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#30 「気遣いは…」

「♫早く逢って言いたー〜い
  あなたとのいろんな事〜」

彼女の声が407号室に響く。
俺は画面を見ていた。

彼女は俺を見ていた。
俺の反応を。

元気で、優しい歌声。
高音も綺麗に発生していた。
その声に俺は、聞き惚れていたようで【キョトン】としていた。

その視線に気づいた時には、
彼女は俺の目を見て歌っていた。
恥ずかしながら、
ハニカミながら、
照れながら…
一生懸命という言葉が似合うくらい…
俺のために歌ってくれているのがわかる。

アイドルを好きになるファンの方々の気持ちはわかった気がする。
自分のために歌ってくれていると思えば、
好きにもなるし応援をしたくなる。
その人の存在があることで頑張れる。

だけど、その人は俺の【目の前】にいる。

これほど幸せなことはない。

これほど幸せな空間はない。

これほど幸せな時間はない。

室内は徐々に熱くなってきていた。
二人の体温と熱量で室温は上昇していた。

「♫あぁーテトラポットのぼーって、てーっぺん先睨んでー
  宇宙に靴飛ばそー
  あぁあぁ〜あなたがあたしの頬に 頬擦りすると
  二人の時間は止まるー
  ウゥー好きよーボーイフレンド〜」

サビの部分で彼女の【艶】を感じていた。


口元
肌の色
仕草
マイクを持つ手…
俺の6感(それ以上あるかも…)全てが、
彼女に魅了されていた。

間奏で、彼女のビールは干されていた。
すかさず受話器のあるドアに行き、
受話器の口部分を覆い追加注文。

彼女はそれをハッとしてニコニしながらマイク越しに、
【あ・り・が・と・う】と口パク。

俺は、俺が気を遣うことは全然苦ではない。
相手に気を遣われることは苦手で、指導者時代から、
【気づいた人がやれば良い】
と良いつつ1番に気づいてしまうのは、
指導者時代も自分そうだった。
学生に気づかせることが仕事だった。
脱線してしまったが、
指導者という枠を越えれば、
気づけば【尽くしたい】と思う。

聞き入ってしまっていたが、
次の曲入れなければと、タブレットを操作し始めるが、
彼女が気になって、行動とは裏腹に、
視線にやられてしまっている…
『やばいーーー何歌おう…持ち歌…持ち歌…』
得意の【年代別】に早速指がいく。
そして、『世代が違うのにどするの?』っと思いつつも、
10年前だったら、彼女も多感な思春期で、ベタなJーPOPなら知っているだろうと、
安易な考えで、捜索開始!

最後のフレーズに差し掛かるところで、
なんとか間に合ったー
選んだ曲は…画面右上に
【次曲:バンザイ】
と、出た瞬間、
彼女は、最後のサビ終わりのところで、
【ハッ】と俺に視線を移して、嬉しそうな表情をする。

世代を超えたラブソング。
曲調を聞きやすいし…

曲の間に店員が2杯目をデリバリーしてくれていた。それをすかさず、口にする。「ってか、うますぎ…!!!!」
「そんなことないよーユータも気持ちのある曲、よかったよー」
「この曲知ってた?」
「うーん、聞いたことはあったけど、ちゃんと聞いたのは初めてかも」
「なかなか良い曲でしょー:
「うん!もっとユータの声で聞きたいよ」
と、『お世辞でも嬉しいこと言ってくれるんだーーーー!』


さーて俺のターンだと思う瞬間に…
カウントが始まり、
「い、えーーーーーーーーーーーい!君を好きでよかったー」


To be next story…

(あとがき)
刻みすぎてすみません。少しでも早くお届けできればと…何かクレームありましたら遠慮なく言ってくださいねーしかし、惚気すぎですね💦少しでも彼の気持ちが伝われば嬉しい限り!
引き続きよろしくお願いいたします😄


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