大分県は別府温泉ばかり押していて、もうひとつワールドクラスの観光地があることをお忘れじゃないですかね。なんせ、こっちは鯛生金山のために来たといっても過言ではないというのに、大分県のWebサイトではほとんど触れられていないというね。それこそ宝の山のもちぐされ、まったく何やってんの。よしわかった、観光大使としての任を受けたからには、オレが強引に責任をもってこの場所をご紹介させていただくッ。
ちなみに東京から大分まで新幹線で5時間かかってます。気持ちすでに呼吸が浅い。
例によってヒジョーに寂しい風景です。マインランド尾去沢にちかいですが、あそこは完全にオレひとりだったので、ここはまだマシなほうかな。駐車場にも4台くらい停まっていたし。とにかく、いまにも降ってきそうな空模様だったこともあり、いそいそと入坑口を目指します。敷地内は結構広いんですけど、アトラクション(ていうの?)が限られているので、すぐ見つかりました。
途中で砂金採り体験施設を発見! ゴールドハンティンッ、イェーッ! その下のはカメルーン国旗。2002年の日韓共催ワールドカップサッカーのとき、カメルーン代表の滞在したのがこの村です。のぞいてみようぜー!
スンッ
閑散としたなか、チケット売り場のおねぇさんから入坑券を購入。「砂金採りは?」の質問には「やりません」とハッキリと。
そしてチケットと一緒にマグシーバを借ります。いろいろな情報がイヤホンを通して得られるんですが、混線しているのかいろんな音声が。
現在12時15分です。靄がスクリーンのように前方をふさいでいる不思議な光景。温度差のある空気で層ができているんでしょうかね。
角を曲がると見えてきました。地下空間が口をあけて待っています。坑内から流れ出てくるひんやりとした空気を感じながら、いざ入坑です。
ブリキ板みたいなトンネルをくぐって歩いていくと、前方に明るいライトが見えてきます。ここからが鉱山見学スタート。例によって例のごとく、人の気配はまったくありません。広~い坑内にただひとり、の可能性大です。
振り向けば、まぶしい外界ももう遠くに。
さっそく見張所の人形が出迎えてくれます。水の滴る坑内を一人で歩いていく。鯛尾金山はとにかく人形が多くて、つねに誰かに見られているような感覚、無数の視線を感じます。
通路をまっすぐ進んでいきます。素堀りの坑道は天井も低い。
火薬庫。湿度が高く、しけっちゃうんじゃないかという気もしますが。古い神社やお寺の倉庫を見ているようなカンジです。
天井でぼんやりと光る電球。狭い通路だとこれくらいしかありません。
タバコはよかったのかな。火気厳禁ってわけでもないのか。それにしても・・・左手前のプレートには小銭が。何を願ってなんでしょうか。やめてほしいもんです。
こんなところでブラブラしていても仕方ないので、前へ進みます。前方にはトラックが。
天井が低いのでたしかに頭上注意なんですが、地面も結構ぬれているし、狭い通路は左右の壁もデコボコしているので、とりあえず全体的に注意したほうがよさそうです。
広い空間に出ました。機械の動作音がしたとおもったら、立抗巻上機という巨大なリールみたいなのが鎮座していました。歩きながら撮っているのでブレブレですみません。
そして、それを操縦しているお兄ちゃん。天井から落ちてくる水滴でどこもサビだらけ。人形の髪の毛も水玉が滴っています。
入坑者をセンサーで感知して、音が鳴るスピーカー。なにしろここには俺しかいないので、急にしゃべりだすんだよな。ビビらせるのほんとやめてほしい……。
工夫を地下へと運ぶエレベータ。ケージの作りはかなりきゃしゃです。左のグリーンに照らされたところからは、下へと続く穴がのぞけます。でも暗い闇が続くだけ。
第5立抗の深さは590mだそうな。東京タワーが333mだからね。5つの立抗すべてがそれをはるかにしのぐ高低差をもつという、なんとも気の遠くなるような話です。
上からのぞくとこんな感じ。こういうとき、後ろから押す冗談をする奴いるよね。友だち関係ってそこからダメになるんだよな。
ここらへんは、かなりライトアップされていて不安感は感じません。トロッコがあったので撮影。画面左側の運転席にはお兄さん。そのすぐ右に写っているのは人の顔じゃありません。撮影後、ちょっとビビったよ。
よお、イケメン。
鉱脈は大分と福岡をまたぐようにして、広大な範囲に伸びていたようです。コレだけの距離、地上を移動するにも大変なのに、ましてや地下での移動は、そりゃもう大変だったろうね。
暗い通路を抜けて先へと進みます。左にはもう動かなくなったトロッコが。鹿児島の串木野金山にあった「ゴールドパーク串木野(すでに閉園し金山蔵に改装)」はトロッコで坑内をかなり移動できたらしい。ある意味、TDRよりも夢のある場所だったわけです。
やぐら組みの薄暗い通路をひたすら歩く。天井からのライトが、うら寂しい雰囲気をかもし出す。
横には進入禁止の坑道が。黄色いダクトが奥へ、奥へと伸びています。
ところどころ、こういう冷たい感じのするトンネルがある。濡れた石やセメント、コンクリートには蛍光灯がよく似合います。歩いていると、遠くでいきなりモーター音が聞こえだしたので、音のするほうへ歩いていくと――
マネキンが木を切っていました。センサーがこちらを感知したらしい。その場をゆっくりと離れたんだけれど、しばらくのあいだ、背中からモーター音が響いていました。不気味。うすら寒いものを感じます。
ていうか、じっさいに気温も低いんだけどね。坑内は15度くらいをキープしています。
と、ここまでマジメな坑道の一面を見せていた鯛生金山ですが、後半から急激にエンタメ要素が前面に出てきます。
長くなったので、残りは次回へ。
つづく