【ドイツ語】steigen ≠「登る」
こんにちは!
「steigen」というドイツ語の動詞を「登る」という意味で覚えている人、多いのではないでしょうか?
僕もその1人です。
ですが、これは「steigen」の持つ意味の一部しか表していないんです。
「steigen」の意味は、「高低差のある場所を移動する」です。
つまり、「低いところから高いところに移動する」と、「高いところから低いところに移動する」の両方を表す動詞なのです。
基本動詞の1つですが、日本語にはない概念を表す動詞なのです。
「山(Berg)」という単語を使うとき、「steigen」は「登る」と訳します。
なぜ「下山」ではなく「登山」と分かるのでしょう?
それは「auf einen Berg steigen」と「auf」を使っているためです。
「auf」は英語の「up」の親戚の言葉で、「auf einen Berg」で「山の上へ」という意味になります。
「steigen」に「登る」という意味があるのではなく、「auf einen Berg」という部分により、移動する方向が「上り」であることが決まるわけです。
ちなみに、ins Tal steigenと言うと、「谷に下りる」となります。
谷は下りていくものと相場が決まっているのでしょうかね。
「下山する」は「absteigen」と言いますから、大方が考える方(山と言えば「登る」)じゃない方には別の表現を作ろうという発想になるのかも。
とは言え、「steigen」は「下から上」の動きを表すことの方が多いです。「Die Temperatur steigt」という時には、普通「気温は上がる」の意味になります。
しかし、「『steigen』自体には『上り』『下り』両方の意味がある」ということが分かれば、
そもそもどうして「absteigen」で「(自転車から)降りる、下山する」という意味になるのか、
また、なぜ電車の乗り降りに「einsteigen」(乗る)「aussteigen」(降りる)と言うかが理解できるようになると思います。
「absteigen」については、「steigen」だけでは「上に行くのか、下に行くのか」が不明なので、はっきりと「下」を表す「ab」を付け足しています。
「乗り降り」という動詞に、乗り降りとあまり関係のない「steigen」を使うのは何故でしょう?
ヨーロッパで特急などの長距離列車に乗ったことのある方なら経験があると思いますが、ヨーロッパではホームと車両の高さが異なり、乗り降りには車内の「段差」を上り下りしなければいけません。
あの動作を表すには「steigen」の持つ「高低差の移動」のニュアンスがしっくりくるんです。
あとは、「入る」のか「出る」のかという方向を足してあげれば、「乗る(einsteigen)」と「降りる(aussteigen)」の完成です。
「自転車から降りる」に「aussteigen」を使わないのは、この「出入り」のニュアンスが自転車から降りる際にはないからです。
「乗り換える」を表す「umsteigen」に至っては、車両➡ホーム➡車両と、2回も「上り下り」をしていますね。「上り下り」両方を表す「steigen」がピッタリです。
「steigen」≠「登る」
これは是非覚えておいて損はありません!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
【画像】kumura2さま【Pixabay】
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