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07.「ハーフ・アイデンティティ・人種差別」

Moi!

先ず初めに、皆さんに聞きたいことがあります。

自分の命を守る為に立ち上がった事がありますか?他人と喧嘩をするとかそういう話ではなく、自分の立場、ルーツ、アイデンティティーを守る為にです。僕はあります。肌の色で差別され、生まれ育ったお国柄で差別され、ハーフだから差別されたことがあり、それに立ち向かった事があります。

今日はそう言う人種差別について、僕の経験を踏まえて書いていきたいと思います!全部読んで欲しいですが、セクション毎に書いていくので時間のない方はトピックを選んで読んでくれて構いません:)

・アイスホッケーはみんなの為のスポーツじゃない。まだ。

僕もフィンランドでアイスホッケーをして、もうすぐ7年目を迎えます。フィンランドだと、アイスホッケーは国内でずば抜けて一番人気のあるスポーツ!街中を歩いていても所属してるアイスホッケーのチームのロゴ入りジャケットを来ている子を何人も見ますし、アイスホッケーをしていない人でもトップリーグのチームから地域のチームまで大体は知っています。

ある日、練習に行くために電車を使いました。電車が来るまで駅のホームで待っていたのですが、無意識に10m位距離の離れた男性と目が合いました。他人と目が合う事くらい特に特別な事じゃありません。電車が来たので電車に乗り、座ると違う車両に乗ったはずの目が合った男性がわざわざ僕の座ってる席の前まで歩いてきて向かいの席に座った瞬間、僕に向かって叫びました。

「お前みたいな有色人種がアイスホッケーできるとでも思ってるのか!どこから来たか知らんが来た国へ帰れ!N***a!(黒人差別に使われるNワード)」

うわー、ついに俺も言われたか。って感じで僕はしばらく無視してましたがその男性が興奮気味に、「ホッケー選手なら今グローブを落とすとこだよな!グローブ落とせよ!」(アイスホッケーでグローブを落とす事は喧嘩を始める事を意味します。)と攻撃的になってきたので、周りに座ってる方の迷惑にならないよう僕は席を車両を変えました。幸いにもその男性は、それ以上僕の後を追って来なかったので何事もなくすみました。

海外挑戦というと、試合中に相手チームの選手に色々人種差別的な悪口を言われる事は普通にみんな経験されると思いますが、まさかオフアイスでそんな事を言われるとは…

チーム内ではそこまで嫌な思いはした事はないですが、やんちゃで気が利かない子と言うのはどこにでもいるものです。笑 馴れ馴れしく差別的なワードを僕に対して使っていました。最初は流していたのですが、そうすると他の選手も「お、じゃあ俺も」っていう雰囲気になって舐められ始める事もあり、流石に頭に来たのでロッカールームの中でみんな前でそのチームメイトを怒鳴りつけました。その後からはもうピタリとそう言う事はなくなり、今は普通にみんなと対等な友情を築いています:)

つい先日、長年フォローしていた元アイスホッケー選手がアメリカのアスリートメディア"The Players' Tribune"にて取り上げられていたので、読みました。その題名は"Hockey Is Not For Everyone"です。アイスホッケーは誰でも出来るスポーツではないと。僕の思っていた事が、全て回答されてる感じの記事で心にグッと来る記事。英語で長い記事ですが、是非呼んでください。

アイスホッケーは他のメジャースポーツと違って、圧倒的に白人選手の割合が高いです。なので、僕みたいなアジア系・黒人系選手はマイノリティーで、キャリアの中で小さな壁から大きな壁までぶつかる事があります。でもスポーツって、そうあるべきじゃないんです。誰もが等身大から離れた、夢をみて、それに向かって努力して、競技の巧さで判断されてプロになれる。スポーツはそうあるべきであり、人種やアイデンティティによって判断されるべきではないと僕は思います。

アイスホッケーで海外へ挑戦する方々に言いたいのが、あなたのアイデンティティを馬鹿にする奴は必ず出てくると言う事。覚悟を持てと言う話ではなく、自分のアイデンティティを守る術を身につけておく事を強くお勧めします。

・ハーフ/TCK

僕はカルフォルニアで生まれ、東京で育ちました。母親が日本人で父親が黒人とカリビアン系の混血。(このことが後の話で出てくるので覚えておいてください!)カルフォルニアに住んでいた時は僕が幼かったせいもあるかもしれませんが、自分の人種なんて気にするような出来事はありませんでした。親友は黒人とヒスパニック系の子でしたし、言わずとも母は日本人だったので日頃からたくさんの人種に囲まれていました。カルフォルニアの地域柄もあるでしょうが。笑 

