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#19 「No Plan」

湘南新宿ラインは、埼京線とは違い各駅ではなく主要駅まで直行。
渋谷から赤羽まで5駅のところ3駅で行けるのがありがたい。
ただ、この時間帯の乗車量は家族連れの帰宅ラッシュのため少しごった返していた。
座れるわけでもなく。

4両目の後方のドアに陣取る。【プシューーーー】とドアが閉まる。
『早く会いたい』
という気持ちばかりだった。
目の前にいる20代のカップルの話し声。
家族連れのお父さんに抱っこされて気持ち良さそうにぐったりしている3歳くらいの男の子。
横浜中華街のお土産袋を持っている老夫婦。
土曜日なのに仕事だったのか、ヨレヨレスーツでぐったり座っている2人組のサラリーマン。
他にももちろん大勢いたが、この週末をどう過ごしてきたのか、そして、これからどう過ごすのかと。
そして、俺はこれからどんな時間になるのか胸が高鳴っていた。
初めてラクーアで会った時の『ドキドキ』は、今になっても変わらなかった。
慣れてきたはずなのにこんな気持ちにさせてくれる。

乗車時間の18分。
たった18分でこんなにソワソワして、赤羽駅まで待つのは。
長くも感じるし、短くも感じてしまう。
自分の精神状態がどうなのかは言うまでもないが、【不安定】。

何より【No Plan】。
会うのが決定したのも今日の昼。
赤羽に決定したのは3時間前。

彼女といれるだけで良いと思うのだが、
俺はいつも何か
【特別】
をプレゼントしたくて。
ストレスがないようにプランを立てて臨みたいとは思うやつらしく。
できれば、事前に予約したお店を待ち合わせの30分前くらいに現地に行って確認したい性分。

どれくらいぶりだろう。
全てを悟ったわけではないが、30代としてはいろいろな経験をしてきた。
留学での成功と失敗。
災害。
教員としての苦楽。
恋愛(少々…)。
ラグビー現役時代のハードなトレーニング。
今の仕事の苦悩。

一社会人なら災害以外は受けてきたと思う。

災害での出来事は自分を悟らせるには十分な事象だった。

などと考えていると、池袋を出発して、
次の駅が赤羽という事態に…

『あーどーしよー』

と思うだけナンセンスな気がしたので、諦めて彼女の好きな【ティラミス】をプレゼントすることだけは決まった。

「間もなくーあかばねーあかばね〜京浜東北線、埼京線はお乗り換えに…」
というアナウンスが車掌さんのリズミカルな独特の発声で流れてきた。

「本日は傘のお忘れ物が非常に多くなって…」
気の利いたアナウンスを聞き、言われた通りに傘を握り到着を待った。

To be next story…

(あとがき)
いつもご覧頂きありがとうございます!
内容が小出しにしてしまい本当に申し訳ありません。
「18分にどれだけ待たせるんじゃい!」と思っている方も多い方も多いかと思いますが、
一つ一つの想いを丁寧にやらせていただければと思っております。

引き続き宜しくお願いします!



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