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高大接続改革で「情報」学習はどう変わる? :大学入学共通テスト新教科「情報」を知る2

高大接続改革の流れで大学入試改革があり、新学習指導要領による授業が始まり、と高校生を取り巻く学習環境は大きく変わります。

中でももっとも大きな変化の一つが共通教科となっている情報です。

これまで選択必履修だった「社会と情報」「情報の科学」は廃止され、2022年度から新たに「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」という科目に置き換わります。

特に「情報Ⅰ」は必履修科目となり、2025年1月の大学入学共通テストからは教科の一つとして「情報」が追加される予定です。

教科の一つということは、「国語」「数学」「理科」「地理歴史」「外国語」「公民」と「情報」が同列に扱われるということになります。

前身に当たる「情報関係基礎」は数学②の中の一科目でしたので、科目から教科に格上げされたことになります。

2021年11月時点では最終的な決定は持ち越しとなっていますが、国立大学の受験をする場合には共通テストで情報が課されることが既定路線です。

もちろん、高大接続改革の影響が及ぶのは高校での学習だけではありません。

政府によるAI戦略 2019によって、大学教育では全ての大学生に数理・データサイエンス・AIに関する初級レベルの教育が課されました。

今後、大学生は文理を問わず「情報Ⅰ」を履修済みである前提でデータサイエンス・AI教育が展開されることになるため、従来よりもスタートのレベルが引き上げられることになります。

具体的に高校での学習内容がどう変わるかというと、例えば、従来だと選択必履修科目である「情報の科学」を学んだ生徒しかプログラミングを学習していませんでした。

「社会と情報」と「情報の科学」だと、「社会と情報」を学ぶ生徒の方が多数派であったため、実際にはほとんどの学生は大学入学時点ではプログラミング教育を受けていません。

しかし、これから必履修科目となる「情報Ⅰ」にはプログラミングの学習が含まれているため、今後は大学入学時点で全学生が少なくとも基礎レベルのプログラミング教育を受けていることになります。

このため大学教育は学部・学科を問わず、プログラミングについては従来よりも応用させた内容からスタートすることができる、ということになるのです。

プログラミング以外にも「情報Ⅰ」では「情報デザイン」「ネットワークとデータの活用」についても学習し、自ら問題を発見・解決できるようになることが学習目標として設定されています。

この改革が構想通りに進めば、大学生の情報リテラシーは大きく引き上げられ、大学での学習や専門的な研究の際にも全ての学生が自らコンピュータを使って統計処理やビッグデータの解析等のデータ活用を行ったり、必要なシステムをプログラミングしたり、あるいはモデル化の手法を用いてシミュレーションを行い問題解決をはかったりと、より実践的に情報ツールを使いこなせるようになることが期待されます。


情報関係基礎の過去問題集(解答解説、情報I対応キーワード集付)を公開しています、ぜひご覧いただけると嬉しいです。


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