【ドイツ語】格変化の覚え方のコツ
【この記事のここがポイント】
✓「男性&中性」、「女性&複数」をセットで覚える!
✓ まずは1格と3格を覚える!!
デア、デス、デム、デン……。
と呪文のようにドイツ語の定冠詞の変化を学んだ人は多いと思います。
ドイツ語、と言うと、この定冠詞の変化形をそらんじる人が本当に多いですよね。それだけ印象的なのか、はたまた挫折の名所なのか……。
ここでは格変化の覚えるコツを紹介しようと思います。
1.ドイツ語の格変化は「男・中」と「女・複」で分ける!
ドイツ語の定冠詞の格変化は以下のとおりです。
市販の格変化表とは若干順番が違うかもしれません。
この表を見ていただくと分かると思いますが、定冠詞の変化には、「男性・中性グループ」と、「女性・複数グループ」の2つがあることが分かります。
しかも、グループ内での違いはとても少ないです。
異なる場所は、「男・中」の場合が1格と4格、「女・複」の場合はなんと3格だけで、後は全部同じです。
暗記の際は、具体的な形よりも先に、こういう「グループ分け」をまず覚えましょう。こういうグループ分けの方が案外頭に定着しやすいです。
【以下からは、それぞれの格の役割について細かく見ていきます。時間のある方は読み進めていただければ幸いです。】
2.1格は「別格」
「格」変化と言いますが、4つある格の中にも「格の違い」が存在します(ダジャレです)。どういう違いかと言うと、「1格」と「それ以外」というものです。2~4格は「格下」というわけです。
じゃあ、1格って何がそんなに特別なの?と言うと、文の主語になれるんですね。
主語は動詞と並んで文の中で最も重要な要素。これに使われる格なので、使用頻度は一番多いです。辞書の見出しにもなれます。
よって、一番覚えておくべき形ですし、一番大事な格なので、性の個性もここに一番よく現れます。男性、中性、女性、みんな形が違いますね。1格は別格です。
3.4格は「1格に化ける格」
で、かわいそうな「格下」扱いの2~4格ですが、この中にも順位らしきものは存在します。諸説あると思いますが、この3つの中で一番格上なのは「4格」でしょう。
では、なぜ「4格」がナンバー2の格かと言うと、「主語(1格)に化ける格」だからです。どんなときに主語になれるか?と言うと、受動態の文で、です。
能動態から受動態への文の書き換えを見ていきましょう。
【能動態の文章】
Hesse schrieb den Roman. (ヘッセがその小説を書いた。)
【受動態の文章】
Der Roman wurde von Hesse geschrieben. (その小説はヘッセによって書かれた。)
→ドイツ語では、「能動態の4格」⇔「受動態の1格」は互換可能!
能動態の文の直接目的語が主語になる文、これが受動態の文ですね。
そして、受動態の文を作る際に、目的語から主語の座にランクアップするのが、4格なのです。
2格と3格は、受動態では主語になれません。
そして、主語(1格)になれるポテンシャルがあるからなのか、4格は1格と非常に形が良く似ています。
なんと、4格の形は、男性(単数)以外、全て1格と同じなのです。
男性4格だけを覚えて、あとの4格は「1格=4格」で記憶すれば、記憶の負担が激減します。
4.3格は「守備範囲が広い格」
残すは2つの格だけですが、3番目に重要なのは3格です。
なぜ重要なのか?それは、以下の2点です。
1.場所を表すときに使われる
2.前置詞と一緒によく使われる
(1)場所を表すときに必要
「~で」という場所を表すときには3格を使います。3格が分からないと、自分のいる場所が表現できません。
そして、ドイツ語にあって英語にない特徴ですが、ドイツ語では「図書館で(勉強する)」と「図書館に(行く)」という、動作の場所と方向を、格で区別します。
そして、この役割を、3格は4格と分担して行います。この点で3格は4格と表裏一体の関係にあると言っても良いでしょう。
(2)前置詞と一緒によく使われる
これも重要なポイントです。1格は別格扱いなので、前置詞と一緒には使われません。代わりに、他の格が前置詞と一緒に結びつきます。ある特定の格と一緒に使う前置詞は「●格支配の前置詞」と言ったりします。
3格を使うのは、an、mit、zu、aus、von、in、auf、über、nach、neben、、、、と、枚挙にいとまがありません。しかも、本来は2格支配だった前置詞も浮気をはじめ、3格を使っても良し、となっているものもある始末です。3格は、前置詞から絶大な支持を得ている格です。
これだけ頻繁に使われる格なので、3格は、変化表で形を覚えられなくても、前置詞と一緒に使っているうちに覚えてしまいますので、安心してください。
5.2格は「消えつつある格」?
ということで、残る2格が一番格下、というより、あまり頻度が多くない格となります。
2格はもともとは所属を表す格で、英語では「's」をつける所有格に相当する格です。
使われる頻度は決して低くはないのですが、口語では「von+3格」で置き換えることが多くなっています。
【僕の父さんの自転車】
das Fahrrad meines Vaters ←2格を使う場合
das Fahrrad von meinem Vater ←3格を使う場合
また、法律用語を含めて、古めかしい、格調高い表現には2格を使うものが多いです。2格が使えると、表現力という意味で「格の違い」を見せつけられるかもしれません。
一方で、この「お堅い感じ」が、2格が敬遠される理由かもしれません。
6.まず話したいなら、1格と3格を覚えよう!
というわけで、まず会話をしたい場合は、2格以外、つまり、1、3、4格を覚えるようにしましょう。
4格の変化形は殆ど1格なので、実際に覚えるのは、1格と3格だけです。大体これでこと足ります。
これで、暗記の負担はかなり軽減されるのではないでしょうか。
ここまでお読みくださいまして誠にありがとうございました!Tschüssle!
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