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ワインバーから始まる物語

縁もゆかりもない場所へ上京した。
知り合いが全くいないのでまずは話し相手が欲しかった。
一人行動は抵抗ないが、実は一人ご飯は少し抵抗があった。
というか、一人で外食するなら家で冷凍うどんでも食べる方が楽…と外食に対しての欲のなさから出不精になるのが以前からの習慣。
しかしこれも成長のためと奮い立たせ出掛けた。

ある時、根津の駅前にあるワインバーへ出向いた。
ワインの美味しさなんて正直わかるほど飲んでないし、1杯で顔が真っ赤になってしまうのでハードルが高かった。
しかし今までしなかったことをしていくのがモットー。
カウンターがあるし、料理がおいしそうだし、女性がされているところも私には行きやすかった。
初回でかなり居心地のよさを感じた。店長とお客さんと沢山話ができたことも次に繋がった。

なにより、店長が私のこの状況にとても興味を持って面白がってくれた。
2回目以降の来店ではすでに私の名前が一部常連さんの間で知られているほど、「大分から何もかも捨ててきた面白い人がいる」と、噂にしてくれていた。
この状況が最高に面白かった。
お陰で常連さんやお店に馴染むのが早かった気がする。

5年くらい前から私は趣味でタティングレースのアクセサリーを作っている。
それを知った店長はまた興味を持ってくれてピアスをオーダーしてくれた。
私のアクセサリーはセミオーダー形式。
沢山集めたカラフルな糸から好きなものを選んで頂き、形も似合いそうなものを提案しながら決めていく。
そこで思いついちゃった「ワインバーでのアクセサリーセミオーダー会」
しかもワインで染めた糸をお店別注カラーとして用意することにした。
来店したら先にオーダーしてもらい、ワインを飲んでいる間に仕上がるという会。
これが大盛況で、とても貴重で豊かな時間を過ごさせてもらった。
この時まだ上京して2ヶ月くらい。
まさかこんなイベントができるなんて思っていなかった。

そして今おもしろい状況になっている。
絶えずアクセサリーのオーダーが入るのだ。
編み終わったタイミングでオーダーしたいと連絡が入る。
お客さんはこのワインバーで知り合った方も多いが地元の友達や親の友達も…
今までこんなにコンスタントではなったので不思議でおもしろい。
そしてこの熱中する時間(瞑想と思っている)と僅かなお小遣いは「大丈夫だよ」と言い聞かせてくれる安心材料となっている。
正に天からのサポートが入っているとしか思えない。

ナチュラルワインの美味しさもわかってきたし
これからもこのお店から始まる何かがありそうで
「いきつけ」という憧れの言葉を用いながら通っていく。



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