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僧正遍昭が百人一首に残した作品は?

僧正遍昭が百人一首に残した作品は、

─── 目 次 ───
☆作品
☆意味
☆文法解説
☆鑑賞
☆出典
★関連動画
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☆作品

♪ 天つ風
   雲のかよひ路
   吹きとぢよ
   乙女の姿
  しばしとどめむ

です。

読みは、

♪ あまつかぜ
  くものかよ
  ふきとぢよ
  おとめのすがた
  しばしとどめ

となります。

太字二カ所が変わります。
三句切れです。

遍昭が仁明天皇に仕えていた頃に、
宮中で、恒例行事
新嘗祭(にいなめさい)が
行われました。
その中で「五節の舞」という舞がありました。
天皇の前で女性たちが踊りを披露するのです。

踊りを見た仁明天皇は、

・・天女の舞のように美しい
 あの女性たちをいつまでも
引きとどめておきたいものだ

とおっしゃったそうです。

仁明天皇の気持ちを察した遍昭が詠んだ歌が、

♪ 天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ 乙女の姿
  しばしとどめむ

なのです。

☆意味

天つ風   (空を吹く風よ)
雲のかよひ路
 (天女が帰っていくという
     雲の中の通路を)
吹きとぢよ
    (ふさいでください)
乙女の姿
   (舞が終わって
    天に帰っていく
       乙女たちを)
しばしとどめむ
    (もうしばらく、
    ここに引き止めて
      おきたいから)



☆文法解説

1句:【つ】は、古い格助詞
詳しくは、


5句:「しばしとどめむ」
   マ行下二段活用
   「とどむ」の連用形
   +推量の助動詞「む」
   《意思》を表す
   「とどめたい」と訳す。


☆鑑賞

雲の中には、天と地をつなぐ通路があって、
そこを天女たちが往来するという伝説があるそうです。

踊っている女性たちを見て、天女のように美しいと感じた仁明天皇は、
女性たちが、「雲のかよひ路」を通って天に帰ってしまうと
思ったのでしょうね。

よほど美しい踊りだったのでしょうね。

仁明天皇の気持ちを察した遍昭が、「天つ風(空を吹く風)」に頼んで

・・・天女が帰っていく
   「雲のかよひ路」
   をふさいでおくれ

と呼びかけているのです。

でも、直接天女たちを引き止めるのではなく、空の風によびかけるというあたりが、ロマンティックですね。

私だったら、帰ろうとする女性の手を引っ張って
「まだ帰らないでくれ」
と、直接言ってしまうでしょう(笑)


☆出典
『古今和歌集』巻17-872番



★関連動画

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