生きがいという幻想

 わたしたちは何のために生きているのか。いや、違う、ただ生きているのだ。それが事実だ。あらゆる思想も、ある意味でわたしたちの生きる理由をつくる。何かのために生き、自分だけのために死ぬのは、むずかしいのだ。
 実存、とはそれだけで意味を持つ。ただ、無意味な実存、というのもあると思う。わたしたちは何かを蕩尽して、生きているし、それによって、何かしらのタナトスを感じるのだ。ただ、生きるという事実には耐えられないのかもしれない。

 生きがい、みたいなのも幻想かもしれないが、幻想なしでは、人間は現実を受け止められない。


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