見出し画像

新学習指導要領と情報I、プログラミング教育が導入される背景:大学入学共通テスト新教科「情報」を知る1

2022年から実施される新学習指導要領では新たな科目として「情報Ⅰ」「情報II」が始まります。また、2025年以降、大学入学共通テストも、現行の6教科30科目体制から、新たに「情報」を加えた7教科21科目体制に再編されます。
今回は、なぜ入試科目や学習指導要領が変更されることになったのか、その背景について確認します。

ご存知の方も少なくないかもしれませんが、そもそも今回の大学入学共通テストの入試科目変更や学習指導要領改訂の背景には、文部科学省が進める高大接続改革があります。

高大接続改革とは、平たく言うと、高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育をまとめて改革しましょう、というもので、背景には日本の国際競争力の低下への危機感があります。

文部科学省のウェブサイト(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1402115.htm)では高大接続改革について、FAQの形で掲載されています。

質問:「高大接続改革」とはどのような改革ですか。

回答: グローバル化の進展や人工知能技術をはじめとする技術革新などに伴い、社会構造も急速に、かつ大きく変革しており、予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要です。『学力の3要素』(1.知識・技能、2.思考力・判断力・表現力、3.主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を育成・評価することが重要であり、義務教育段階から一貫した理念の下、「学力の3要素」を高校教育で確実に育成し、大学教育で更なる伸長を図るため、それをつなぐ大学入学者選抜においても、多面的・総合的に評価するという一体的な改革を進めていく必要があります。

この高大接続改革についてまとめた同省の「高大接続改革のこれまでの動向と今後の展開」という資料を参照すると、2ページ目に「なぜ高大接続改革なのか」ということについての記載があります。


要約すると、

・世界で活躍し得る人材を輩出するには大学教育を変える必要がある

・大学教育を変えるためには大学入学時点で学生に一定の能力を獲得させておく必要がある

・大学入学時点で一定の能力を獲得しておくためには高等学校教育を変える必要がある

・高等学校教育を変えるためには大学入学者選抜を変える必要がある

こうした背景から生まれたのが高大接続改革なのです。

そしてこの高大接続改革を実現するために、大学入試改革や新学習指導要領が実施される、ということになります。

この改革の中で「情報」については特に重要視されており、学習指導要領も大きく見直されました。プログラミングが追加されたのも、現代の世界で活躍し得る人材を育成するためには必須の能力だという判断によるものです。次回は「情報」分野において、この改革の流れがどのように影響するのかを更に詳細に確認していきます。

情報関係基礎の過去問題集(解答解説、情報I対応キーワード集付)を公開しています。ぜひご覧いただけると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?