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1-こどもの野性と昆虫の首


昭和47年の夏休み。

その頃、私の両親は、大阪の商店街での商売を、手広く他所にも拡げはじめた頃でした。

父33才、母26才。

子供が6才(私)、4才、2才、0才。

ーーもうすぐ夏休みになってまう。子供4人おるのは、やばい!

・・・となったのかどうかは、わかりませんが、多分そんなところ。

とりあえず私と一番上の弟との二人だけ、夏休みの1か月間、里子?に出されることに決定。

行き先は父の生家。
ばぁちゃんちだ!
やった~!

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父の生家は、大人だけ4人で暮らしてます。

・おばあちゃん👵(父の母。70才)

・おっちゃん(父の長兄。48才。中学校の先生)

・おばちゃん(おっちゃんの嫁。48才。二つの家業である「田畑」と「にしき鯉養殖」をこなすスーパーウーマン)

・おねぇちゃん(その娘。28才。私の従姉。大学の先生)

3人が仕事に出かけると、おばあちゃんだけになります。そして家には塀はあっても柵はない。

私たちは、放し飼いでした。

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朝ごはんのあと、外へ遊びに行ったきりの孫の無事を、おばあちゃんは何度も仏さまに祈ります。

いつ帰ってきてもいいように、おにぎりとカルピスを用意して、庭先で草むしりをしながら、私たちの声が聞こえてくるのを待ちながら過ごします。


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私たちは、お腹がすいたら家に戻り、ババッと食べて、またすぐ出ていきます。

山とせせらぎ、池に土手、無人の神社を探検し、ものすごいスピードで野生化していきました。

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預けられて1週間がたちました。

祖母の家のそばには、土手があり、そこは小さいバッタ、大きいバッタ、キリギリスにコオロギの宝庫です。

いつものように、逃げる虫たちを蹴散らしながら、野ザル2匹で走り回っていると、そこへ地元の子供が2人きます。

私たちと同じような年の姉弟で、二人とも半ズボン、上は袖なしのランニング肌着しか着ていませんでした。

お互い無言で、初めての対面に、固まって立つ図。

***

ふと、女の子の白いランニング肌着に、1センチほどの小さな『モノ』が10個以上、揺れてぶら下がっていることに、気がつきました。

私たちは、『モノ』をじっと見つめました。

……キリギリスの、頭だ!

弟がそばに来て、私のシャツの裾をギュッと握りました。   

※2へ続く

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noteで、初めて書いた「子供時代の体験話」連作中~です。

全部を下書きに戻し、「落書きイラスト」を足してリメイク後に、改めて再アップしています。日付が古いのはそのため😃です。 

  ー2021年5月ー


🌸ここまで、お読みいただきありがとうございます。🌸

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