6歳の時に東京へ移り住み、半年程保育園に通ってからインターナショナルスクールではなく地域の公立の小学校に進学しました。保育園に通い始めた時は日本語が全くと言っていいほど話せませんでしたが、子供って不思議な事に簡単に友達を作ってしまうもので、すぐに溶け込むことができました。笑 小学校低学年くらいになると日本語にも不自由しなくなり、友達と話す量も増え「お前ハーフかよ!」と言われることも増えました。その頃は、「あ、俺ハーフか!」って思うくらいでそのほかに思う事はなく平和だったかなと。

少し僕的に「あれ?ハーフってそんな大げさな事?」って思い始めたのが小学校高学年から中学生にかけての間です。「ハーフのくせに…」だとか、「まあハーフだからね。」って言われることが圧倒的に増え、プレッシャーというか日常生活が少し窮屈に感じるようになりました。

高校には北海道にある学校に進学したのですが、東京と比べるとハーフが珍しいのか最初の一週間はホッケー部以外友達ができず、すっごい避けられてる感がありました。笑 先生が入学式初日に生徒達に自己紹介させなかったから…笑 多分みんな僕が日本語話せることも知らなかったんじゃないでしょうか、自己紹介するまで。笑

ハーフだから悪い思いをするばかりじゃありませんが、日本でハーフの肩身が狭いのは事実です。しかも、白人至上主義の日本で白人と日本人のハーフじゃない子は勝手に理想を押し付けられ、「ハーフのくせに…」などと言われます。正直に言うと「はっ?」ってなるのが僕たちハーフのリアクションです。

ハーフに関わらずTCK(Third Culture Kid:両親が国籍を置いている国とは異なる場所で育った子供のこと)にも同じことが言えますが、特に特別な扱いをしてほしい訳ではなくむしろ人柄を見て欲しかったりします!なので、そう言う子を見かけたら「日本語上手だねー!」だとか「へー、じゃあ運動神経いいでしょ?」みたいな話の始め方ではなくて、あなたが親戚の子供に話しかけるように普通に接してあげてください!

・アジア人だから。

↑は、今年の3月5日の出来事です。本当にショックというか頭の中が真っ白になりました。「そんな事言われたなら、その場で先生になんか言い返せよ!」といくつもコメントをいただきましたが、僕はそんなに強い人間ではありません。その日は、家に帰って何が起こったのかを頭の中を整理しました。この事件の後に学校とStudent Unionに取り合った所、その先生が見苦しい言い訳を始めたので事は少し悪化したのですが、僕は特にその先生に復讐がしたい訳でもなかったので学校側と平和的解決をすることに決めました。

ここで問題なのは、

・大学の先生という立場の人間が差別的発言をした事。
・僕の大学で学ぶ権利を侵害した事。
・事実とは異なる内容をでっち上げた事。

です。ですが、僕が一番ショックだったのは大学という場で先生に差別された事。しかも、日本人という事で。日本人って世界中を見回しても悪印象よりも好印象が上回っているので、まさかの事態でした。

当時はコロナがアジア中心に拡大していて、ヨーロッパにコロナが来たばかりという事もあり、誰もが心に余裕がなかったのだと思います。だけども、そこで「君日本人だよね?今すぐ私から離れて!」ていう発言は許されるものじゃありません。しかも冷静に考えれば、僕は2年もの間フィンランドから出ていない訳で…先生の発言は明らかに冷静さを欠いたものでした。

これは他においても同じ事が言えます。ステレオタイプはステレオタイプでその人の一般的な背景を知る手掛かりにはなります。ですが、国別、地域別、人種別に人を観るのはその人の事を観ているのではなくあなたが見てる幻影です。人間とは一人一人に違うアイデンティティがあり、様々な思想や立場があると僕は思います。なので、ここで僕が皆さんに伝えたいのは、今目の前にいる人をカテゴライズせずに一人の人として真摯に向き合ってください。本当にその人の魂を見つめてみて下さい。そうすれば、浅はかな発言も減りますし、お互いに嫌な思いをする事も減るのではないのでしょうか:)

・終わりに

いろんな事が僕には起こりましたが、人種差別に対してはしっかりNo!と言い、そのような扱いをされた時の為にも対応出来るスキルを身につけておいてください。

No one is born hating another person because of the color of his skin or his background or his religion.People must learn to hate, and if they can learn hate, they can be taught to love.
(肌の色やその人の背景、宗教によって他人を憎むように生まれてくる人は誰もいない。人々は憎しむことを教わるのだ。そしてもし、彼らが憎しみを学べるのなら、愛することも学べるはずだ。)
-ネルソン・マンデラ

と、彼は言います。

僕から言える事はこれぐらいですが、皆さんに少しでも僕の思っている事をシェアできたらと思い、拙い文ながらも書かせていただきました。人種差別に関する僕のお勧めの本と映画を最後に貼っておきます!時間のある方は是非、見てみてください!

それではNähdään!
Ter.Shuma

本:夜と霧マルコムX

映画:

BlacKkKlansman

Green Book


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