ロストバージン子ちゃん
ここ数日の忙殺気味のスケジュールからは一変し、この日は珍しく20時過ぎには自宅にいた。
PCを開きWeb上で調べものをしているところへ学生の頃からの馴染みのヨウコからの電話が入る。
「城西くんさ最近忙しい?」
「もうめちゃ忙しくて死にそうで毎日泣いてるし、誰も優しくしてくれないしガラスのハートにパリーンとヒビが入って今にも割…」
「分かった、分かった。やっぱ良いごめん、また電話するね」
「あああー、待って待って!何、何?仕事は調度落ち着いたところで特に忙しい訳ではない」
僕の回答を最後まで聞かずに電話を切ろうとするヨウコを必死に止める。
「あ、そうなの?ってかさ一応ヒト選んでお願いしようとしてるから余りヒトに言わないで欲しいんだけど、」
ヨウコが柄にもなくいつもの喧しい話し方とは変わって声のトーンを落として喋り始める。
「あのね、今余力ある?ってかオンナ要る?」
突拍子もない問いかけに一瞬たじろぎそうにもなるが冗談でならこの手の類のコトも言いそうなヤツでもある。
「そんなの忙しくても欲しいっちゅーの。え?何の話?紹介?」
「私の仲の良い友達なんだけどね、普通に可愛いんだけど今までオトコのヒトとそういう関係になったことない子がいてね」
「ほー、それで?」
「彼氏が出来そうなんだけど、初めてっていうのを隠したいらしいのよね」
確かにこの手の悩みを抱えたコは一定数いる印象だ。
それよりも彼氏が出来そうなのであれば機を待つだけなんじゃないかとも思いながらもその言葉はあえて飲み込んだ。
「ふーん、それで?」
「出来るものならば変な感じじゃなくて理解のあるヒトがいたら一度だけ関係もってもらいたい…。みたいな」
「ほー。オレはその変な感じじゃないヒトとして抜擢されようとしている訳だな」
「そんな感じ。一度会ってみてよ」
何て変な会話だと思いもするがこんな確約プランを持ってくるヨウコには心の中で湯浅弁護士風に親指を立てて感謝の意を届けたい思いだ。
「いいよ。そんな一回会って決めるとか失礼だし。ってかこんな出来過ぎた話逆に断る理由がねーよ。知らないヒトからの打診であれば超警戒するけど」
「でしょ?やっぱお互い美味しいよね!ってかどっちかって言うと私が1番何も良いこと無いし」
「良いじゃねーか、その内良いコトあるって(笑)」
「何それ、ねー私にも誰か紹介してよ。ってかその日に一緒に来れるヒトいない?だって友達引き合わせて私だけ1人で帰るの虚しいんだけど」
「何だか主旨が変わってきてるな。その友達が先ずは関係もてれば良いって話だろうが(笑)」
「まあね(笑)」
「分かった、ってかその辺で待ってろよ。終わったらその後オレが特別に相手してやるよ。ってそれじゃダメ?(笑)」
「何そのめっちゃついでな感じ。別に城西くんとするのは良いんだけどね、それなら別の日にしてよ。友達に突っ込んだモノを直後に挿れられたくない(笑)」
「まぁわかる。ってか日取りの問題なのかよ(笑)もれなくオレに抱かれちゃうって話なんだけどな」
「それは別に良いよ。この間彼女イかせまくってて極めたかもって自慢気に言ってたじゃん。それ私にもして」
「その言い方もどうなんだよ」
基本スタンスとして出会いは自分で拾いに行くものだという意識が僕にはある。
何だかなぁという思いを抱きながらも日取りを決めて、僕はヨウコの友達の捨ててしまいたい女子カナメに会うことになった。
駅前の商店街のアーケードを抜けるとキャバクラや飲み屋が密集したエリアがある。
そこから通りを2本挟んだあちら側にホテルが数軒並んでいる。
このメンツでいるところを知った顔に見られるは少し抵抗があったのか、
駅前などの分かりやすい場所ではなくアーケードの通りを少し入った辺りで僕は2人と落ち合った。
「じゃー私はこの辺で帰っちゃうから、後は2人で良いようにしてね」
3人が歩き始めようというところでヨウコはカナメに「頑張って!」と口の動きだけで促しながらニヤニヤと僕の顔を一瞥して去って行った。
