることなく、その繋がりを感じながら生き
  ていた人々の中にも、“偽りの神”を信仰する人々に合わせて、自分の思
  いを押し殺して、“偽りの自分”を演じて生きる人々もいた。 
   そして、“偽りの自分”を生きていた人々は、違和感を感じながら
  も、“偽りの神”を信仰する暮らしに慣らされていった(それが正しい生
  き方なんだと、自分を説得するかのように)。

   ― そして、この物語を書いてる私自身も、最近まで違和感を感じな
     がらも、世間体や常識という概念に無理やり自分をはめ込んで、
     周りに流されながら生きてきた。 でも、その生き方は苦痛であ
     り、ストレスを感じていた。 だから、“偽りの自分”を生きるの
     はやめて、“宇宙創造の源の意識”と繋がる“本当の自分”を取り
     戻すと決め、この物語を書くことにした。

【純粋な人々 タイプ③】
  “偽りの神”を信仰する人々と距離を置き、住み慣れた土地を離れて暮ら
  すことを選んだ人々もいた。
   彼らの中には、人里離れた山奥に静かに暮らしたり、葦船や丸木船な
  どに乗って離島で暮らす人々もいた。そして海に旅立った人々の中に
  は、潮の流れに乗って弓状列島に漂着した人々もいた。


タカマンガ王国の天孫族は、自分たちの思いのままに大陸を支配していく光景を見て“よし”とされ、満足氣だった。
 だが、彼らに従わない“宇宙創造の源の意識”との繋がりを強く感じて生きる人たちの存在が氣になっていったのだった。

    ~ つづく ~

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