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ハッピーロード大山をゆく(東京)

ちょっとまえに川崎のハッピーロード商店街について書きましたが、じつはもうひとつ板橋区にもハッピーロードという名の商店街があります(というか、全国的に見れば、他にもたくさんあると思いますけど)。

その名もハッピーロード大山。古い商店街の多くがそうであるように、ここも戦後の闇市をはじまりとする長い歴史があるんですが、いま再開発に揺れており一部は取り壊しもはじまっているとか。何が起きているのかを確かめるべく現地へと向かいます。


2024.04.28

GWの2日目。今朝のテレビニュースで「家族でハワイに行ってきます」とか「円安なのでカノジョと温泉旅行がいいかなと思って」などという、幸せという象形文字のもとになったんじゃないかと思うような映像を目の当たりにしつつ、おれは東上線をひたすら北上し一路大山を目指します。「だいせん」ではなく「おおやま」と読みます。よそはよそ、うちはうち! 幼いころからそう教育されています。



さて、ではまず周囲の位置関係の把握から、とおもったけど、こりゃ随分ざっくりした地図だね。もうちょっと、なんかこう、あるだろ?😅



でも、目の前がいきなりハッピーロードだったので迷うことなく目的地に到着。その名にふさわしく、幸せそうな人々のシルエットが描かれております。よし、さっそく行ってみましょう。



エメラルドグリーンの天井をもつメインストリートが中央を走り、左右に多数の商店が並ぶアーケード街です。採光性が高く、全体がとても明るい。



でも、ちょっとわき道に入ると年季の入った建物が目につく。



私道なのかな。道幅もけっこう狭いんだよね。



サバ柄センパイ、ちわっす。人が来ても、自転車が来ても、まったく動じない姿勢はさすがです。



商店街の途中にはあちこちに広告エリアがあり、イベント告知などがおこなわれている。左上の彼女は商店街の公認ハッピーアンバサダーまゆちゃん。右下はバーチャル宣伝大使(?)。



むかしからの店舗が多い。この団子屋さんの佇まいも立派だけど、店の奥ではまゆちゃんの宣伝も忘れない。さすが公認ハッピーアンバサダー。商店街全体で推しているのがわかります。



そして、さきほどの「バーチャル宣伝大使」ふたたび。ああ、VTuberだったのね。



そして歩いていくと、不意に天井が抜けて空が顔を見せる。ここは再開発の中心地。商店街を突っ切る形で道路を通すという東京都の都市開発計画が進行中です。天井は取り外され、側道の店舗は撤去・解体された。でも、道路を通す前提でありながら、土地の買収取得は思うように進んでいないとか。そこに区政やら不動産ディベロッパやら地権者やら、いろんな人の思惑が入り乱れているようです。右手奥ではタワマンも建設中という。



地域一帯で盛り上げていこうという感じが見て取れる。苦戦する商店街が多いなかで、ここまで草の根のつながりが持てているのは正直すごいです。



再開発にともなって商店街を離れていった仲間たちもフォローされている。



両方いっぺんというのがもう悪意丸出し。ていうか、これは飼い主に言うべきじゃないか?🤪



バーチャル宣伝大使決定戦の候補者ってこんなにいるのか。衝撃……。



今日は快晴だけれど、雨の日は傘が必要で、せっかくのアーケードの意味がないよなぁ。



もう決まったことだとはいえ、夏の終わりにはもう解体が終わる😔。



自転車は押して通行するようにというアナウンスが、スピーカーからひっきりなしに流れていた。買い物客の通行量も多く、人だかりができている店舗もあるから、スピード出して走っているとホント危ないんだよね。



たとえばここ。若い子に人気のあるクレープ屋で、メディアに取り上げられることもある有名店。およそスイーツとは相いれない、あきらかにヤバそうなキャラクターがいるんだけど😆



そして、さらに追い打ち。手書きってのがまた……😱



いかついお兄ちゃんがやっている。でも賑わっていました。



みたところ観光客というよりも完全に地元の人たちかな。中学生くらいの子から高齢者まで幅広い年齢層の人たちでごった返しており、この商店街はリアルな生活感にあふれている。



その様子をみていると、「この街に本当にタワマンが必要なのか」という一部の人たちの声には一定の説得力がある気もする。もちろん、いろんな立場の人がそれぞれの利害関係を抱えながら発言しているわけだからね。部外者の自分が公平に判断できるわけないんだけれど。



でも、庶民向けのお店の背後に、建設中のタワマンがそびえている光景が、なんとも落ち着かない空気をたたえているのは間違いない。



商店街組合としては正式に開発計画を受け入れたそうだが、一部の商店主は反対の意思を崩していないとのこと。



コモディイイダ(スーパーマーケット)も正面切って反対を表明している。



せんべろ酒場もどうなってしまうのか。



路傍ではピーターパンみたいな恰好をした大道芸人がパフォーマンスを繰り広げていた。眺めている子どもに「輪っかを投げてくれるお友だちはいますか~?」と語り掛けている🥳



シャッターには小学生の絵。



一方、取り壊された店舗からは看板が外されてゆく。



エメラルドグリーンの天井を通して降り注ぐ春の優しい陽光は───



いろんな人の想いを乗せてキラキラ輝きながら───



目の端をかすめてゆく。


ハッピーロード大山は、かつて個別に存在していたふたつの商店街が紆余曲折を経て一体となり、現在のすがたを形づくったという経緯がある。アーケードの全長は560m。これが分断されることで、はたして何が起きるのか。良いとか悪いとか、そんな単純に切り分けできる話じゃない。いろんなひとの思惑が交差するなか、この街は重要な局面に差し掛かっている。