指導者の資質とは?
第1回 指導者の資質を設定する
今月のテーマは「いい指導者の資質とは?」です。
僕は満点の指導者はいないと思っています。ある部分には長けていても、ある部分においては欠けているというふうに、得手不得手があるなぁと。その中でプラス要素の多い人がいい指導者と呼べるのではないかと考えています。
ですので、指導者としての資質にはさまざまな要素があるということになります。そこを整理していこうというのが今月の課題です。
コロナ禍の8月にYouTubeにて「監督ランキング」なるものをやりました。最初に再生回数が跳ねた動画で1万弱の再生回数をもらいました。
監督ランキングといっても、思いつきで人を並べたわけではありません。監督の資質を評価する項目を8個設けて、それを数値化。ポイントの高い順に、ランキングを決めていきました。
あくまで、高校野球監督の評価をエンタメ化して、少し遊んだ動画でした。
ただ、これをやった時に同時に思ったのは、この「指導者の資質」という設定は非常に重要だなということです。
皆さんはいかがですか。
指導者として大事にしている部分。あるいは、尊敬する指導者がいて、その方のどういう部分に「凄み」を感じますか。それこそが「資質」だと思いませんか。
中嶋監督でいえば、長期ビジョンを描いて、そこに向けて泰然自若として、目的に向けて作戦を遂行して行けるところです。目先の勝利に走りがちなところをそうはならずに、中長期的にチームを見て、育てられるところがすごいなと感じます。
「ビジョン」「スケール」「育成力「メンタル」「組織力」が浮かんできたフレーズでした。
では我々、アマチュアの指導者はどうなのか。
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指導者の資質項目
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まず、はじめに、2020年の8月に出した動画「監督ランキング」の8項目を紹介したいと思います。
「組織力」「戦略」「スケール」「育成力」「愛情」「教育力」「メディア」「メンタル」
組織力とはまとめる力のことで、戦略とはビジョン。スケールとは野球の大きい・小さい。愛情は選手のことを故障ケアも含めて考えられているか。教育力とは人間形成。メディアとは発信力、メンタルとは腹が据わっているかどうか。です。
ただ、今、監督ランキングをやるとしたら、僕が数値化する資質項目は変わっています。
「勝利への執念」「情報量」「スケール」「育成力」「故障ケア」「教育力」「メディア」「受け入れる能力」
もちろん、これらは繋がっているものではあると思います。情報があるから「育成力」が身につくわけだし「勝利への執念」も見出せる。関連づいていると言えますが、これらが備わっている人ほど指導者として大事なものを備えていると僕は感じます。
で、それらを解説していこうと思うのですが、今回は「受け入れる力」について、お話ししていこうと思います。
いきなり第1回目から突拍子もないテーマから入りますが、これは結構、重要だと思っています。これがあるから情報量の多さに繋がっていくと思いますし、日本人が欠けている部分と感じるからでもあります。
「受け入れる力」とは「謙虚さ」ともいえます。変わりゆく価値観、考え方がある中で、それらを受け入れられるかどうかということです。
昨今は、野球指導に関して、いろんな情報が飛び交っていると思います。データサイエンス化が著しく、ラプソードなどを使った育成手法はそれを取り入れるかどうかは置いといて、身近に迫ってきているのではないかと思います。
あるいは、世の中が「健康問題」に傾いてきて、球数制限をはじめとして故障ケアーにはデリケートになってきている。
そういう情勢がある中で、それを受け入れられるのか、受け入れられないのかも大きく違うと思います。
謙虚に、今、世界で起きていること、世の中で起きていることに聞き耳をたて、そして、それを受け入れられるかどうかは、情報にもありつくことができるわけで、育成力に多大なる影響があると考えます。
皆さんはサロンに入会していただいている方達ですから、その思いが強い集団であると僕は思っていますが、さらに「受け入れる」という点で、日本人が欠損している部分があると感じるので、その話を共有したいと思います。
昨日までロッテの監督を務めていた井口資仁さんのインタビューですごく印象に残っていた話があります。
まだロッテの選手として活躍していた頃、かつて所属したMLBのホワイトソックスがワールドチャンピオンになって、10年ということで、当時のメンバーを集めて式典が行われたそうです。
式典に参加したという井口さんはそこでオーナーからこんな話をされたそうです。
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