この後の展開は僕に委ねられている。
カナメと申し訳程度の照れ臭い挨拶を交わすと互いに取り留めのない会話を交わしながらホテルへ向かって歩いた。
「お酒か何か買っていく?」
「いえ、あまり飲めないので大丈夫です(照)」
普段誰でも構わず声を掛けまくっている僕と一緒にしてはいけないのだろう。
ある意味カナメも思い切って臨んで来たには違いないが、明らかに表情も堅い。
先ずは緊張を解そうと他愛もない会話でカナメを笑わせながら2人でホテルに入った。
慣れた風に浴槽にお湯を緩めにはり始め、一応部屋の照明だけは雰囲気だけでもムーディーに調整した。
今後カナメがホテルへ入るやいなやこなれた手つきでこう動いたとしたら確実に僕のせいだ。
そしてすべきことは1つだけ。
彼が出来そうなカナメにしてみてもこの期に及んで、見ず知らずの僕とイチャついている場合でもないだろうが、
今日ばかりはこうやるもんだと僕の思い通りに流れを作ることが出来る。
淡々とやることだけを済ませてバイバイというのももったいない話だ。
部屋の照明をもう少しだけ暗めに落とし、
恥ずかしがるカナメのカラダを寄せて唇を合わせながらブラのホックを指先で弾いて外した。
腕もガチガチに肘を張ったかのように緊張が伝わってくる。
「もしかしてキスも初?」
「いや、さすがにそれはないですけど、恥ずかしいですよね(照) すみません変なお願いしちゃって」
「オレは全然良いよ。寧ろ頼られてオトコとしては嬉しいくらいだよ(笑) 取りあえず別々にシャワー浴びてからにしよっか」
「そうします(笑)」
バスタオルを巻いて出て来たカナメとすれ違うように、
僕も軽く汗を流す程度にシャワーを浴びベッドに向かうとネグリジェ姿のカナメが緊張した表情で腰をかけていた。
フライイング気味のネグリジェ姿にさすがに突っ込むわけにもいかず、
そのままいつも以上に丁寧な前戯からプレイをスタートさせた。
入念な仕込みの甲斐あってか挿入時には息苦しそうな表情を見せたカナメであったが、
僕が果てるころには大きく「おぅ、おぅ…」と喘ぎ声を上げるまでに快楽を露わにしてくれていたので僕も達成感で一杯だった。
2ラウンド目への突入も考えたが、初めてのカナメのカラダへの負担も考え2人でまったり湯船に浸かった。
僕は「今日は大サービスだ!」と言わんばかりに、浴槽に腰を掛け自分のモノを握りサイズの変化する過程をじっくりと見せつけてやった。
カナメも興味深々に食い入るように触ってくるので、「ここをこうしたらきっと喜んでくれる」などと、
簡単な舌や指のテクを伝授しながらカナメの口の中で思いっきり果て、しっかりと飲み干すようにと促した。
これを彼の前で堂々と出来ればまさか2回目などとは思われないだろう。
帰り際、命でも救ったかのようにカナメに何度も頭を下げられながら、代金を折半してホテルを後にした。
「おめでとうの変わりじゃないけど、これくらいは僕が」と支払いかけたが、これはこれで良いと思った。
後日、ヨウコから電話が入る。
「あのさ、カナメこの間の城西くんとのことオンナ同士で飲んでる時とか超自慢してるんだけど(笑)」
「え、何て?(笑) まぁ最近のやった時の話とかって案外オンナ同士でもするもんじゃないの?(笑)」
「まぁそうなんだけど、『痛いどころじゃなくって、最後なんてめっちゃ気持ち良かったからね!』だってさ」
「(爆笑)」
「マジで聞いてるとちょっと腹立って来ちゃった(笑)」
僕は「まぁこれはこれで良かったじゃないか」とヨウコを宥め、
見なかったこと聞かなかったことにしようと心の中で誓っていた、
あの日のカナメのネグリジェ姿と喘ぎ声の話をついついヨウコに話してしまっていた。
更にその後日。
僕は約束通りヨウコと二人でカナメと入ったホテルの隣のホテルへ入り、他より少し仲の良い友達からめちゃくちゃ仲の良い友達へと関係を昇格させた。
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