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函館市縄文文化交流センター5つの物語

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北の漁業のまち南茅部にある函館市縄文文化交流センタ-。その展示品にまつわる5つの物語です。
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#土偶

函館市縄文文化交流センター

函館市縄文文化交流センター

この建物の外壁は曲線で構成されている。いくつもの中心点から描かれた複数の円を組み合わせることによってデザインされた外観は、時の流れのように緩やかに波を打っている。だが、近づいてよくこの壁を見ていただきたい。一見すると曲線に見える外壁は、幅9センチほどの直線の連続によって造形されていることが分かる。これは、地元で伐採した杉の間伐材を製材して組み上げた型枠にコンクリートを流し込んで建築したものだからで

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4.中空土偶(著保内野遺跡)

4.中空土偶(著保内野遺跡)

1975年8月、地元の主婦小板アエさんが旧南茅部町(現函館市)尾札部著保内野の畑でジャガイモの収穫中、クワの先がガチリと何かに当たった。取り上げて土を落としてみると、目と鼻が出てきたので腰を抜かすほど驚いたそうだ。あまりに人の形に似ているので、祟りがあってはいけないと思い、すぐに近くのお寺に相談に行った。その後、中学生だった娘さんが「お母さん、これ埴輪かも知れないよ」と言って教育委員会に届けてくれ

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5.土笛形土製品(垣ノ島遺跡)

5.土笛形土製品(垣ノ島遺跡)

展示室の最終コーナーには土笛形土製品が展示されている。卵形をやや扁平にした形で、上面に貯金箱のようなスリットがある。発見した時、作業員が「先生、貯金箱が出たよ」と喜んで報告してくれた時のことが思い出される。でも、この土製品には所々煤が付いた黒い箇所があり、よく見ると樹脂で復元した跡もはっきりと分かる。なぜなら、これは火災の猛火よって焼損した土製品だからである。

2002年12月29日午後11時5

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